横尾忠則が世界的な美術家になるまで!娘も画家、息子の職業は?
横尾忠則は世界的な美術家!グラフィックデザイナーから転身
今や世界的な美術家として知られる横尾忠則は、20代の頃は、広告や印刷物のデザインをするグラフィックデザイナーとして活躍していました。しかし、ニューヨークで行われた展覧会でも高い評価を得るなど売れっ子だった横尾忠則にある出来事が起こります。それは、ニューヨーク近代美術館で開催された「ピカソ展」でした。
その時、自らに舞い降りた啓示を「美術館に入るときにはグラフィックデザイナーだった自分が、2時間後に出口に立った瞬間まるで豚がハムの加工食品となって工場から出てくるように『画家』になっていた」と語る横尾忠則。ピカソにインスパイアされ、自らの本能を解放された横尾忠則は、40代半ばにしてそれまで築いたキャリアを全て手放し、「自分の好きなものを描く画家」に転向しました。
横尾忠則の娘・横尾美美も画家!息子の職業は?
横尾忠則の結婚は20歳の時で、お相手は、神戸会館に勤めていた1歳年上の谷泰江という女性でした。横尾忠則には、息子と娘の2人の子供がおり、娘の横尾美美は、父親と同じく画家の道に進んでいます。とはいえ、子供の頃から絵の教育を受けていたわけではなく、実際に絵を描き始めたのは大人になってから。「家に絵の具があった」ことが理由だったそうです。
その後は独学で絵を学び、1994年に、父親の横尾忠則と開いた二人展でデビュー。フリーの画家として2冊の画集を出版しています。一方で、息子の横尾英は現在、父親のアートグッズ販売会社である有限会社アートプラネット・ワイの代表に。横尾忠則は仕事で家を空けることが多く、2人の子供たちともほとんど接する機会がありませんでした。
そのため、息子の横尾英は、たまに父親が家にいても「近寄りがたい存在」としか思えなかったとか。父親である横尾忠則も、息子を「自分の分身」のように意識してしまうなど、父親と息子との関係は複雑だったようです。
横尾忠則の代表的連作「Y字路」シリーズとは?御朱印帳が「鎮守氷川神社」に登場
横尾忠則の代表的連作「Y字路」シリーズとは?
横尾忠則の代表的連作である「Y字路」とは、出身地である兵庫県西脇市にあるさまざまなY字路(三差路)を、画家・横尾忠則の目を通し、千変万化なイメージで表現した一大シリーズです。ミレニアム年だった2000年から始まったこのシリーズについては、150点余りに及ぶ作品を年代順に編集した画集「全Y字路」も刊行されています。
この「Y字路」シリーズを描き続ける理由について、横尾忠則は「自分でもよく分からないのだけど、描くにつれて未知なるものがどんどん現れていくことが魅力」だと回答。日々新しいことに挑戦し続けるモチベーションについては、「本来絵画とは見えないものを見えるように描くものだが、僕は逆に見えるものを見えないように表現することが可能なのかどうか挑戦してみたいと思った」と説明しました。
続けて、究極の目標については「最後にはこの作品が誰の手によって描かれたものなのか分からなくなることが理想」との持論を語っています。
横尾忠則の御朱印帳が「鎮守氷川神社」に登場した理由とは?
一時期ネット上で話題になった、埼玉にある「鎮守氷川神社」の横尾忠則デザインの御朱印帳をご存じでしょうか。この御朱印帳が頒布され始めたのは2016年からです。デザインを横尾忠則が担当することになったのは、氷川神社の宮司と横尾忠則との間に親睦があったためでした。
2人の関係が深まるにつれて、次第にインスパイアされていった横尾忠則は、氷川神社のご祭神をモチーフにしたポスターを制作して神社に寄贈します。これが縁となって、ポスターのデザインをもとにした御朱印帳が誕生しました。何と言っても世界でここだけのレア品とあって、月次祭に合わせて100冊が限定販売されますが、購入できるのは1人1冊までで、毎回完売する人気ぶりです。
頒布の情報は、鎮守氷川神社のホームページで知ることができるので、気になる方はこまめにチェックしてみてください。
横尾忠則が2019年大河ドラマ「いだてん」のタイトル題字を担当!横尾忠則美術館で開催中の「冥土旅行」が話題に!
2019年に放送されるNHK大河ドラマ「いだてん」の題字タイトルを、日本が世界に誇る美術家・横尾忠則が担当することが発表されました。「いだてん」とは、仏舎利を奪って逃げた鬼を追いかけて捕まえた神様「韋駄天」のこと。横尾忠則は、題字タイトルを担当するにあたって「早く走ることを意味することから、走り続けるドラマになって欲しい」とコメントしています。
一方で、代表作「Y字路」シリーズや「鎮守氷川神社」の御朱印帳を手掛けるなど、意外性を求め続ける横尾忠則による「冥土旅行」展が、神戸市灘区の横尾忠則美術館で開催中です。「冥土旅行」というタイトルは、「生者が死者の世界を見て再び戻って来る(旅行)」との意味合い。死後の世界を知ることでより良く生きるという横尾忠則の思いが込められていると言います。
「死」とは、誰にでも訪れる決して避けることのできない定めです。幼い頃より、さまざまな超常現象にインスパイアされ続けてきた横尾忠則にとって、「冥土=死」の世界は不吉なものではありません。むしろ憧れだったことから、「死は作品を考える上で創作を駆り立てる大切なエレメントだ」と考えているようです。
それは、横尾忠則自身が、「死」というものが人としての終わりではなく、その先へ続くものだと確信しているからでしょう。横尾忠則の「冥土旅行」を見て、これからの人生をいかに生きて行くべきかを考えるのもいいかもしれませんね。