吉田大八監督映画「美しい星」で異色SF小説を現代化!平沢進の劇中歌もイイ

吉田大八監督映画「美しい星」で異色SF小説を現代化!平沢進の劇中歌もイイ

吉田大八監督映画「美しい星」は三島由紀夫の異色SF小説を現代化!

吉田大八は、「桐島、部活やめるってよ」をロングランヒットに導いた映画監督です。そんな吉田大八監督の最新作は、三島由紀夫が1962年発表した異色のSF小説「美しい星」を、現代を舞台に大胆にアレンジした作品。ごく平凡な家族・大杉家が、ある日突然、自分たちが宇宙人であることに目覚め、地球を危機から救おうと迷走するというあらすじです。

大杉家の父をリリー・フランキー、その妻を中嶋朋子、息子を亀梨和也が、娘を橋本愛が演じています。異色ずくめの設定のSF作品ですが、豪華なキャストと軽妙な演出とが相まって、楽しめる作品に仕上がっているようです。

吉田大八監督作品「美しい星」の平沢進の劇中歌「金星」もイイ!

吉田大八監督作品「美しい星」では、劇中歌として、どこかエキゾチックで詩的な歌詞も印象的な「金星」が使われています。「金星」は、自分を金星人だと信じる橋本愛演じる暁子が、ストリートミュージシャンの竹宮(若葉竜也)にひかれるきっかけともなる曲。作中では、竹宮の持ち歌として演奏されています。

「金星」は、伝説的テクノバンド「P-MODEL」のボーカル&ギターとして知られている平沢進の代表曲。吉田大八監督自身も大ファンで、高校時代から多大な影響を受けてきたとか。「金星人の暁子が竹宮と出会うきっかけを歌と決めた瞬間、その歌は、平沢さんの名曲『金星』以外にありえない!と興奮しました」と、「金星」を劇中歌に選んだ熱い理由を語っています。

吉田大八監督の代表作やプロフィール!舞台「クヒオ大佐の妻」あらすじキャスト

吉田大八監督の代表作は口コミでヒット?CMディレクター出身というプロフィール!

吉田大八監督の代表作は、なんといっても「桐島、部活やめるってよ」でしょう。公開当初の成績はふるわなかったものの、口コミで評判が広がると、8カ月にわたるロングラン上映となりました。そんな吉田八大監督のプロフィールは、1963年生10月2日まれの52歳。

CMディレクター出身で、20年間にわたりさまざまなCMを制作し、その間には、数々の広告賞も受賞してきました。映画監督としては、2007年に発表した長編映画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」で、初監督作品にしてカンヌ国際映画祭の批評家週間部門に招待されるという快挙を果たしています。

吉田大八監督は舞台も演出!宮沢りえ主演「クヒオ大佐の妻」あらすじキャスト

CMディレクターや映画監督として着実なキャリアを積んでいる吉田大八監督ですが、実は、舞台も手掛けています。最近では、2017年5月19日から公演がスタートする、宮沢りえ主演の舞台「クヒオ大佐の妻」で、作演出を務めました。本作では、自ら「クヒオ大佐」と名乗り、エリザベス女王やカメハメハ大王の親戚だと偽り結婚詐欺を繰り返す夫を、古アパートで待ち続ける妻を宮沢りえが演じます。

夫は詐欺師ではなく、アメリカ空軍のジェット機のパイロットで、忙しくて家に帰れないのだと語る妻の話に耳を傾けるのは、作家志望の宅配便屋(岩井秀人)。そのうちに幻想ともつかない世界に巻き込まれていって……というのが「クヒオ大佐の妻」のあらすじです。ステージで繰り広げられるのは、嘘が嘘を呼ぶ奇妙な世界観。シュールなストーリーが、劇場でどう描かれているのかは見ものです。

吉田大八監督の宇宙人演出にリリー・フランキーも困惑?「美しい星」の仕上がりは?

最新作となる映画「美しい星」が公開されたばかりの吉田大八監督。三島由紀夫の純文学小説という少々敷居の高い原作を扱いながらも、「笑わされつつ考えさせられもする作品に仕上がっている」と評判です。そもそも、「美しい星」は、三島由紀夫の作品の中でも異色の作品。空飛ぶ円盤や宇宙人が登場するSF的世界観には当時の読者も驚かされ、文壇でもその評価は分かれました。

執筆当時は東西冷戦の最中で、世界中が緊張感に包まれていたため、現実世界であった核兵器による人類滅亡の危機の記憶が、作中における人類滅亡の危機を描かせることにつながったようです。吉田大八監督は、三島由紀夫の格調高い原作を現代日本に置き換えて、大胆に換骨奪胎することに挑戦しています。

主人公に設定したのは、「当たらない」ことで有名なお天気キャスター重一。その息子は、野心が捨てきれないフリーターの一雄で、娘は、美人すぎるがゆえに浮いてしまう女子大生の明子、妻は、退屈をもてあます主婦の伊余子と、親近感あふれるキャラクターにしてあります。

突如として、自分が「宇宙人」だと覚醒し、美しい星・地球を救う使命を帯びて活動しはじめるのですが、その行動は、傍から見ると笑いを誘うものばかり。奇妙な世界観を形成するには欠かせない、一雄に近づく代議士秘書・黒木を演じた佐々木蔵之介は、吉田大八監督から、「今のは日本語みたいに聞こえました」と、かなりの変わったダメ出しをされたようです。

そこで、「僕は宇宙人でいいんですよね?」と聞いたところ、返ってきたのは、「宇宙人と思っている人だと思ってください」と、なんとも微妙な返事。その様子を見ていたリリー・フランキーも、「佐々木さんが発したセリフに対し、監督が『今のはちょっと宇宙人すぎますね』って……。そのさじ加減がわからないんですよね」と、シュールすぎる現場だったことを証言しました。

文豪が描いた異色すぎる世界観に、シュールな演出というと、かなりとっつきにくい作品になってしまいそうですが、吉田大八監督は、もともと売れっ子のCMディレクター。人々の心をつかむ映画になっていることは間違いありません。主演のリリー・フランキーが、「文芸作品がこんな面白く仕上がって」「良い作品に呼んでもらえて、幸せな経験ができました」と自信を持ったコメントをしている意欲作「美しい星」。「桐島、部活やめるってよ」に続く吉田大八監督のヒット作になることを祈るばかりです。

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