2017年3月7日 更新
柳家喬太郎の落語が若者にも受けるワケ!独演会の人気演目は?
柳家喬太郎は今最もチケットが入手困難な状況の落語家!その秘密とは?
長年に渡って放映されている、国民的バラエティ番組「笑点」の影響もあるのでしょうか。世間では、落語がブームを呼んでいます。そんな落語ブームにあって、今、最もチケットが入手困難とされる落語家と言えば、柳家喬太郎(やなぎやきょうたろう)でしょう。
事実、柳家喬太郎師匠が出演する演芸場には、若い落語ファンも数多く足を運んでおり、その人気ぶりは老若男女の類を一切問いません。一見、初心者にとっては敷居が高そうに感じる落語ですが、柳家喬太郎の落語は「とにかく楽しい!」。その秘密は、「枕(マクラ)」と呼ばれる演目に入る前のトークにありました。柳家喬太郎の場合、このトークが他の落語家に比べてとにかく長くて面白いといいます。「枕」の魅力で、演目に入る前に客の心をがっちりとつかんでしまうというワケです。
柳家喬太郎独演会の大人気演目と若者にも受けるワケとは?
柳家喬太郎の得意とする演目は、新作・創作・古典と、非常にストライクゾーンが広く、地方に行った折には「ご当地ネタ」なども披露して人気を呼んでいます。そんな柳家喬太郎が最近とみに力を入れている演目があると言うではありませんか。その演目とは、驚くなかれ「ウルトラマン」を題材にした「ウルトラマン落語」。
特撮シリーズの草分けでありながら、今もってあらゆる世代に愛され続ける「ウルトラマン」シリーズですが、柳家喬太郎がこの題材に取り組んだ理由とは何なのでしょう。本人曰く「特に理由はなく、ウルトラマンをモチーフにしたら面白いのではないか」くらいの気持ちだったそうです。
そんな軽い気持ちで始めた「ウルトラマン落語」でしたが、ウルトラマン放送開始50周年というタイミングと相まって、柳家喬太郎の独演会は大受けの大盛況。中でも大人気なのは「抜けガヴァドン」という演目で、休憩時間ともなると、会場内では「ガヴァゴン」をスマホ検索する若者の姿が数多く見られるといいます。
柳家喬太郎に意外な経歴アリ!弟子時代のエピソードとは?
柳家喬太郎は噺家になる前に意外な経歴があった!
1963年11月30日生まれで、東京都世田谷区出身の柳家喬太郎の本名は、小原正也といい、日本大学高等部から日本大学商業学部経営学科へ進学しました。中学時代に落語に興味を抱き、日本大学では落語研究会に入部して「砧家駄楽」を名乗ります。大学4年の時には関東大学対抗選手権で優勝。
同時に、大学在学中に、フジテレビの「欽ドン!良い子悪い子普通の子おまけの子」に出演するなど有名人だったため、友人たちから「プロの噺家になるのだろう」と思われていました。しかし本人は、普通の社会人になりたいと、大学卒業後に「福家書店」に就職して周囲をびっくりさせます。
本音は「落語家になるのが怖かった」のですが、社会人として充実した毎日を送りつつも、落語への情熱が日に日にふつふつと湧いてきて、一年半後に福家書店を退職。1989年に、柳家さん喬師匠の門を叩きます。独創的な新作落語や師匠譲りの古典落語で、今では売れっ子となった柳家喬太郎ですが、売れるまでにはキャバレーで働いたり、アダルトアニメの声優を経験するなど、意外過ぎる経歴の持ち主でもあります。
柳家喬太郎の師匠は柳家さん喬!弟子時代のエピソードとは?
大学在学中には落語選手権で優勝し、人気テレビ番組に出演するなど、華々しい経歴のあった柳家喬太郎。しかし、柳家さん喬師匠に弟子入りした際には、大学の落研で経験したことを全てそぎ落とさなければならないことを思い知らされました。あるとき、柳家さん喬師匠から「何か嫌いな食べものはあるか?」と聞かれた喬太郎は、「納豆が食べられません」と答えたところ、「では、それを買いに行こう」と即答されました。
後に師匠が語ったのは、「これから噺家としてやっていくためには、お客様や苦手な先輩とも付き合っていかないといけない。好き嫌いを言っていたらやっていけない」と言うことでした。同時に、柳家さん喬師匠は、柳家喬太郎に、「落研に入っていたお前はプラスからじゃない。ゼロでもない。マイナスからのスタートだよ」と、落研でのキャリアが噺家の世界では全く通用しないことを諭したそうです。
自分が入門した当時の師匠の年齢を超えた柳家喬太郎ですが、「まだまだ師匠の足元にも及ばない」と、師匠への畏怖の念を抱き続けています。
柳家喬太郎が「これを逃したら一生涯あり得ない」と映画に初出演!
年末に毎年恒例で放映される「手帳は高橋」のCMで「笑点」でお馴染みの春風亭昇太と共演するなど、大注目の落語家・柳家喬太郎が、2017年2月18日公開の映画「スプリング、ハズ、カム」で映画初出演を果たしました!過去にも俳優として出演した経験はあれど、53歳という年齢で初出演を決めた柳家喬太郎の心の内はどのようだったのでしょう?柳家喬太郎が映画で演じるのは、「若い頃に妻を亡くし、広島で個人タクシーを営みながら一人娘を育ててきたシングルファーザー」という難しい役どころ。映画主演を決めた理由は、「まずは、好奇心。それと、今回を逃したら初主演なんて生涯ないと思いましたから」。
さらに、落語協会に自ら脚本を送って出演依頼した吉野監督の熱意に心を打たれたと語りました。物語は、大学に進学する娘(E-girls石井杏奈)のために上京して、2人で部屋探しをする1日を描いた淡々としたストーリーです。実生活では23歳の息子を持つ柳家喬太郎。
もしかすると、「映画の中で、娘を持つ父親を演じることができて嬉しかった」とのコメントが、この映画の出演を決めた一番の理由かもしれませんね。「登場人物の心に起承転結を感じた」と話す柳家喬太郎の演技には、「あの俳優は誰だ」と、海外映画界からも絶賛が集まっているとか。落語の世界にとどまらない柳家喬太郎の今後の活躍にも期待が高まります。