アガサ・クリスティはミステリーの女王!謎の失踪事件とは?
アガサ・クリスティ「ミステリーの女王」誕生への道のり!
エルキュール・ポワロ、ミス・マープル、トミーとタペンス。テレビドラマ化され、時代を超えて愛され続ける名探偵たちを生み出したアガサ・クリスティは、イギリス南西部デヴォンシャー出身の推理作家です。1920年に「スタイルズ荘の怪事件」でデビューして85歳で他界するまでに、長編小説66作、中短編小説156作、戯曲15作の他、別名義でもたくさんの小説を執筆しました。
出版する作品のほとんどが世界的なベストセラーです。世界で、聖書とシェイクスピアの次に読まれている逸話もあることから、アガサ・クリスティはミステリーの女王と呼ばれています。ミステリーの女王アガサ・クリスティの魅力は、トリックの奇抜さと、細やかな背景・心理描写にあります。この特徴は、彼女の私生活が反映されたもの。
アガサ・クリスティは、ミステリーの女王と呼ばれる前の第一次世界大戦中に薬剤師の助手として従事しており、その間に毒物や薬品の知識を得ました。また、異国情緒溢れる背景描写には、離婚後に行ったイスタンブールやバグダードへの一人旅が影響を与えています。
アガサ・クリスティが失踪?空白の11日間に迫る!!
1926年12月4日の朝、アガサ・クリスティの所有する車が、ヘッドライトを点けたままの状態で、サリー州にある景観地の沼付近で発見されました。アガサ・クリスティの車は土手の藪の中に突っ込んでおり、車内には彼女のスーツケースと免許証が。これが、ミステリーの女王アガサ・クリスティの謎の失踪事件の始まりでした。
しかし、アガサ・クリスティの謎の失踪事件は、11日後にあっけなく幕を閉じます。他名義(夫の愛人のテレサ・ニール)で宿泊していたホテルのスタッフが、アガサ・クリスティに気づき、警察へ通報したからです。ホテル従業員の話によると、彼女は、小さなスーツケースだけを持って現れ、毎日ダンスやカードゲームに興じていたといいます。
警察が駆けつけた時も一時的な記憶障害のため、なぜ自分がここにいるのか説明できませんでした。ホテルへチェックインする前日には、アガサ・クリスティの当時の夫アーチボルド・クリスティが、不倫の末、荷物をまとめて家を出ていっていました。母を亡くしたばかりでもあったアガサ・クリスティは、夫の裏切りが決定打となって、ついに心神喪失したようです。
11日間の失踪の謎はさまざまな形で議論され、また1920年代当時の女性に保守的なイギリスの風潮から、女性作家であるアガサ・クリスティを冷たく非難しました。もともと内向的な性格であった彼女はますます口を閉ざし、後に出版された自伝でも失踪事件には一切触れていません。
アガサ・クリスティのおすすめ小説はコレ!あらすじネタバレ
アガサ・クリスティ作品の奇抜な謎が解けるか!?数々のトリックを生み出した陰には奇抜な母あり?!
アガサ・クリスティは、今日に至るまでミステリーの女王として君臨し、出す小説そのほとんどがベストセラーになっています。比較的コンスタントに書き続け、全くスランプを感じさせないアガサ・クリスティですが、湧き水のように溢れ出続けるアイデアの源には、母の奇抜な教育がありました。
アガサ・クリスティの母は、「7歳になるまで字が書けないほうが良い」という変わった教育方針で、学校教育を禁じ、アガサ・クリスティに家庭学習をさせています。学校教育を禁じられたため友人もおらず、庭で空想の友人と遊んだり、父の書斎にある蔵書を読み漁ったりする日々を送ることを余儀なくされました。
しかし、この特異な環境が、アガサ・クリスティの想像力を鍛え上げ、さまざまな物事に対する幅広い知識を得ることに一役買ったのでしょう。
アガサ・クリスティ作品を読むならまずコレ!おすすめ小説のあらすじネタバレ!!
アガサ・クリスティといえば、なんといってもイギリスでテレビドラマ化され人気を博す「名探偵ポワロ」。エルキュール・ポワロが活躍するシリーズとしては8作目になるのが、「オリエント急行の殺人」です。1934年に発表され、アガサ・クリスティの長編小説としては14作目にあたり、日本語初訳の題名では「十二の刺傷」で出版されました。その謎の結末の奇抜さから、アガサ・クリスティの代表作品のひとつに挙げられており、アガサ・クリスティの小説を初めて読むという方にもおすすめです。
あらすじは、仕事を終えたポワロは、イスタンブール発のオリエント急行に乗って帰路につきます。ポワロの乗る一等車両は季節外れの満席で、12人の人間が乗り合わせていました。その中の1人、アメリカ人の富豪サミュエル・ラチェットが、彼の寝室で殺されているのが発見されます。
ラチェットは刃物で12カ所もめった刺しにされていました。ポワロが捜査を始めるうちに、彼が、アームストロング夫妻の娘デイジーが惨殺された「アームストロング事件」の犯人であることが判明。裏の顔を持つラチェットを殺したのは誰なのか……?実は犯人は、一等車両の同乗者12人全員でした。
実は12人全員が「アームストロング事件」の関係者で、デイジーを殺したラチェットに復讐するため、オリエント急行の一等車両に乗り込んで好機をうかがっていました。このアガサ・クリスティの「オリエント急行の殺人」は、実際にあった「リンドバーグ愛児誘拐事件」に着想を得て書かれたものです。
アガサ・クリスティに惜しげもなく殺されていく豪華キャストが話題のドラマの裏側!
テレビ朝日系で、3月25日・26日と2夜連続放送されたアガサ・クリスティ作品「そして誰もいなくなった」。推理ドラマを数多く手がけてきたテレビ朝日は、ミステリーの女王アガサ・クリスティの名作をドラマ化することは、かねてからの悲願でした。
英国アガサ・クリスティ社と数年間に及ぶ交渉の末、ようやく日本初の映像化が認められたというテレビ朝日渾身の力作です。撮影は、プロデューサー曰く「ここまで見事なセットは初めてです。製作費は大丈夫か?と不安になるほど」という豪華なセットの中で行われました。かけた時間も製作費も、2夜連続ドラマがもう1本撮れるほどの規模だったとか。そこへ華を添えたのが豪華キャスト陣です。
仲間由紀恵や向井理をはじめとする豪華キャストたちが、第1夜から惜しげもなく殺されていくストーリー展開で、その意外性が話題を集めました。中でも特筆すべきは、最初に命を落とす向井理。酒を飲み干したとたん急変し、そのまま死んでしまいますが、彼の死に際の演技は、収録に偶然居合わせた医療監修の医師からお墨付きをもらうほどの迫真ぶりでした。撮影現場にはキャストたちからの美味しい差し入れが後を絶たず、皆がアガサ・クリスティの世界にどっぷり浸かれる時間を楽しんだ様子です。
漫画や小説などを映像化すると、ファンには各々の思い入れがある分、なかなか厳しい評価を受ける傾向があります。しかし、このドラマ「そして誰もいなくなった」は絶賛の嵐でした。それは、「絶対に日本でアガサ・クリスティの作品を映像化したい」という、テレビ朝日関係者とスタッフ、そしてキャストたちの並々ならぬ熱意が込められていたからではないでしょうか。
原作を知らない人もアガサ・クリスティ愛好家でも楽しめたドラマ「そして誰もいなくなった」。これを機に、まだ多々あるミステリーの女王アガサ・クリスティの作品を、日本のお茶の間で再び楽しめる日が来るのを待ちわびてやみません。