田畑政治は東京オリンピック誘致の立役者!息子はNHKの元理事長
田畑政治は東京オリンピック誘致の立役者!経歴は?
元朝日新聞記者の田畑政治(たばたけまさじ)は、1964年に行われた東京オリンピックの誘致活動において多大な功績を残した人物です。新聞記者として働く一方で、水泳の指導者として、日本代表の監督や日本水泳連盟の会長職も務めていた田畑政治。自身の泳力も選手並みだったものの、盲腸や大腸カタルといった病を患ったため、選手としてではなく指導者として日本の水泳界を支えていました。
水泳の国内大会や世界大会などが日本で行われるようになったのも、プールが整備されたのも、田畑政治がいたからだと言われています。戦前から、オリンピック誘致を訴えていたのも田畑政治でした。1959年に東京オリンピック開催が決まってからは、オリンピック組織委員会の事務総長に就任。日本チームが優位になれそうなバレーボールや柔道をオリンピック種目に採用するよう働きかけ、日本選手が活躍する場を増やしました。
しかし、東京オリンピック開催を目前にした1962年に、インドネシアで行われたアジア競技大会で、国際政治絡みの騒動に巻き込まれたため、事務総長を辞任。以降は、オリンピック組織委員会の一委員として、ほぼ手弁当で選手たちを激励したと言います。とはいえ、東京オリンピック誘致から実現まで尽力し続けた田畑政治は、後に、国際スポーツ連絡協議会議長や、日本オリンピック委員会会長などの要職を歴任。ロサンゼルスオリンピックを観戦した2週間後の1984年8月に死去しました。享年87歳でした。
田畑政治の息子はNHKの元理事長!親戚もすごかった
東京オリンピックの誘致に大きな功績を残した田畑政治には1男2女、3人の子供がいます。長男の田畑和宏もまた、NHKに入社し、理事長にまで上り詰めたというやり手の人物です。実は、テレビ業界で活躍したのは息子だけではありません。田畑政治の従兄弟にあたる水野成夫は、フジテレビを創業して、初代社長を務めた人物です。
テレビのみならず、文化放送や産業経済新聞社の社長も務め、フジサンケイグループの基礎を築き上げ、「財界四天王」の1人に数えられました。
田畑政治の伝記が人気!大河ドラマ「いだてん」の主人公に
田畑政治の伝記が人気!今じゃ手に入らないレアものも
東京オリンピック開催の立役者と言える田畑政治については、これまでいくつかの本が出版されてきました。まさにオリンピックと共に歩んだ田畑政治の半生を題材に、1985年に出版されたのが「人間 田畑政治」。彼の幼少時代から、日本を代表してオリンピック誘致に尽くした歴史が綴られている本書は、現在は絶版となっているため手に入りにくく、中古本が高値で取引されている状況です。
しかし、入手可能なものもあります。草思社文庫より発売されている、「東京オリンピックへの遥かな道」。サブタイトルに「招致活動の奇跡1930-1964」とある通り、国民を元気づけるためにオリンピック開催を目指した、田畑政治ら関係者の奮闘ぶりが綴られています。
また、幸田真音の「この日のために 池田勇人・東京五輪への軌跡」は、池田勇人首相を主人公に据えた物語ですが、もう1人の主役として田畑政治が登場。「2020年の東京オリンピックを控えてタイムリーな本」だと人気です。
田畑政治が大河ドラマ「いだてん」の主人公に!演じるのは阿部サダヲ
田畑政治らが開催にこぎつけた1964年から56年後の2020年に、再び東京オリンピックが行われることを受けて、2019年のNHK大河ドラマが「いだてん~東京オリンピック噺~」となることが発表されました。
「いだてん」では、1964年に東京オリンピックが開催されるまでの52年という歴史を、1912年のストックホルムから、1936年のベルリン、1964年の東京オリンピックを軸にドラマ化。前半の主人公が、日本初のオリンピック選手となった男子マラソンの金栗四三で、田畑政治は、ドラマ後半の主人公として登場します。
キャスティングもすでに公表されており、金栗四三を演じるのは中村勘九郎で、田畑政治は阿部サダヲです。彼が起用されたのは、「執念でオリンピックを東京に持ってきた熱すぎる男を暑苦しくなく、笑えるように演じてくれる」から。阿部サダヲは「プレッシャーはすごくあるが、面白ろそう」と心境を語っています。
田畑政治の故郷・浜松市が再び熱い!
田畑政治の故郷である浜松市は、2017年に放送されていたNHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」の舞台となり、放送が終了してもなお盛り上がっていると言います。さらに、2019年には、主人公の1人が田畑政治の大河ドラマ「いだてん」が放送されると決まったことで、「このチャンスを逃してはならない」と、地元の浜松商工会議所がいろいろなプロジェクトを企画中です。
現在は、「田畑政治といえばオリンピック、オリンピックといえばスポーツ、スポーツといえば健康」ということで、健康を意識した食事を推進する企画が進行中とか。今後、「いだてん」に関するニュースが増えていけば、おのずと注目度も上がっていくことでしょう。田畑政治は、1964年の東京オリンピックをたゆまぬ努力で勝ち取り、日本が国際社会に迎えられる契機を生み出しました。
今は亡き田畑政治が、時代を飛び越えて、今度は、2020年の東京オリンピックに向けて、日本人の健康意識を改善する立役者になるとは面白いものですね。2020年に向けて国内が盛り上がっていく中で、脚光を浴び始めた田畑政治。彼がオリンピック誘致に必死になった理由や、その生き様を深く知ることで、来る東京オリンピックをより楽しめるようになるかもしれません。