「サトコとナダ」はムスリム&日本人女子のかわいいルームシェア漫画!
「サトコとナダ」はムスリル&日本人女子のルームシェア4コマ漫画!
「サトコとナダ」は、日本人サトコとサウジアラビア出身ナダ、2人の女子大生が、ルームシェアする日常を描いた漫画作品です。2人の通う大学はアメリカにあるので、両者とも海外留学をしている身。
素直な性格のサトコと、活発でしっかり者のナダは、ルームシェアする部屋で初めて出会いました。日本では、ムスリム圏、いわゆるイスラム教徒の女性を目にする機会はあまり多くはありません。2人が出会ったときも、ナダが目の部分だけを出した独特の装束ニカブを着ていたこともあり、少々及び腰だったサトコ。
しかし、お互いの文化をよく知らないからこそ、日々は驚きと発見に満ちており、2人もすぐに仲良くなっていきます。互いの文化の違いなどをネタにした「サトコとナダ」は4コマ漫画で、時系列はありません。サトコ目線の話が多いので、日本人からするとまだ謎の多いムスリム女性が、特別ではない日常生活を送っている姿を知ることができます。
「サトコとナダ」は実話なの?異文化交流ほのぼのエピソード
「サトコとナダ」は、日本女子とムスリム女子がルームシェアする日常を描いた4コマ漫画。細かいエピソードが多いですが、実話ではなくフィクションで、作者のユペチカが海外留学した際の経験をもとに描いています。ユペチカ自身にはムスリムのルームメイトはいなかったそうですが、友人たちをモデルに、ナダとサトコの日常が完成しました。
どこかほのぼのした空気のある「サトコとナダ」には、女子大生らしい可愛いエピソードも満載です。買った服を褒められたことに照れて隠れてしまうサトコに呆れるナダや、お互いに食べたいものや見たい映画を持ち寄る姿などを見ると、心がほっこりしてきます。
イスラム文化を知ろうとするサトコのために、「改めて自分の文化を勉強しようと思う」とナダが宣言した際に「知りたいのは文化だけではなくナダ自身についてだ」と告げるサトコ。これは、2人の間に揺るぎない友情が結ばれた瞬間であり、とても心が温まるエピソードです。
「サトコとナダ」に見るムスリム女子と日本女子の違いとは?異文化交流漫画へ海外からも反応
「サトコとナダ」の感想!一緒に暮らすから分かるムスリム女子と日本女子の違い
「サトコとナダ」の一番の見どころは、文化の違いです。あまり交流する機会のないムスリム圏、しかも顔を隠した装束をまとう女性は、ミステリアスな存在として目に映りがち。サトコも、第一印象では不安を抱えていました。しかし、物静かそうというイメージとは裏腹に、ムスリムでは、はっきりとした物言いをする人が多いそう。
ナダもはっきりとした物言いをする、チャーミングな女性として描かれています。イスラム教は、日に5度のお祈りの時間があり、豚肉は禁止である他、ラマダンと呼ばれる断食月があるなど、制約の多い宗教というイメージです。特に女性は、肌や髪を隠す衣装の着用が義務付けられているので、より不自由な印象を抱きます。
しかし実は、ニカブやヒジャブを気分で交換したり、下の衣装は自由なので家の中ではオシャレな服装で過ごしていたり、隠しているからこそ髪をキレイにしたりと、自分磨きに余念がありません。違う文化を持っているというだけで、ムスリム女子と日本女子に大きな違いはなく、普通に日々を楽しんで生きる女の子たちだということが分かります。
「サトコとナダ」のような異文化交流漫画をどう考える?海外から反応も
「サトコとナダ」は、日本女子サトコと、ムスリム女子ナダを中心とした物語ですが、他にもさまざまなキャラクターが登場します。2人と同じ大学に通う、キリスト教徒の女の子ミラクルや、日系アメリカ人で日本大好きなオタク青年ケビン。子供もいるムスリム女子パキザなど、それぞれの文化や事情を持ちながら、日々の生活を送っています。多様な国からやってきた人が住むアメリカだからこそ、多国籍な登場人物が揃っているわけですが、「サトコとナダ」の日々を、海外の人はどう捉えているのでしょうか。
作者ユペチカの元には、特に日本に留学しているムスリム圏の読者からの感想が多く届けられるらしく、「イスラム教についてちゃんと説明してくれてありがとう」と感謝されることも多いとか。海外読者が人に勧めることも多いようで、「異なる文化を持つ人と接していく上で、必要な何かを得ることができる作品だ」という見方がなされているようです。
「サトコとナダ」が「このマンガがスゴい!2018」にランクイン!作者の思いとは?
日本とムスリム圏、異なる文化を持った女子大生2人がルームシェアする日常を描いた4コマ漫画「サトコとナダ」に注目が集まっています。宝島社が主宰する「このマンガがすごい!2018オンナ編」では第3位、niconicoとダ・ヴィンチが共催する「次にくるマンガ大賞」webマンガ部門では第4位にランクインの快挙!ナダが生まれ育ったムスリム圏の文化だけではなく、海外から見た日本のイメージや、欧米文化の考え方など、さまざまな違いを知ることができるのも本作の魅力のひとつです。
作者のユペチカは、初めてできたムスリム圏の友だちのことや、彼女たちが暮らす文化についてもっと多くの人に知ってほしいという思いから、この作品を描いています。作品に登場する情報は、米国在住のイスラム教徒ジャーナリスト西森マリーの監修が入っているため、実際のムスリム女性の価値観や生活と大きな差はありません。
しかし、当然ながら、各家庭の事情や、置かれた立場によって実情は異なっており、家族のために生きているムスリム女性がいるのもまた事実です。そのため、ユペチカは、自身の体験からくるイメージのみでナダを描かないようにも注意していると語っています。
「とにかく優しい世界」「癒される」という感想も多く見られる「サトコとナダ」。2人は、互いの文化を尊重し、疑問に思っていることは率直に尋ね合いますが、頭から否定することはせず、知る前にイメージだけで決めつけ、相手のことを知ろうとしないという態度もとりません。ユペチカが「物語の中では優しい世界であってほしい」と思いを込めている通り、サトコとナダを取り巻く世界は穏やかで優しいもの。
人々が互いの文化を尊重し合えば、平和に暮らせるのではと思わせてくれます。本作に触れたことで、ムスリム女性の姿の一端を知ることができたと感じる読者も多いことでしょう。互いを知ることで得られる幸福を教えてくれる、「サトコとナダ」はそんな作品です。