朝井まかては夫と二人三脚で歩み続ける!ペンネームの由来は?
朝井まかては夫と二人三脚で歩み続ける!
朝井まかては、2013年に発表した「恋歌(れんか)」で直木賞、本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞した小説家で、江戸時代を中心にした時代小説を多く発表しています。現在は、夫とともに出身地である大阪に住んでおり、作品の中には大阪弁を生かした作品も。
経歴を見ると、広告会社でコピーライターとして活躍した後に独立し、結婚後は、夫とともに製作会社を創立。夫とは会社運営だけでなく、共に親の介護をするなど支えあう存在のようです。「恋歌」にて直木賞を受賞した際は、夫が落ちついていて、問い合わせの電話などにも対応してくれたと語っています。
朝井まかてのペンネームの由来は?
朝井まかて、というちょっと変わった名前はペンネームです。「まかて」とは、沖縄県出身の祖母の名前からもらったものですが、36歳の若さでこの世を去っているため、名前に込められた意味については分からないと言います。ちなみに、朝井まかてとしてデビューする以前は、本名で活動していました。
朝井まかては「恋歌」で直木賞と本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞!おすすめ文庫版は?
朝井まかては「恋歌」で直木賞と本屋が選ぶ時代小説大賞を受賞!「眩(くらら)」では中山義秀文学賞を受賞
朝井まかては、2008年に「実さえ花さえ」で小説現代長編新人賞の奨励賞を受賞し、作家デビューしています。デビューして約5年後、「恋歌」で本屋が選ぶ時代小説大賞と直木賞を受賞しました。その後も、井原西鶴の活躍を、その娘あおいの目を通して描く「阿蘭陀西鶴」で織田作之助賞を受賞。葛飾北斎の娘で、天才女性絵師の葛飾応為の生涯を描く「眩(くらら)」では中山義秀文学賞を受賞しています。また、2018年8月には、「雲上雲下」で中央公論文芸賞の受賞が決定したばかりです。
朝井まかてのおすすめ文庫版は?
朝井まかての初期の作品は、ほぼ文庫化されています。文庫化にあたり「花競べ 向嶋なずな屋繁盛記」へと改題され、加筆修正の上で発売されたデビュー作でもある「実さえ花さえ」は、江戸市井で生きる花師職人夫婦の心温まる物語でおすすめです。また、江戸時代の大阪にある青物問屋を舞台に描く「すかたん」も楽しい作品。大阪出身の朝井まかての大阪への愛や大阪弁へのこだわりが込められています。
もちろん、尊王攘夷運動に揺れる水戸藩の武家に嫁いで激動の半生を送った女流歌人・中島歌子を描き切った直木賞受賞作の「恋歌」も文庫化済み。過酷な運命にさられる水戸藩士やその家の女たち、使用人にいたるまでの生き様も盛り込まれており、読み応えたっぷりです。
朝井まかてが「雲上雲下」で新たな挑戦!「ぬけまいる」のドラマ化も決定
2008年に小説家デビューしてから、2018年で10年を迎えた朝井まかて。1959年8月生まれですから、デビュー時は49歳ですでにアラフィフ。小説家としては遅いデビューだったと言えます。とはいえ、小説家デビューを果たすまではコピーライターとして活躍し、その後は夫ともに会社を立ちあげるなど、ずっと多忙を極めていました。そうした中で書き上げた小説でデビューし、その後の10年間で、直木賞をはじめとする数々の文学賞を受賞して売れっ子作家の仲間入りを果たしたのですから驚くべきことです。
歩みを止めることのない朝井まかては、デビュー10年目に発表した「雲上雲下」で新たな挑戦をしています。江戸時代を中心にした歴史小説を得意とし、そのジャンルで高い評価を得てきましたが、最新作「雲上雲下」で扱ったテーマは、なんと各地に伝わる民話!「日本農業新聞」の連載小説だった「雲上雲下」のため、各地を巡り、その土地土地に根付く民話を聞いて回りました。
そうして生まれた作品は、子狐が野にある草に昔話をせがむというファンタジックなシーンから始まります。和製ファンタジーとも言えるような佇まいを見せる本作ですが、物語が進む内に、人間と自然のせめぎ合いや、現実の不条理さといった部分をもはらむ展開に。難しいテーマを扱いつつも、少しずつ新聞の読者から強い反響が寄せられるようになった「雲上雲下」が、その後、中央公論文芸賞を受賞したことからも、彼女新たな挑戦は高く評価され成功したといっていいでしょう。
同時に、まるで小説家デビュー10周年を祝うかのように、江戸時代の女3人による伊勢参りを描いた「ぬけまいる」のドラマ化も決定しました。放送は、2018年10月より、NHK土曜時代ドラマで「ぬけまいる 女三人伊勢参り」としてスタート。田中麗奈とともさかりえ、佐藤江梨子という3人の実力派女優陣が、江戸時代を舞台に痛快な女子旅を繰り広げます。
これをきっかけに、朝井まかて作品のファンがさらに増えることになれば、小説家デビュー10周年はさらに華々しく彩られることになるでしょう。