円城塔は「道化師の蝶」の芥川賞作家!「文字渦」などおすすめの文学賞作品まとめ

2019年6月27日 更新

円城塔の過去の経歴とプロフィール!過去の素晴らしい経歴が見どころ!

円城塔の過去の経歴とプロフィール!学術博士の学位を取得している!!

円城塔(えんじょうとう)は北海道札幌出身の小説家です。本名は非公開となっていて明かされていませんが、生年月日は1972年9月15日です。北海道札幌南高校を卒業後、東北大学理学部物理第二学科に入学。大学時代はSF研究会に所属していました。1995年に東北大学を卒業すると、今度は東京大学大学院総合文化研究科博士課程という、物理とは関係のない道に進みました。

円城塔は2000年、大学院の博士課程を修了すると同時に、学術博士の学位を取得。その後、北海道大学、京都大学、東京大学に博士研究員として勤めていました。2007年からウェブ・エンジニアとして働きますが、2008年10月に退職し、作家として創作活動を開始。デビュー作は、2007年5月に早川書房から刊行された「Self-Reference ENGINE」です。

円城塔、過去の素晴らしい経歴が見どころ!物理学の研究論文で膨らませることができなかったネタを小説にしている!?

円城塔の作品は、一応SFあるいは前衛文学に分類されます。一応と書いたのは、数学や物理の概念が元となっているフィクション的な独特の理論展開に加え、純文学的な美しい表現技法もあるので、ジャンル分けするのが難しいと言われているからです。

円城塔自身が言うには「自分が研究していた物理学は、論文という思いつきを主張しているようなところもあったので、その研究論文で膨らませることができなかったネタを小説にしているのかもしれません」とのこと。ということは、過去の素晴らしい経歴の中で研究してきたことが、そのまま作品の見どころになっているということでしょうか。これまでの小説とは全く違った面白さがあると言われるのも、そのせいかもしれません。

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円城塔の過去の受賞作品一覧!

円城塔の過去の受賞は、純文学系の賞が多い!?「川端康成賞」も受賞している!

円城塔が作家になったのは、複雑系の物理・理論生物学者の金子邦彦に小松左京賞か日本ファンタジーノベル賞に応募してみることを勧められ、「Self-Reference ENGINE」を第7回小松左京賞に応募したことがきっかけでした。同作は最終候補作として残ったものの残念ながら落選しましたが、早川書房からの刊行が決まり、作家デビューを果たします。

円城塔はその後も様々な文学賞に応募し、2007年に「オブ・ザ・ベースボール」が第104回文學界新人賞、2010年には「烏有此譚」が第32回野間文芸新人賞を受賞しました。「オブ・ザ・ベースボール」は第137回芥川賞の受賞候補に挙げられるなど、作家としての実力が認められるようになっていきました。

2011年には「鳥有此譚」「道化師の蝶」「これはペンです」などの作品が評価され、第3回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞を受賞。2017年には、「新潮」の2016年5月号に掲載された「文字渦」が第43回川端康成賞を受賞するなど、SFというより純文学の分野で高く評価されています。

円城塔、過去の受賞候補作と受賞作品の一覧!!2011年には芥川賞を受賞!

円城塔はこれまで、数々の作品を発表してきました。第104回文學界新人賞受賞作「オブ・ザ・ベースボール」は芥川賞候補作としても注目されましたが、第32回野間文芸新人賞を受賞した「烏有此譚」は、第29回三島由紀夫賞の候補作としても選ばれていました。

また、2011年に書いた「これはペンです」も、芥川賞の候補作となっていた作品です。これまで芥川賞を2回逃してきた円城塔ですが、翌年の第146回芥川賞では「道化師の蝶」が選ばれました。

円城塔は芥川賞受賞後も、「屍者の帝国」が第33回日本SF大賞と第44回星雲賞を、「文字渦」も第43回川端康成賞と第39回日本SF大賞を受賞するなど、その勢いは止まりません。

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円城塔が影響を受けた作家は安部公房!?はこれからも奇妙な小説を書き続けたい!

円城塔は2012年に「道化師の蝶」で芥川賞を受賞した際、「栄誉ある賞をいただけて光栄です」とコメント。そして、自分の小説は奇妙だという声もあるけれど、受賞したということはその方向で続けていいということなので、これからも奇妙な小説を書き続けたいと意欲を燃やしていました。

前年の11月、円城塔は第3回早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞を受賞していますが、実はこの賞を受賞した作家は、芥川賞か直木賞のどちらかを獲らなければならないと言われているとか。その期待にも応えることができたというわけです。

円城塔の作品について、芥川賞の選考委員は「読んでいて楽しいとか面白いという小説ではないし、どこが評価されたかを説明するのも難しい」と語っていましたが、そういう評価を受けるというのも、奇妙な小説だからでしょうか。

そんな円城塔が影響を受けた作家は、安部公房だそうです。円城塔の言葉を借りると「ちょっと外れたと見なされる路線」がいいそうです。そして、自分もその路線を目指しているとか。また、円城塔と同じ時期に同じ経緯で作家デビューしたSF作家・伊藤計劃にも多大なる影響を受けたといいます。

伊藤計劃とは共作を行なうなど親しくしていたようですが、デビューから2年後の2009年、伊藤計劃は34歳の若さで亡くなっています。伊藤計劃が残した未完成の原稿は、円城塔が続きを書いて完成させました。それが、2012年8月に出版された「屍者の帝国」です。

他の作家が途中まで執筆していた遺作を仕上げるというのもなかなかできることではないと思いますが、円城塔の小説は何かよくわからないけど魅力的。これからも読者がアッと驚くような作品を書き続けてほしいものです。

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