白土三平漫画作品「カムイ外伝」登場人物一覧あらすじネタバレ
白土三平漫画作品「カムイ外伝」のアニメ「忍風カムイ外伝」の主な登場人物一覧とは?
白土三平(しらとさんぺい)の漫画作品「カムイ外伝」は、「週刊少年サンデー」にて、1965~1967年にかけて掲載された代表作品です。江戸時代の階級差別によって苦しむ数多の人々を描いた「カムイ伝」から、カムイの生き様のみにクローズアップしたのが「カムイ外伝」。掲載時から人気を博し、アニメ版では「忍風カムイ外伝」として、1969年4月より、全26話がフジテレビ系で放映されました。
アニメ版の主な登場人物を一覧として紹介すると、まずは、抜け忍として追撃される主人公の「カムイ」。おじの月影をカムイに殺されて、復讐に燃える姉・弟忍者の「早苗・四郎」。自分は抜け忍と名乗りながらも、実はカムイを追っていた追忍の「不動」。驚異的な身体能力を持ち、跳躍力に優れた猿飛の術の使い手の「マシラ」。カムイの必殺技である変移抜刀霞切りを初めて破った両手両足使いの凄腕忍者「名張りの五つ」。
カムイ同様に抜け忍でありながらも、カムイの必殺技を破るほど腕の立つ女忍者「スガル」。抜け忍だったスガルを助け、後に夫となった漁師の「半兵衛」。カムイを自らの身体で暖めて助けたことから、恋慕うようになる半兵衛とスガルの娘「サヤカ」。そして、カムイの唯一の相棒である鷹の「ハヤテ」などです。
白土三平漫画作品「カムイ外伝」のあらすじネタバレ、見どころとは?
白土三平の漫画作品「カムイ外伝」の舞台は、17世紀半ばの德川の世。全ての人間の価値は、身分制度によって定められていました。被差別部落で生まれ育った主人公のカムイは、どんなに能力があっても認められない世の中に嫌気がさし、人としてのプライドを取り戻すために、実力主義の忍の世界に身を置きます。
しかし、実は、忍の世界にも理不尽極まる身分制度が存在していました。「これでは人の世のほうがマシではないか」……あまりにも非情な忍びの掟に絶望したカムイは、忍の世界を脱退。掟破りの「抜け忍」となったカムイは、次々と放たれる「追忍」(抜け忍を始末する忍者)と対決する運命へと追い込まれます。
ついには、孤独なカムイの唯一無二の味方だった鷹のハヤテさえも、敵の放った鷲に襲われて命を落としてしまい、「心を許せるのはお前だけだった……」と思わず涙ぐむカムイ。この場面は、追忍との闘いを強いられ、常にクールにならざるを得なかったカムイが、初めて自らの弱さをさらけ出した名シーンでした。
白土三平漫画作品の最終回が後味悪すぎる!あらすじとネタバレ
白土三平漫画作品「カムイ外伝」はあまり人気が出なかったって本当なの?
白土三平の漫画作品「カムイ外伝」のテレビアニメ版「忍風カムイ外伝」は、毎週日曜日の18時30分~19時00分という、今や国民的アニメ番組となった「サザエさん」と同じ時間帯で放映されていました。オープニング曲「忍びのテーマ」ではインストゥメンタルを用い、ナレーション役に、伝説のラジオ番組「ジェットストリーム」の城達也を起用するなど、当時としては何とも斬新だったテレビアニメ版「忍風カムイ外伝」。
放映期間は、1969年4月~9月までの5カ月間でしたが、当初は、もっと長く放映する予定だったといいます。しかし、主人公が被差別部落出身の抜け忍という設定に加えて、過激な決闘シーンが多く、子供たちが観るには、あまりにも内容が残酷で、暗すぎるという理由で、視聴率が全く伸びませんでした。
白土三平原作「忍風カムイ外伝」の何とも後味が悪い最終回のあらすじネタバレ!
白土三平原作のアニメ「忍風カムイ外伝」は、「最終回の後味が悪いアニメ」としても知られています。24話~26話(最終話)の3話にかけて続くのですが、その内容と終わり方は、たしかに何とも後味が悪いといえます。カムイとスガルの命の恩人であり、自らもカムイと同じ「抜け忍」と言っていた不動でしたが、それはカムイを陥れるための大きな罠。本当は、カムイを殺すためにやって来た「追い忍」だった不動は、カムイを恋い慕っていたサヤカと半兵衛一家、村人たちをも惨殺します。
「この仇は必ず取る!」復讐に燃えたカムイは、最強の敵である不動との死闘に見事打ち勝ちました。しかし、「お前をそう簡単に死なせはしない」と、不動の両腕を切り落とした上に、「殺せ!」と叫ぶ不動を海に沈めて生きたままサメに食わすなどやりたい放題。その残酷さと後味の悪さといったら、本当に半端ではありません。
白土三平原作のカムイを手塚治虫が絶賛!自分のアニメ映画にも出演させていた?
白土三平の父・岡本唐貴(1903~86)は、戦前のプロレタリア美術のパイオニアでした。その没後30年展が、2016年12月16日まで倉敷市立美術館で開催されています。
白土三平のリアル感ある作風には、父親であるプロレタリア画家・岡本唐貴の生き様が強く反響されているようです。白土三平は、幼い頃、父について被差別部落で生活していました。その時の経験こそが、「カムイ外伝」が生まれたモチベーションだったのでしょう。カムイには、白土三平が当時一緒に暮らしていた人々の「声に出せぬ想い」が強く反映されている気がします。
そんなリアリティある作風だからこそ、白土三平の「カムイ外伝」は、「漫画の神様」の心をも動かしていました。自分に厳しいだけでなく、他の漫画家にも辛口だった「漫画の神様」手塚治虫は、「白土三平氏が登場してから、子供漫画には、それまでになかったリアリティやイデオロギーが要求されるようになった」と非常に評価しています。
白土三平自身も、手塚治虫から多大な影響を受けており、初期作品には、手塚作品のキャラクターが当たり前のように描かれていました。自分のキャラを使用されたことを不愉快に感じているかと思いきや、どうやら手塚治虫は喜んでいたようです。
その証拠に、虫プロが「大人のためのアニメーション」として製作した作品「クレオパトラ」(1970)には、白土三平の代表作「カムイ外伝」の主人公であるカムイを友情出演させています。テレビ放映当時は人気が出なかった「カムイ外伝」ではありますが、後には、ラジオドラマや映画にもなっている人気作品。
「大人のアニメーション」として、深夜枠でもいいので、再びテレビに戻って来てくれることを心から願っています。御年84歳になられる白土三平先生のお元気なうちに、どうか実現していただきたいものです。