「グイン・サーガ」飯を食べられる「居酒屋グイン亭」が営業する!

2015年5月18日 更新

2015年5月15日から東京は神田にある早川書房一階にある「カフェ・クリスティ」で、ある小説をモデルとした愛読者の為のお店が期間限定でオープンする事になりました。その小説は作者が病気の為この世を去り、未完となりかけた作品で、その後残された覚書を元に別の作家により続編が出版され、ファンはほっと胸を撫で下ろしたとか。そんなファンに愛され続けている作品と、その作品をモデルとしたお店とは。
「グイン・サーガ」飯を食べられる「居酒屋グイン亭」営業する!

栗本薫の「グイン・サーガ」に登場した数々の名物料理やドリンクが楽しめる!

5月15日から7月10日までの期間限定でオープンすることになった「居酒屋グイン亭」そのメニューなどは明らかになっていません。明らかになっているのは、店内のディスプレイには栗本薫の自筆原稿をはじめ、愛用のナンバリング、創作ノートなどのファンにとってとても貴重なお宝グッズの数々が展示され、また秘蔵映像も大型TVで楽しめるということ。それと特別企画が予定されており、日程は5/26の夜の部の予定で、栗本薫の夫であり、元編集者で現在天狼プロダクション代表取締役である今岡清がその部の店長をされるそうです。これであなたもグイン通。グイン・サーガ・トリビアクイズや、グイン・サーガのポストカードの配布なども予定されています。ファンにとってはこれ以上ないイベントで、いかずにはいられない内容になっています。営業時間は平日は昼の部が14時から17時まで。夜の部が17時から22時まで(ラストオーダーが21時まで)。土曜は11時から16時までで、ラストオーダーが15時まで。日曜祝日休業だそうです。今から回転が待ち遠しいですね!

栗本薫 不朽の名作「グイン・サーガ」とは

さて、グイン・サーガと言えば日本のファンタジー小説の中では不朽の名作として知られています。ですがご存知ない方もいらっしゃると思いますのでご説明させて頂きます。豹頭の戦士であるグインを主人公として、栗本薫の作り上げた世界と時代に生きる、グインを中心とした様々な人々の生と死と波乱を描いたサーガです。ちなみにサーガとは、アイスランド語で物語という意味です。サガと言われる場合もあります。主に中世アイスランドで成立した、古代ノルド語による古代中世の北欧散文作品群の総称のことを言います。ノルウェーやアイスランドで起こった出来事を中心とした題材で書かれたものが多いことが特徴であり、現代に約200点伝わっていると言われています。実際に調べてみると、ある戦士が仇討に出て成し遂げるも、その仇討相手の母親に呪い殺されたりする物語などがあり、それらを元としフィクションにおいて、一家一門の物語を壮大に描く長編の叙事小説やファンタジー作品などがサーガと呼ばれたり、タイトルを称したりするようになったようです。栗本薫が2009年にすい臓ガンで死去するまでの間に刊行されたのは正伝が130巻に外伝が22巻という、まさにサーガというに相応しい一代叙事詩です。シリーズが始まった際に100巻での完結を目指しているという構想が明らかになっていましたが、100巻では完結せず、完結に至るまでには多くの展開が残されており、どこまで続くのか解らないと言っていたと伝えられています。栗本薫の死後、夫である今岡清は生前に妻である栗本薫から、誰かがこの物語を語り継いでくれれば良いといっていたそうで、現在、宵野ゆめという方が後を継いで、未だにグインの旅は続いています。そして数多くのファンが、いつか来る結末へ向けた物語を読み続けている、人気の衰えない日本のファンタジー小説の代名詞と言っても良い作品です。機会がありましたら一読する事をお勧めします。

栗本薫のプロフィール

栗本薫 主な代表作は「グイン・サーガ」に留まらず、「ぼくらの時代」など多数。

栗本薫は1953年2月13日生まれ。東京葛飾区で裕福な家庭に生まれたそうです。そのご早稲田大学第一文学部に入学。卒業後に評論「パロディの起源と進化」で商業誌にデビューします。代表作は「グイン・サーガ」ひょろりとした長身で銀ぶち眼鏡の名探偵である伊集院大介を主人公とした長編ミステリー「伊集院大介シリーズ」全24作短編4冊。作者と同名の青年を主人公にした青春ミステリー「ぼくらシリーズ」クトゥルー神話を題材にして地球侵略を目論むクトゥルーの神々と、地球古来の神々、そして人間と三つ巴の戦いを描いた伝奇SF小説「魔界水滸伝」そして端正な顔立ちの不良少年が芸能界で自分の体を武器にのし上がっていくというボーイズラブ本「真夜中の天使」(当時放送されていた「悪魔のようなあいつ」というTVドラマの主人公を演じた沢田研二がモデルになったそうです)が主な代表作になります。デビュー後、作家活動を続けていく中で、1978年に「ぼくらの時代」で第24回江戸川乱歩賞を受賞し一躍脚光を浴びます。そこから「ぼくら」シリーズを刊行し、1979年9月に「グイン・サーガ」の記念すべきシリーズ第一巻「豹頭の仮面」が刊行されます。執筆の合間に、クイズ番組「象印クイズヒントでピント」へ女性3枠レギュラー解答者として出演したり、1981年には「絃の聖域」で第2回吉川英治文学新人賞を受賞と作家としての地位を確実なものとしていくだけでなく、女性作家の地位を高めたとも言えるでしょう。また同賞を受賞した12月に今岡清と結婚し、公私共に順調に進んでいきます。1983年にはクイズ番組「ヒントでピント」を産休の為に一時降板。1984年に復帰するも、1986年には執筆業専念を理由に降板します。執筆業に専念する最中、1990年に乳ガンが見つかり入院し手術します。翌々年にはその闘病の様子を記した「アマゾネスのように」を刊行。復帰後は次々と作品を世に送り出し、ついに2005年4月に「グイン・サーガ」シリーズは100巻目を迎えます。題名は「豹頭王の試練」一巻が「豹頭の仮面」ですから記念に相応しいタイトルですね。そして記念イベント百の大典」を開催しました。しかし2007年にすい臓ガンでガン手術を行います。そして翌年2008年に闘病記「ガン病棟のピーターラビット」を刊行しました。が、しかし2009年5月26日19時18分、グインの叙事詩を謡い続けた吟遊詩人は惜しまれながら、肝臓ガンの為この世を後にします。享年56歳という若さでした。

栗本薫 中島梓名義で数々の活動を行い、多才な能力を惜しまず出し切る

栗本薫は4歳からピアノを習っていたそうで、バンド活動を晩年まで続けていました。ホームページにはライブへの出演告知もされていたようです。また評論活動をする時、作詞作曲をする時、ミュージカルの演出脚本をする時は中島梓名義で活動し、エッセイも中島梓名義で、より人間栗本薫を掘り下げたような作品を書く為に、中島梓というネームを作ったのではないかと思うほどです。「息子に夢中」や「くたばれグルメ」「着物中毒」「美少年学入門」「にんげん動物園」そして闘病三部作となった「アマゾネスのように」「ガン病棟のピーターラビット」「転移」も中島梓名義になっています。絶筆となった「転移」には生の栗本薫が書かれており、元気だった頃の栗本薫を知る人は読了後なんともいえない気持ちになると言われています。「アマゾネスのように」では生きているから良いという気持ちが「転移」になると、生きていたいという切実な思いを書いています。「転移」では病状の悪化が克明につづられているそうで、その最後まで作家で居たいとし貫いたエッセイは一読の価値があります。

栗本薫の出身地 東京都葛飾区について

栗本薫の出身地、東京都葛飾区の観光スポット「帝釈天題経寺」

江戸時代初期の寛永6年西暦でいうと1629年に開創された日蓮宗寺院です。夏目漱石の「彼岸過迄」をはじめとした多くの文芸作品にも登場し、「わたくし、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯をつかい、姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します」でおなじみの人気映画シリーズ「男はつらいよ」の主人公で渥美清演じる車寅次郎ゆかりの御寺としても知られています。江戸期建築の最後の名匠と謡われる坂田留吉棟梁によって作られた、柴又帝釈天参道を歩いて最初に目に入る帝釈天「二天門」そして柴又帝釈天の本堂「帝釈堂」が歴史的建造物として有名です。特に帝釈堂の彫刻は名物になっており、「法華経」の中から説話を選んで施されたもので、大正末期から昭和9年に掛けて、十人の彫刻師によって制作されたのです。是非葛飾区へお越しの際は、帝釈天題経寺へ参拝してみては如何でしょうか。

栗本薫の出身地、東京都葛飾区の名物、葛飾柴又の「草だんご亀家本店」

東京の下町葛飾柴又の草だんご亀家本店は創業85年の歴史あるお店です。昭和2年に柴又帝釈天の近くに建てられたお店は、映画「男はつらいよ」に出てくるお団子屋さんのモデルにもなっています。テレビ東京系バラエティ番組“モヤモヤさま~ず”でも取り上げられており、帝釈天と言えば草だんご亀家本店と言っても言い過ぎではないほど有名です。そして味の方も材料にこだわり、合成着色料や香料、合成保存料などを一切使用せず、最上級の上新粉と新芽のよもぎ、北海道十勝産の特選小豆を使用したお団子は絶品です。また種類も豊富で、粒餡に始まり、ずんだだんご、ごまだんご、焼きだんごにみたらしだんご、のりだんごに紫芋だんごとバラエティに富んでいて、一つずつ味わいたくなるほどです。是非帝釈天へ参拝された帰り立ち寄って、お団子を味わってみては如何でしょうか。

栗本薫のサーガは幕が下りてしまいましたが、新しい栗本薫の世界で続くサーガをファンの方は語りながら、「居酒屋グイン亭」で交流してみては如何でしょうか。

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