「へんなものみっけ!」意外と知らない博物館の裏側を描いたお仕事漫画!昆虫学者も推薦!

「へんなものみっけ!」意外と知らない博物館の裏側を描いたお仕事漫画!

「へんなものみっけ!」は意外と知らない博物館の裏側を描いたお仕事漫画!

「へんなものみっけ!」は、「月刊!スピリッツ」にて2016年11月より連載されている漫画作品です。印象的なタイトルは、一見すると絵本のタイトルのよう。「へんなものとは何ぞや」と疑問をもってページを捲ると、ペリカンらしき動物の骨格標本が目に入り、驚かされます。

ある日、市役所に3年間勤務した薄井透は、博物館への出向を命じられました。バイクで出勤中、轢かれたカモシカを担いだ女性・清棲あかりと遭遇します。鮮度が命と言う彼女を乗せてたどり着いたのは、主に自然科学を扱う博物館でした。館長も市民から忘れられた存在と嘆くように、客はおらず寂れたように感じられます。

あかりに連れられてバックヤードにやってきた透は、さまざまな動物の死体や骨格と遭遇しますが、解体の手伝いをする中で、博物館の仕事に興味を持っていくことに。展示や研究だけではない、博物館での色々なお仕事を見ることができるのが「へんなものみっけ!」の最大の見所で、知識がなくとも十分楽しむことができます。

「へんなものみっけ!」ではこんなこともしている!?博物館のお仕事ネタバレ

「へんなものみっけ!」は、博物館のさまざまなお仕事を描いた作品です。博物館を訪れたことのある人にとっては、テーマごとに簡潔な解説文の付けられた展示品が並べられ、その中を静かに歩く、という印象が強いのではないでしょうか。実は博物館には、展示以外の役割も定められています。

それは、特定の分野において価値のある事物や美術工芸品、資料等を収集・保存し、博物館の職員である学芸員が研究する施設であるということです。そうなると、展示はもちろんのこと、研究も重要な職務。「へんなものみっけ!」に登場するかなでの森博物館は、自然科学を中心に扱っているため、動物の骨格標本や剥製なども作成しています。

作中では、カモシカを解体したほか、アンコウが海底の珍しい魚を飲み込んでいる可能性があるため、吐き出させようと踏みつけるという衝撃的な光景も。フクロウの巣立ちの研究のため、赤ちゃんの身体測定をして足環をつけるシーンでは、真剣なあかりに対し、あまりに無防備で可愛らしいフクロウの赤ちゃんに胸がキュンとなります。

「へんなものみっけ!」は時事ネタともリンク!作者・早良朋も野生動物を追いかけまわしていた?!

「へんなものみっけ!」は時事ネタともリンク!

「へんなものみっけ!」の舞台になっている博物館について、実際にどのような仕事をしているのか、どのような人が働いているのか等の詳しいことを知っている人は多くありません。その分、「へんなものみっけ!」を読むと「博物館の仕事が良く分かる」という意見が多い一方、運営維持費やバックヤードの広さなどに「さらなる疑問を抱いた」という感想も見られます。

専門が自然科学ということもあり、「専門的な知識が勉強になる」と感じられることに加え、学芸員のエキセントリックさに、「これくらい変人ではないと務まらないのかもしれない」という悟りめいた感想も見られました。2018年夏に、鎌倉市の由比ヶ浜海岸にシロナガスクジラの子供の死体が打ち上げられる、というニュースがありましたが、「へんなものみっけ!」にも、漂着したクジラで標本を作るというエピソードが登場します。

ニュースを見た時にこのエピソードを思い出したという読者も多く、作中で多く登場するセリフ「100年後の未来に届く仕事」であることを実感したようです。

「へんなものみっけ!」作者・早良朋も野生動物を追いかけまわしていた?!

博物館を舞台にした「へんなものみっけ!」では、博物館での仕事や動物の解剖など、特殊な描写が目立ちます。作者の早良朋(さわらとも)は、福岡県の出身。北海道の大学で畜産系を専攻し、研究していたことがあるようです。大学名は公表されていませんが、同じ大学だったという読者のコメントでは、解剖待ちのワシが冷凍庫に入っていたり、牛が学内を闊歩していたらしく、かなりのどかな環境であったことがうかがえます。

自身も野生動物を追いかけまわして研究していたらしく、その頃の経験を漫画に生かすことで、リアルさを生んでいるのでしょう。大学卒業後に上京した早良朋は、アシスタント経験を経て本作でデビューとなりました。漫画では早良朋と名乗っていますが、道朋名義でイラストも描いており、自身のサイトには、デフォルメされた動物のイラストを掲載。Twitterには、作品のことに加え、現在もアルバイトをしながら執筆しているなど、日常の話題も登場します。

「へんなものみっけ!」を昆虫学者も推薦!国立科学博物館とのコラボレーションも!

「へんなものみっけ!」は、意外と知られていない博物館の舞台裏を知ることができる漫画です。標本や剥製はどう作っているのか、研究はどのように行われているのか?展示品の向こう側には、学芸員たちの日々の努力や仕事の成果が発揮されており、読み進めていくと、博物館で働く人の存在をリアルに感じ取ることができます。

本書を読むことで、知らなかったことを知っていくという知的好奇心をくすぐられる読者も多いでしょう。難しい専門用語も登場しますが、あかりをはじめとした学芸員たちは、どこか突拍子もない変人ばかりで展開はコミカル。事務員の透の目線で描かれているため、難しすぎることはありません。

説明は長文過ぎず、絵で見られるという漫画の利点もあり、子供でも読み進めることができるでしょう。本作には、現役の学芸員や研究者も注目しており、2巻では、昆虫学者の前野ウルド浩太郎の推薦文が帯を飾りました。前野ウルド浩太郎は、国立研究開発法人国際農林水産業研究センター研究員。アフリカで大発生して緑を食べてしまうサバクトビバッタを研究している、バッタ博士として知られている人物です。

アフリカでのバッタとの死闘を綴った「バッタを倒しにアフリカへ」は、前野ウルド浩太郎自身が、バッタに扮し網を構えているというインパクトのある表紙が印象的でした。そのインパクトと研究に対するストイックさが好評となり、「親書大賞2018」大賞を受賞しています。

そんな著名な研究者も知的探求心をくすぐられる「へんなものみっけ!」。2018年9月4日から11月25日にかけては、東京の国立科学博物館で開催される企画展「標本づくりの技(ワザ)-職人たちが支える科博-」でコラボレーションすることが発表されました。「へんなものみっけ!」作者の早良朋は、国立科学博物館で実際に標本を作った経験があるらしく、どのようなコラボレーションとなるのか期待が高まります。本編とともに企画展も楽しみましょう。

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