川端康成「古都」あらすじ!ノーベル賞受賞作「雪国」冒頭の美しさとは?

川端康成「古都」あらすじと映画キャスト!代表作おすすめランキング!

川端康成「古都」は京都四季に彩られた儚い双子姉妹の物語!2度目の映画化は山口百恵引退記念映画だった!

川端康成の数多くの作品は、映画やドラマ化されています。中でも「古都」は、2016年に映画化される作品を含め、これまで3回も映画化されています。「古都」のあらすじを、まずご紹介しましょう。京都の裕福な呉服問屋の一人娘、千重子は、自分が捨て子ではないかということに、密かに悩んでいました。

5月のある日、友達と北山杉を見にいった千重子は、北山杉を磨いている、自分とうり二つの娘を見つけます。そして今度は、祇園祭の夜。千重子は八坂神社の御旅所で、熱心に七度参りをしている娘・苗子を見つけ、自分たちが双子であることを知ります。秋には、苗子のほのかな恋模様を交えながら、冬を迎えた2人。姉妹としてたった一晩だけ、床を共にして語り合いますが、苗子はこれ以上、千重子の生活を乱すまいと、冬の朝早く北山へ帰っていくという物語です。

京都の四季に彩られながら、まるで能の幽玄の世界を見るような、儚い出会いと別れが描かれている「古都」。1963年には松竹が映画化し、双子の姉妹役は、岩下志麻が演じました。そして1980年には東宝が、山口百恵引退記念作品として映画「古都」を制作。名匠市川昆監督がメガホンを取っています。

川端康成代表作おすすめランキング!ノーベル文学賞受賞理由とは?

川端康成は、1968年に日本人初のノーベル文学賞を獲得した作家です。総髪痩躯で髑髏に張り付いたような顔に、ギロリとした目つきが印象的な、着物姿の老人のポートレートは、日本人なら誰もが見たことがあるでしょう。そんな川端康成の代表作といえるのが、「伊豆の踊子」や「雪国」「古都」などです。いずれもランキングにはしがたい、世界にも知られる名作で、どの作品も四季おりおりの「自然の美」と、そこに生きる日本人特有の美意識や死生観などが、叙情豊かに表現されています。

川端康成がノーベル文学賞を受賞した理由は「すぐれた感受性をもって、日本人の心を表現し、世界中の人々に深い感銘を与えた」から。選出根拠となった作品としては、「古都」や「雪国」のほかに、「千羽鶴」や「水月」「ほくろの手紙」があげられました。ノーベル文学賞受賞に際し、「運が良かった」と謙遜して見せた川端康成。そのあり方もまた、日本人の精神を体現していたといえましょう。

川端康成ノーベル賞受賞作「雪国」冒頭を検証!死因の真相は?

川端康成「雪国」冒頭に見る「美しい日本」の表現

川端康成のもう1つの名作「雪国」。中身は知らなくても、冒頭の一文を知らない人はいないでしょう。「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」。残りはさらに、「夜の底が白くなった。信号所に汽車が止まった」と続きます。「雪国」の冒頭の一文に関しては、次のように分析した評論がありました。この文章には汽車や主人公の名前といった主語がありません。

そのため、読者自身が主人公であるかのような錯覚が生まれます。読者は、主人公が乗っている汽車が、長いトンネルを抜けて雪国に辿り着き、信号所で汽車が止まったと、脳裏に明確にイメージできるのです。それだけではありません。詳細な説明をあえて省略することで、スピード感のある印象を与え、読者が、汽車に乗っている主人公の気持ちとシンクロして景色を追体験できるようになってもいます。

冒頭のこの一文だけで、読者を物語の世界に引き込むことができているという評価です。また、川端康成の文章や言葉は、推敲に推敲が重ねられ、言葉の音感、韻さえも踏まえていて、徹底して日本語の美しさを追求した、極めて繊細な作品といえます。

川端康成が愛弟子三島由紀夫と滅びゆく美しい日本に捧げた自死

川端康成がノーベル賞を獲った1968年の日本は、学生紛争や70年安保に揺れ、左右勢力が真っ向から対決した時代でした。川端康成には、戦後断絶してしまった日本の美が、まさに風前の灯であるという危機感がありました。さらに1970年には、自分の子供のように可愛いがっていた三島由紀夫が、自らが結成した「楯の会」の有志とともに、市ヶ谷駐屯地の自衛隊隊員にクーデターを呼びかけたものの叶わず、割腹自殺を遂げる三島事件が起こります。

翌1971年には、川端康成に三島由紀夫の無念が乗り移ったように、左右陣営の対決となった東京都の都知事選に自ら関わりますが、ここでも前警視総監秦野彰が、美濃部亮吉に敗れます。そして1972年、川端康成は、自宅で、突然ガス自殺を遂げてしまいました。72歳でした。死因の真相についてはあれこれ憶測されましたが、自らが考える「美しい日本」が次々と崩壊していく世の中や、自身の老残に絶望して自死したのではないかと考えられます。いずれにせよ、川端康成の自死は、日本の美に殉じた死であったといえます。

川端康成「古都」36年ぶりの映画化で松雪泰子が女優生命を賭けて挑む

川端康成「古都」が、山口百恵引退記念映画から36年たった2016年冬、再映画化されます。渡部篤郎、山田孝之、常盤貴子、竹内結子、北川景子など人気俳優を要する、大手芸能プロダクション、スターダストプロモーションが制作を仕掛けている平成版「古都」。監督は、高校卒業後渡米して、ハリウッドで8年映画作りを学び、帰国後もアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥなど名匠の現場に参加して、CMや短編、連続テレビドラマなどを撮っている、今注目の女流監督Yuki Saitoです。

そして、ヒロインの千重子、苗子の二役を演じるのは、スターダストプロモーションの看板女優のひとり、松雪泰子。映画は、川端康成の「古都」本来の物語をなぞるだけでなく、双子姉妹の20年後の物語を描くそうです。千恵子と苗子それぞれには、娘がいる設定になっていて、千恵子の娘役には橋本愛、苗子の娘役には成海璃子と、若手実力派女優を起用しています。

物語は、京都の四季を追うだけでなく、フランスパリにも展開しますが、川端康成が描いた美しい日本、美しい京都を、21世紀の今、どう表現するのでしょうか。また、これまで、どちらかといえば現代的な女性ばかりを演じてきた松雪泰子が、京ことばもはんなりと、たおやかな日本女性を演じることができるかなど、大注目の映画「古都」。いずれにせよ、松雪泰子にとって、「古都」は、主演女優として、今後のステップアップを賭けた映画となりそうです。

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