松本光司「彼岸島」ただのホラー漫画じゃなかった!シュール過ぎるギャグまとめ

松本光司「彼岸島」ただのホラー漫画じゃなかった!シュール過ぎるギャグまとめ

松本光司「彼岸島」人気ホラー漫画なのに爆笑必至!?実はシュールギャグ漫画だった!

松本光司の「彼岸島」は、2002年から週刊ヤングマガジンで連載されているホラー漫画です。2010年からは「彼岸島 最後の47日間」、さらに2014年からは「彼岸島 48日後…」とタイトルを変えて、今もなお連載中。ゲーム、実写ドラマ・映画化を経て、2016年にも再びドラマ・映画が制作されるという、ヤングマガジンきってのエース作品となりました。

「彼岸島」は、”吸血鬼サバイバルホラー”をキャッチコピーとしています。舞台は、吸血鬼・雅に支配された絶海の孤島。生存と脱出がかかった主人公・宮本明ら若者たちと、吸血鬼や邪鬼たちとの間に繰り広げられる戦いは、ハラハラドキドキを超え、グロテスクなスプラッターシーンの連続です。ホラーが苦手な人は、コミックスの表紙から拒否反応を示してしまいそうな「彼岸島」。しかし実は、カオス感たっぷりの”シュールギャグ漫画”という楽しみ方があったようです。

松本光司「彼岸島」はシュールギャグ満載!どこまで正気なの!?

松本光司「彼岸島」の連載当初は、身の毛もよだつホラー漫画でしたが、なぜか、少しずつシュールギャグ路線に傾いてきました。中でも、”丸太”は、その象徴的な存在です。驚異的な生命力をもつ吸血鬼を倒すためには、頭部を破壊しなければならないという理屈で、丸太は、「彼岸島」で最も多用される武器となりました。

ところが、次第に飛び道具化したり、吸血鬼の血液感染を防いだりと、無茶苦茶な万能ぶりを発揮するようになると、丸太ごときを世の中の真理のごとく扱う様子が、ギャグとしか思えなくなってしまいます。作画的にも、何の変哲もない丸太に過ぎないだけに、なかなか滑稽な絵面です。

また、”吸血鬼のライフルによる狙撃攻撃”という時点で常軌を逸しているというのに、危機にさらされながらも、「念のため、頭だけ守ろう」という宮本明の言葉は、全く尋常ではありません。さらに、「鍋や斧で頭を守りながら進むんだ!」とは、松本光司の非凡さに脱帽です。

その他にも、決して1コマでは片付けられない展開を雑に盛り込んだり、反対に、まるで必要性のないコマを乱立させたりと、ツッコミどころ満載の「彼岸島」。松本光司は、至って大真面目なのかもしれませんが、こうなると、擬音語や擬態語の文字にすら、笑いがこみ上げてしまいます。

松本光司「彼岸島」の設定は矛盾だらけ?漫画のあらすじネタバレ

松本光司「彼岸島」設定の矛盾を堂々とゴリ押しする態度が面白い!

松本光司「彼岸島」のサイン会では、禁止事項に、”時系列のツッコミはやめてください”との文言が盛り込まれているそうですが、約15年の長期連載作品となると、そういった矛盾が生じても仕方ないでしょう。ただ、多くの読者が矛盾を感じているのは時系列ではなく、ブレまくっている設定そのものです。

例えば、肝心要の”血液感染で吸血鬼化する”という設定。吸血鬼の血で汚染された池の中を移動しなければならい時、「目や口をこする両手を血で汚さない方がいい」と、主人公・宮本明が、粘膜感染を恐れる発言をしています。しかし、吸血鬼との戦いで、おびただしい返り血を顔面に浴びても感染することはないようです。

また、彼岸島は、初期に比べて、砂丘や樹海が現れるなど、明らかに島がサイズアップしています。脱出不可能の絶海の孤島のはずが、植林することなく、大量の丸太が無限に出現し続けるばかりか、島に存在しそうにない日本刀やマシンガン、豚汁の材料などが、根拠を無視して都合よく登場。矛盾というより、ここまで雑な展開をゴリ押しする姿勢は、近代の漫画作品にはない魅力と見ることもできそうです。

松本光司「彼岸島」マンガシリーズのあらすじネタバレをおさらい!

松本光司「彼岸島」の楽しみ方がホラー以外にもあると分かったところで、今一度、あらすじをさらっておきましょう。物語は、主人公・宮本明が、日本本土で出会った謎の女・青山冷によって、行方不明になった兄・宮本篤が彼岸島にいること知らされるところから始まります。友人らと共に彼岸島へと渡った宮本明は、再会した兄と共に島からの脱出を目指して吸血鬼らと戦いますが、友人の死を目の当たりにし、吸血鬼の頭領・雅の打倒を心に誓います。

師匠の下、修行に励んだ宮本明は、人間のレベルを超える能力を身に付けました。「彼岸島 最後の47日間」では、日本本土に蚊を媒介して、吸血鬼ウィルスを撒き散らす吸血鬼軍の計画を阻止するため、宮本明率いる人間軍が奮闘します。同シリーズでは、雅によって師匠が殺され、宮本明も右腕を失うなどして、人間軍が敗北するというバッドエンド。

日本が吸血鬼の国と化してしまった「彼岸島 48日後…」では、舞台は、日本本土に移ります。生き残った人間たちに”救世主”と崇められながら、兄や多くの仲間を殺された恨みを晴らす復讐の鬼となった宮本明は、今もなお雅を倒すべく、吸血鬼を冷徹に切り続けています。

松本光司「彼岸島」2016年続編ドラマ・映画は製作費6億円!キャストは?

松本光司「彼岸島 最後の47日間」で右手を失った主人公・宮本明は、「彼岸島 48日後」以降は、義手を装着しています。その義手を外せば日本刀が仕込まれているのですが、刃先が90度ほどカーブしており、「一体どうやって納まっていたの!?」と論争を呼びました。

しかも、あるシーンでは、取り外した右手の義手が、どう見ても左手という小ネタまで。他にも、松本光司の一般性を疑うようなマヌケな描写は数知れませんが、もしかすると、読者に引っかかりを覚えさせるために、意図的に作られた仕掛けなのかもしれませんね。

シリアスとギャグ、どこまでを正気で描いているかが判別を付けられそうにない「彼岸島」は、B級感満載のホラー漫画として、多くの読者に愛され続けています。三池崇史監修の下で初めて実写化される際には、松本光司自身が「コレを!?」と驚いたそうですが、存外に高評価となりました。2016年9月からTBS系で放送されているドラマ「彼岸島 Love is over」は、2013年ドラマ化作品の続編です。

「彼岸島 Love is over」の続編となる、10月15日公開の映画「彼岸島デラックス」とあわせると、総額6億円にものぼる大プロジェクトとなっています。”ラスボスは兄”というキャッチコピーの通り、W主演となる宮本明役の白石隼也と、兄・宮本篤役の鈴木亮平の壮絶な兄弟対決という、過去最高の盛り上がりを予感させる仕込みも万全です。

また、主演の2人と、吸血鬼の頭領・雅役の栗原類ら、前作からの続投組だけではなく、身長262cm、体重198kgの謎多きダークヒーロー・師匠の声を演じる石橋蓮司などの新キャストにも乞うご期待。映画「彼岸島デラックス」は、ホラー作品などに重点を置いたスペインの映画祭「シッチェス・カタロニア国際映画祭」への出品も決まりました。日本の吸血鬼ギャグホラーが、吸血鬼伝説の本場・ヨーロッパに殴り込みをかけるという構図も、かなりシュールな面白味を感じます。

関連記事

ページ上部へ戻る