夏目漱石の名作「夢十夜」「こころ」あらすじ感想!コレだけ映像化されていた!
夏目漱石の名作「夢十夜」のあらすじ感想!映像化はたったの一度だけ?
夏目漱石といえば、日本で知らない人などいない小説家。千円札(D号券)の肖像として選ばれた、日本を代表する文豪です。そんな夏目漱石の代表作の一つといえば、「夢十夜」。その名の通り、10の夢の世界を綴った作品です。一体どのような物語なのか、特に印象に残った第六夜のあらすじについてご紹介しましょう。
「夢十夜」の主人公は、仏師・運慶が仁王像を彫っている姿を目にします。すると、隣にいた男が「運慶は、木の中に埋まっている仁王を掘り出しているだけだ」と言いました。それを聞いた主人公は、自分も仁王像を彫りたいと思い、家にある薪を片っ端から彫っていきます。しかし、彫れども彫れども、仁王は出てきません。そして、「明治の木にはとうてい仁王は埋まっていないものだ」と悟ります。
夏目漱石の「夢十夜」は、明治の芸術に対する批判だという見解があります。運慶はまだ見ぬ仁王の姿を木の中に見出し、それを生み出す能力を持っていました。しかし、明治に作られた文学や美術には、そういった芸術の理想を成し遂げた作品は一切ないということを示す物語だという意味です。芸術と精神は切っても切れないもの。夏目漱石はこのことを上手く表現したと言えるでしょう。
「夢十夜」を映像化した作品には、2007年に公開された映画「ユメ十夜」があります。第六夜の主演は阿部サダヲ。監督・脚本は、松尾スズキです。小説を読んだ後に、鑑賞すると、さらに楽しめるのではないでしょうか。
夏目漱石の名作「こころ」のあらすじ感想!何度も映像化されるほどの人気作!
夏目漱石の有名なもう一つの代表作といえば、「こころ」です。多くの人を魅了し続ける「こころ」は、一体どのような物語なのか、そのあらすじについてご紹介します。
主人公・私(名前なし)は、夏休みに鎌倉を訪れ、「先生」と呼ばれる人物に出会います。二人は親交を深め、東京に戻った後も、私はたびたび先生を訪ねるようになります。しかし、先生はあまり自分のことを話さず、私は先生との間にこころの壁があると感じていました。その昔、先生は快活な性格でしたが、ある時期を境に、こころを閉ざすようになったと聞いた私。先生に過去について話してほしいと伝えると、先生は、その時が来たら話すと答えました。
その後、大学を卒業した私が帰省した際、病気になっていた父の容体が悪化。父を安心させるために、私は先生に、就職の支援を願い出る手紙を出しました。しばらくして、先生から届いたのは分厚い手紙。そこには、先生の過去が書かれていて、信頼していた人に裏切られ、そして、信頼していた親友を裏切り、そんな内容でした。そして、手紙の最後には、先生の死の決意が。この手紙は、先生の遺書だったのです。
人は、いざという時に誰かを裏切ることがあります。しかし、その後に待ち受けているのは罪悪感と後悔だけ。夏目漱石作の「こころ」は、そんな人間の心を上手く表現した作品です。
「こころ」はこれまでに、ドラマや舞台、漫画化、アニメ化とその回数10回以上。それだけ多くの人の心を引きつけてやまない作品といえるでしょう。
夏目漱石の三部作をピース又吉が絶賛するワケ!脳が東京大学医学部に保管されている!
夏目漱石の三部作をピース又吉が絶賛するそのワケとは?小説を面白く読む方法とは?
夏目漱石の三部作というと、「三四郎」「それから」「門」ですが、この三部作をお笑いコンビ・ピースの又吉直樹が絶賛しているとの噂が。又吉直樹は、小説「火花」を執筆し、2015年に芥川賞を受賞したお笑い芸人です。大の読書好きで有名な又吉直樹のおすすめは、本当に夏目漱石の三部作なのでしょうか?
又吉直樹は、夏目漱石の作品をこよなく愛しており、特に、「吾輩は猫である」「坊っちゃん」をおすすめ本として紹介しています。この二作と「こころ」は、夏目漱石の三部作ではなく、三大名作。おそらく、夏目漱石三部作も好きな作品でしょうが、おすすめしたい作品というと、やはり三大名作のようです。
又吉直樹は、特に「坊っちゃん」を絶賛しています。そのワケとは、「坊っちゃん」を読んだ時、読書人生の転機が訪れたから。又吉直樹は、「坊っちゃん」を読むまで、小説というのは、偉い人物が書いたお堅い文章というイメージを持っていたそうです。しかし、「坊っちゃん」に出てくる登場人物は、いたずら、悪口、暴力などやりたい放題!しかし、義理と人情を感じられる部分もあるので、又吉直樹は「坊っちゃん」を読んで初めて、小説は面白いものなのだと感じたそうです。
小説は、おもしろスイッチを入れると、より一層面白くなるという又吉直樹。小説には、落語のような面白さがそこかしこに散りばめられており、夏目漱石の作品も、そういった落語的な視点から読むと、とても面白いそうです。
夏目漱石の脳は現在も保管されている!東京大学医学部にある「傑出人の脳」コレクションとは?
夏目漱石は、明治から現代へと、ロングセラーを誇る作品をこの世に生み出してきました。夏目漱石は、出血性胃潰瘍により、1916年(大正5年)に亡くなったといわれています。実は、そんな夏目漱石の脳が現代に残されているという噂があるのですが、一体、どういうことなのでしょうか?
夏目漱石の脳は、現在、東京大学医学部にある標本室に、ホルマリン漬けにされた状態で保管されているそうです。夏目漱石の遺体は、亡くなった翌日に、東京大学教授であり、夏目漱石の主治医でもある長與又郎によって解剖されました。そして、解剖した際に摘出した脳と胃が東京大学に寄贈されたのだそうです。
標本室に展示されている脳は、「傑出人の脳」というコレクションとして長與又郎が集めたもの。優秀な日本人に対する敬意を表したといわれています。「傑出人の脳」なので、夏目漱石だけではなく、他の偉人たちの脳もいくつか展示されており、他には、刺青が施された皮膚も展示されているのだとか。……なかなかにきつい光景が想像できます。
尚、標本室は一般公開されていません。医学・医療関係者が対象で、利用は、勉学・研究のために限定されているそうです。
夏目漱石の意外な性格!こころや感情を素直に表すロマンあふれる激情家!
夏目漱石は、近代文学を代表する文豪です。文学の偉人とも言われている夏目漱石がどのような人物だったのかというと、どうやら、とてもロマンチストで、かなりの激情家でもあったようです。
夏目漱石は、東京大学で英文学の講師を務めていたことがありました。その講義で、「I love you」を「我汝を愛す」と翻訳した学生に対し、「日本人はそういう無粋なことは言わないものだ。そんな時は、「月がきれいですね」とでも訳しておくのが良い」と言ったと伝えられています。
最近では、言いたいことははっきり言ったほうが分かりやすくて良いとされていますが、もともとの日本人の精神は、感情や思いを即物的な表現で伝えるのではなく、じわじわと感じさせることを重んじていました。夏目漱石が言ったのは、まさにこうしたことでしょう。相手に、自分の思いを感じ取らせようとする、日本人のロマンや心の余裕がうかがえます。
しかし、ロマンチストな一面があるかと思えば、夏目漱石には、激情的な一面もありました。それは、弟子の芥川龍之介と共に銭湯へ行った時のこと。洗い場で体を洗っていたところ、夏目漱石の隣にいた男が、自身にお湯をかけていました。かなり荒っぽいかけ方だったため、お湯が、夏目漱石の顔にも少々かかってしまったのだそうです。
これに、夏目漱石は大激怒!すぐさま、「馬鹿野郎!」と、男に怒鳴りつけたそうです。その男は、かなり鍛えた身体つきをしていたため、夏目漱石はつい怒鳴ってしまったが、どうしようかと内心慌てたといいます。しかし、男がすぐに謝罪したため、事なきを得ました。夏目漱石は、感情が高ぶると、つい咄嗟に、言葉を発してしまったり、行動してしまったりしてしまう性格なのでしょう。
「文豪」というと、常に落ち着いていて、あまり人前では感情を露わにしないイメージがありましたが、そんなことはないようです。むしろ、人間の心や精神を大事にしており、感受性豊かで、とても素直なのでしょう。夏目漱石の人間くささを知ってから、改めて、夏目漱石の作品を読み漁ってみると、何か新しい発見があるかもしれません。次に何を読もうかと迷っている方は、夏目漱石の作品を読んでみてはいかがでしょうか?