西川美和「夢売るふたり」「ゆれる」美人映画監督の作品がスゴイ!

西川美和「夢売るふたり」「ゆれる」美人映画監督の作品がスゴイ!

西川美和「夢売るふたり」美人映画監督の作品がスゴイ!結婚詐欺を通して描く男と女の関係

西川美和「夢売るふたり」は、2012年6月8日に公開されたR15+指定作品です。美人映画監督として知られる西川美和の、長編映画4作目となります。原案・脚本・監督すべてを西川美和自身が手がけ、企画協力として是枝裕和も尽力した本作では、西川美和が初めて女性を主人公に据えました。

作品を貫くテーマは女性の生き方で、キャッチコピーは「人間最大の謎は、男と女」。物語は、里子・貫也夫婦が経営する小料理店「いちざわ」が、火事で全焼してしまうところから始まります。店を失って堕落していく夫の不倫をきっかけに、里子が、店を再建するための方法として、結婚詐欺を提案。結婚願望をもつ独身女性をターゲットにして、結婚詐欺でお金を集めていきます。再建の資金は順調に集まり、店の土地や建築も始まりました。しかし、それと反比例するように、夫婦の間には溝ができはじめます。

結婚詐欺を提案した妻・市澤里子を松たか子が、市澤貫也を阿部サダヲが演じ、結婚詐欺の被害者で、重要人物となる棚橋咲月を田中麗奈、同じ結婚詐欺の被害者で男運の悪い風俗嬢を安藤玉恵が演じました。
このなんとも奇妙な設定の映画「夢売るふたり」は、第37回トロント国際映画祭正式出品作品となり、国内でも、日本アカデミー賞優秀主演女優賞、横浜映画祭主演女優賞、高崎映画祭最優秀監督賞などを受賞しています。

西川美和「ゆれる」は兄弟の軋轢を描く大傑作!

西川美和「夢売るふたり」の前に公開された映画作品の1つに、「ゆれる」があります。「ゆれる」は、演出を、国内外から高く評価され、数々の映画賞を受賞した作品です。着想は、西川美和が見た悪夢で、「友人が殺人を犯す」というもの。これが、友人関係ではなく、兄弟関係に置き換えられて描かれています。

「ゆれる」に登場する主な人物は、オダギリジョー演じる早川猛と、香川照之が演じる早川稔、そして真木よう子演じる川端智恵子です。猛が上京し、写真家として活躍する一方で、兄の稔は、実家のガソリンスタンドを切り盛りしながら、客の苦情に耐え、従業員の面倒を見る日々。稔は、一生懸命に働く男性でしたが、女性に縁もなく、面倒な父親の相手をするばかりの鬱屈とした生活を送っていました。

母親の法事で、久しぶりに猛が帰省し、ガソリンスタンドで働く猛の昔の恋人・智恵子と猛が一夜を共にしたことを知った兄は、弟に対し複雑な感情を募らせることになります。実は、稔は、智恵子に、密かに想いを寄せていたのです。しかしその後、智恵子は、稔に対して、生理的な嫌悪感を抱いていたことが明らかに。

そんな中、猛・稔・智恵子の3人で遊びに来た渓谷で、猛が智恵子から距離を取って写真を撮っていたとき、智恵子が吊り橋から落下してしまいました。近くにいたのは、稔です。智恵子が落ちたのは、事故か事件か……最初は、裁判で、稔をかばっていた猛の心がゆれ、兄弟間にくすぶっていた軋轢が顔を出していきます。

この「ゆれる」は、第59回カンヌ国際映画祭監督週間の正式出品作品に選ばれました。また、稔を演じた香川照之が多くの助演男優賞を受賞する他、横浜映画祭では、作品賞、監督賞、脚本賞を受賞。朝日ベストテン映画祭では日本映画1位、毎日映画コンクールでは日本映画大賞、キネマ旬報ベスト・テンでは日本映画ベスト・テン2位および脚本賞を受賞しています。

さらに、ブルーリボン賞では監督賞、読売文学賞では戯曲・シナリオ賞、東京スポーツ映画大賞で作品賞、監督賞、高崎映画祭で最優秀監督賞なども獲得。西川美和の「ゆれる」は、2006年度の日本映画の中で、最高の評価を受けた大傑作といえるでしょう。

西川美和は是枝裕和の秘蔵っ子!結婚やプロフィールは?

西川美和は是枝裕和の秘蔵っ子!落ち続けて拾われた先の是枝組でチャンスをつかむ

西川美和は、大学時代から映画製作を志していました。しかし、映画に携わろうと映画制作会社の面接を受けるも、落ち続ける日々。そこを、テレビマンユニオンの面接担当だった是枝裕和(これえだひろかず)に拾われたといいます。

是枝裕和といえば、「そして父になる」「誰も知らない」「海街diary」などで国内外から高い評価を受けている映画監督です。2015年公開の「海街diary」は、第68回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、第39回日本アカデミー賞では、最優秀作品賞や最優秀監督賞などを受賞したことも記憶に新しいでしょう。

是枝裕和に熱意を買われ、映画「ワンダフルライフ」に、フリーのスタッフとして参加した西川美和。2002年には、西川美和の自作脚本である「蛇イチゴ」で、主演に宮迫博之を迎えて、早くも監督デビューを果たしました。「蛇イチゴ」は、数々の国内映画賞で新人賞を受賞していますが、この製作にも、是枝裕和の名前があります。

西川美和が是枝組に加わったことは、是枝裕和にとっても、大きな転換期を迎えるきっかけとなりました。当時、是枝裕和は、毎週土曜日に、取材プロデューサーたちから、次回作のテーマに沿ったプレゼンを受けていました。他の取材プロデューサーが、是枝裕和の好みを聞いてから取り組もうとするのに対して、西川美和は、自分が「これがいい!」と感じたものでプレゼンを行っていたそうです。

西川美和のプレゼンを見て、「このほうが、絶対に映画が豊かになる」と感じた是枝裕和は、映画の撮影現場で、監督助手との間にこの方法を採用するように。それ以後、スタッフの意見を聞きながら映画を作り上げていくスタイルになっていったと、是枝裕和は語っています。

西川美和の結婚やプロフィールは?テレビ番組作品や小説でも活躍

西川美和は、1974年7月8日に、広島県で生まれ、今年で42歳です。美人監督としても知られる西川美和。結婚しているかどうかも気になるところですが、結婚に対しては、積極的な姿勢を見せていません。むしろ、「女性の幸せ」のようにいわれることの多い結婚よりも、仕事を優先していきたいと語っています。満足してしまうと、芸がうまくできなくなることが多いというお笑い芸人を例に出した西川美和。自身も、良い作品をつくるために、映画に打ち込んで結婚はしない方向で頑張っていくと明言しています。

現在は、映画監督、脚本家、小説家として活躍している西川美和の出身中学・高校は、カトリックのノートルダム清心中学校・高等学校で、早稲田大学第一文学部では、美術史学を専攻。2002年に、ブラックコメディ映画「蛇イチゴ」で監督デビューを果たします。「蛇イチゴ」は、第58回毎日映画コンクールで脚本賞を受賞する他、多くの新人賞を受賞しました。

2003年には、NHKハイビジョンスペシャルで、「いま裸にしたい男達/宮迫が笑われなくなった日」を発表。ATP賞・ドキュメンタリー部門優秀賞を受賞します。その後も、西川美和は、才能を発揮し続け、オムニバス映画なども手がけながら、2006年には、西川美和に多くの映画賞をもたらすことになる映画「ゆれる」を公開。カンヌ国際映画祭監督週間に唯一の日本映画として正式出品されました。

続く2007年は、オムニバス映画の他に小説も発表。2009年には、西川美和オリジナル脚本による長編3作目「ディア・ドクター」が公開され、キネマ旬報ベスト・テンで、日本映画1位に選ばれ、2度目のブルーリボン賞監督賞も贈られています。4作目「夢売るふたり」が公開されたのは、2012年9月のことです。2015年には、小説「永い言い訳」で、第28回山本周五郎賞候補、第153回直木賞候補となり、2016年10月には、西川美和自身の手によって映画化され、現在公開されています。

西川美和の映画にかける想い!最新作「永い言い訳」秘話も公開

西川美和と、ミュージシャンの「いきものがかり」水野良樹が、2016年10月1日に放映されたNHK・Eテレ「SWITCHインタビュー 達人達」に出演。「自己表現のジレンマ」や「表現することの不思議」などについて語り合いました。

「SWITCH」は、異なる分野で活躍する2人の「達人」が、番組の前半と後半で立場を入れ替えながらインタビューをするトーク番組です。「他人のために歌をつくる」水野良樹と、「他人が演じる作品」を書く西川美和という、「他人を介して自己表現する」共通点を持つ2人。だからこそわかり合える「表現」に関するトークは、作品作りを行っている多くの方も共感できる内容だったのではないでしょうか。

そんな西川美和による、監督最新作「永い言い訳」が、2016年10月14日から公開されています。公開に先だって、CS映画専門チャンネルのムービープラスでは、「この映画が観たい」という番組で、西川美和を迎えて、「永い言い訳」を特集。西川美和や出演俳優たちが、「永い言い訳」製作秘話を明かしています。

「永い言い訳」は、西川美和の同名小説が原作です。執筆のきっかけは、東日本大震災のあった2011年の暮れに、「いい関係のまま最後のお別れをした人たちばかりではなかっただろう」「突然の別れを経験した人が、その後どのように立ち直っていくかというドラマを作ってみたい」と考えたことだったといいます。

主人公を小説家という設定にした理由については、「複雑な後悔を表現するには、“作家”という設定であれば、映画の中でも言葉豊かに表現できると思った」と答えた西川美和。主演の本木雅弘は、「立場によって受け取り方が異なる、とても深い映画だと思います」と語り、西川美和は、「自分の大事な人やご家族と薦め合えるものになっていると思います」とまとめました。

西川美和の作品としては珍しく、「ほのかな幸福感」を味わって終わるという「永い言い訳」。物語は、妻の事故死を受けても涙が出ず、まるで他人事のようにしか受け取れなかった作家・衣笠幸夫が、同じ事故で母親を失った兄妹やその父親と交流する中で変化していく様子が描かれます。失った人を大切に思うようになる心の変化とはどのようなものなのか、ぜひ劇場で体験してみてください。

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