乃南アサは女刑事・音道貴子シリーズ「凍える牙」で直木賞受賞!エッセイや紀行文も面白い

乃南アサは女刑事・音道貴子シリーズ「凍える牙」で直木賞受賞!デビュー作「幸福な食卓」も傑作

乃南アサの女刑事・音道貴子シリーズ「凍える牙」で直木賞受賞!

乃南アサ(のなみあさ)は、1996年に「凍える牙」で直木賞を受賞した人気小説家です。これまで、数多くの作品が映像化されてきました。女性の心理を巧みに描き出す筆致は特に高く評価されており、その筆頭に挙げられるのが、「凍える牙」と言えるでしょう。

バツイチの女刑事を主人公に据えた音道貴子シリーズの第1作目にして最高傑作と名高い本作。男社会の警察で慣れ合うことなく戦い抜く音道貴子というヒロイン像には、多くのファンが生まれました。

乃南アサのおすすめ小説ランキング!デビュー作「幸福な食卓」も傑作!

ミステリーやサスペンスを中心に、ヒット作を世に送り出している乃南アサ。ここで、おすすめ小説をランキング形式で紹介しましょう。

第1位は、なんといっても直木賞受賞作の「凍える牙」。第2位は、対照的な2つの家族がそれぞれ被害者と加害者という立場に置かれる「風紋」で、登場人物の緻密な心理描写が高く評価されました。

第3位は「ヴァンサンカンまでに」。不倫と結婚の狭間で揺れる女性心理を巧みに描き、女性からの支持が高い作品です。第4位の「幸福な食卓」は、乃南アサのデビュー作。多くの読者に衝撃を与えた結末で、その才能の確かさを示しました。

第5位の「いつか陽のあたる場所で」では、過去に罪を犯した女性たちの再生と友情を描いています。厳しい現実に直面しながらも、懸命に暮らす2人を思わず応援したくなる作品です。

乃南アサの作品は韓国でも映像化!エッセイや紀行文も面白い!

乃南アサの作品は韓国でも映像化!

乃南アサの作品は、その多くが繰り返し映像化されています。代表作とも言える「凍える牙」は、天海祐希主演でNHKBSにて2001年にドラマ化されました。「凍える牙」はさらに海を越え、2012年にはソン・ガンホ主演により韓国で映画化もされています。

その他にも、2017年には犯罪を繰り返す青年の再生を描く「しゃぼん玉」も、ドラマ「おっさんずラブ」で脚光を浴びた若手俳優・林遣都主演で映画化。「いつか陽のあたる場所で」は、上戸彩と飯島直子という豪華なW主演で、NHKでドラマ化されています。

乃南アサのエッセイも面白い!相撲エッセイや歴史を見つめた紀行文もあり!

ミステリー小説を中心に多くの読者を持つ乃南アサですが、実は小説以外に、エッセイや紀行文も手掛けています。「犬棒日記」は、作家ならではのブラックな人間観察が光る日記形式のエッセイ集。「チカラビトの国」は、大の相撲好きという乃南アサが、意外と知らない角界のあれこれを取材して執筆した異色のエッセイです。また、「美麗島紀行」は乃南アサが台湾の各地を巡り、日本との複雑な歴史に想いを馳せつつ綴った作品で、読み応えのある1冊です。

乃南アサは作家生活30年!小説が現実になった?

1960年8月生まれの乃南アサは「幸福な朝食」で日本推理サスペンス大賞の優秀作を受賞し、1988年に28歳で作家デビューしています。デビューから30年が経つ今は、すでにベテランと言えるでしょう。

東京都出身の乃南アサは、神奈川県にあるカトリック系のミッションスクールであるカリタス女子中学校・高等学校を卒業後、早稲田大学社会科学部に進みます。しかし、浪人を覚悟していたのに、はからずも合格し漫然と進学を果たしてしまったことから、「社会科学部にはやりたい勉強がなく」やる気を失ってしまったとか。

大学中退を決意した乃南アサは広告代理店勤務を経て、小説家を目指して一念発起。処女作にしてデビュー作となる「幸福な朝食」を書き上げます。こうして「幸福な朝食」でデビューをつかんで以来30年、巧みで濃密な心理描写や、鋭い人間観察から生み出されるリアルな人物造形で多くのファンを魅了し続けてきました。

そんな乃南アサの作品が、意外なところから注目を集める事件が最近起きました。それは2018年8月、窃盗等の罪で勾留中の大阪府富田林署から逃げ出し、「日本一周の旅」を装う等して1カ月ほどにわたる逃走劇を繰り広げた樋田淳也容疑者の事件です。この逃走劇が、乃南アサが2004年に発表した長編小説「しゃぼん玉」のようだと話題になりました。

「しゃぼん玉」は、通り魔や強盗傷害事件を繰り返して逃亡中の青年が、逃げ込んだ山深い村で出会った村人たちとの交流を通じて再生していくという物語。逃亡中の犯罪者と知らずに青年と交流する村人の姿が、樋田淳也容疑者を犯罪者と知らずに「日本一周の旅」をする青年だと思って交流した人々と重なると言われています。

実際に、ネット上には「この事件は、乃南アサさんの小説『しゃぼん玉』を思い出す」とし、「たくさんの優しい人たちに触れた経験を糧に、自分の罪を反省し更生してほしい」という声も。事実は小説より奇なりという言葉がありますが、こちらは小説が先んじていたようです。

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