映画「スターリンの葬送狂騒曲」はスターリンの死後を描いたブラックコメディ!主役級の実力派キャストが勢揃い

映画「スターリンの葬送狂騒曲」はスターリンの死後を描いたブラックコメディ!実話が基でも脚色も多い

映画「スターリンの葬送狂騒曲」はスターリンの死後を描いたブラックコメディ!

映画「スターリンの葬送狂騒曲」は、フランスのグラフィックノベル「La mort de Staline」を原作として制作されたイギリスとフランスの合作映画です。あらすじは、1953年3月に、粛清を連覇瑠する恐怖政治で独裁体制をとっていたソ連のヨシフ・スターリンが死亡したことから、最高指導者の後釜を狙う争いが勃発します。

スターリンが後継者を指名せずに息を引き取ったため、側近たちは自分が後釜に座ろうと、あの手この手で相手を出し抜くことに躍起になり始めました。その中でも、スターリンの後継者最有力候補とされる中央委員会第一書記ニキータ・フルシチョフと、NKVD警備隊最高責任者ラヴレンチー・ベリヤを中心とした争いを、ブラックコメディとして風刺たっぷりに描いています。

映画「スターリンの葬送狂騒曲」は実話を基にしているものの脚色も多い?

映画「スターリンの葬送狂騒曲」は、スターリンの死後に起こった実話を基にした映画です。フルシチョフやベリヤを中心とした後釜争いというプロットも歴史上たしかにあった実話で、フルシチョフが司令官になったのも史実。とはいえ、そこで繰り広げられる駆け引きの内容には、ブラックコメディに仕上げるために脚色された箇所も多く存在します。

スターリンが死んだとみるや、態度を一変させて保身に走る取り巻きたちのドタバタぶりは見ものです。しかし、その合間に描写される粛清の実態を見ていると、ブラックコメディとして笑うだけでは済まされない真の恐怖も覚えます。

映画「スターリンの葬送狂騒曲」は主役級の実力派キャストが勢揃い!監督は政治風刺の名手!

映画「スターリンの葬送狂騒曲」は主役級の実力派キャストが勢揃い!

映画「スターリンの葬送狂騒曲」で後継者最有力候補のフルシチョフを演じたのはスティーヴ・ブシェミです。1992年公開のクエンティン・タランティーノ監督の映画「レザボア・ドッグス」で注目されると、独特の風貌と演技力が話題になり、映画「コン・エアー」や「アルマゲドン」、コーエン兄弟の「ファーゴ」や「バートン・フィンク」など出演作品が相次ぐようになりました。

その他にも、ドラマ「刑事コジャック」でデビューを飾ったジェフリー・タンバーがスターリンの補佐役だったゲオルギー・マレンコフ役、「オブリビオン」でヒロインを演じたオルガ・キュリレンコがピアニストのマリヤ役。「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」のメインキャストを務めた記憶も新しいアンドレア・ライズボローがスターリンの娘スヴェトラーナ・アリルーエワ役で出演しています。

さらに、ドラマ「ホームランド」で人気を獲得したルパート・フレンドがスターリンの息子ワシーリー・スターリン役を演じるなど、キャストには、主役級の実力派俳優陣が勢揃いしました。

映画「スターリンの葬送狂騒曲」の監督は政治ドラマを多く手がけてきたアーマンド・イアヌッチ!

映画「スターリンの葬送狂騒曲」の監督を務めるのは、イギリス出身のアーマンド・イアヌッチです。手掛けてきたのは、イギリス政権内部の駆け引きをシニカルに描いたテレビシリーズ「官僚天国」や、アメリカの女性副大統領セリーナ・マイヤーの奮闘をコミカルに描いたドラマシリーズ「Veep/ヴィープ」など。

政治色の強い内容を、風刺のきいたブラックコメディ仕立てで描くスキルに定評があります。賞レースの常連にもなり、シリーズ5作が制作された「Veep/ヴィープ」ではエミー賞を受賞しているアーマンド・イアヌッチが映画の監督を務めるのは、2009年の「In the Loop」以来、約10年ぶりです。

映画「スターリンの葬送狂騒曲」はロシアでは上映禁止となるもヨーロッパなどでスマッシュヒット!

映画「スターリンの葬送狂騒曲」は、実話を基にはしているものの脚色も多いため、ロシアでは「社会を不安定化させる」として上映禁止になっています。ヨシフ・スターリンの後釜争いを実話だと思えないほどブッラクに描いていることが判明し、ロシアの文化省が上映禁止を通達したのは封切のわずか2日前でした。

そのため、「上映禁止の連絡がなかった」として公開してしまったいくつかの映画館が政府から訴訟を起こされている問題作でもあり、ロシアの他にも、ベラルーシやカザフスタン、キルギスでも上映禁止になりました。しかし、第42回トロント国際映画祭にも出品された「スターリンの葬送狂騒曲」は、公開されたイギリスで「喜劇として一流!」と絶賛する声が多数集まる結果になっています。

他にも、ヨーロッパではスマッシュヒットとなり、アメリカでは限定公開作品の中ではナンバーワンに輝くオープニング記録を作りました。世界最大の映画レビューサイト「Rotten Tomatoes」でも、「恐怖を幻想的にしている」「ユーモアに溢れている」といった好意的なレビューが相次いでいて、96%の高評価を獲得しています。

日本でもよく知られている、恐怖政治で人民を支配したヨシフ・スターリン。政治がテーマとはいっても、評判通りの見やすいコメディ作品ですから、2018年8月3日に上映が開始された本作は、日本でも意外なヒット作となるかもしれません。

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