横山光輝「三国志」には漫画嫌いの大人も夢中!「史記」も学びのルーツに!

横山光輝「三国志」には漫画嫌いの大人も夢中!「史記」も学びのルーツに!

横山光輝の歴史漫画「三国志」の町・新長田の三国志祭に大人が夢中!

横山光輝とは、「漫画の神様」手塚治虫、「漫画の王様」石ノ森章太郎に並び称される「漫画の鉄人」です。横山光輝の代表作といえば、壮大なる歴史漫画「三国志」でしょう。横山光輝が生誕した町、神戸市の新長田(長田町)で、10月2日に「三国志祭」が開催されました。

この祭りは、漫画の鉄人の名を取ったNPO法人「KOBE鉄人PROJECT」が主催し、商店街のアーケード内には、「横山三国志」の人物絵が描かれたバナー約200枚が飾られ、新長田駅周辺の各所には、三国志の人物石像を設置しています。今年で10年目を迎えたこの祭りでは、レアな「三国志グッズ」が販売されるとあって、福岡や岡山、東京など、日本全国からファンが訪れて大賑わい。

お気に入りキャラに扮した三国志に夢中な大人ファンたちが街を闊歩し、パレードには、三国志に登場する三英傑の巨大な人形が参上しました。平成7年に起こった「阪神淡路大震災」で多大な被害に遭った長田町は、横山光輝の代表作である「三国志」と「鉄人28号」を町の象徴として掲げ、祭を通して、町おこしと地域活性化に努めています。

横山光輝の「史記」から学ぶ故事成語のルーツは歴史嫌いも必見!

横山光輝のもう1つの歴史代表作に「史記」があります。こちらも、「三国志」同様に読み応えのある大作ですが、作中に登場する「故事成語」に注目すると、また新たな魅力を見出すことができる作品です。「故事成語」とは、中国の故事からできた語のことですが、その故事成語が、「史記」にルーツがあることをご存じでしょうか?

たとえば「背水の陣」という意味の故事成語は、「史記」に登場する名将の韓信が、趙の軍と戦った時に、「味方にわざと川を背に陣を取らせて、絶対に退却できない状態に追い込み、覚悟を決めさせた」という故事から生まれています。小学館文庫から出版されている「横山光輝の『史記』から学ぶ故事成語」は、現代でも使われている言葉を、エピソードと注釈つきで分かりやすく解説。

「背水の陣」の他にも、「完璧」「左遷」「馬鹿」「休養」「四面楚歌」「先んずれば人を制す」などの故事成語が、横山光輝の「史記」から厳選されています。「難しい歴史小説はちょっと……」と苦手意識を持つ歴史嫌いの方にも必見です!

横山光輝のオススメ漫画作品はコレ!死因は何だったの?

横山光輝おススメ漫画は三つの僕を率いた超人的主人公が戦うこの作品!

横山光輝は、「三国志」「史記」「平家物語」「武田信玄」など、歴史小説や日本の古典作品を代表作に持つ歴史漫画家と思われている方も多いかも知れませんが、実は、SF漫画も数多く描いています。その中でもおススメなのが、1973年に現テレビ朝日系でアニメ化され、声優・神谷明の初主演で代表作ともなった「バビル二世」です。遥か5000年前に地球に不時着した宇宙人が、将来、自分の体質を受け継ぐバビル二世となる人物のために築いた「バベルの塔」。

その塔に選ばれた主人公の浩一が、ロデム・ロプロス・ポセイドンという三つの僕を率い、祖先から受け継いだ超能力と、超人的な体力を武器に、世界平和を乱す宿敵ヨミと戦う物語です。漫画界にも根強いファンが多い、横山光輝の「バビル二世」。中でも「ジョジョの奇妙な冒険」の第3部の主人公である空条承太郎の学ラン姿は、「バビル二世」の浩一が着ている学生服へのリスペクトだと原作者の荒木飛呂彦が語っています。

横山光輝が69歳で亡くなった死因とは何だったの?

横山光輝を、突然の不幸が襲いました。2004年4月15日に、東京都豊島区にあった自宅から出火。重度の火傷で昏睡状態に陥った横山光輝は、同日22時に、搬送先の日本大学医学部付属板橋病院にて、69歳で亡くなりました。死因は、火事による全身のやけどで、火災の原因は、寝たばこの不始末だとされています。晩年の1991年には「第20回漫画協会賞優秀賞」を受賞した横山光輝でしたが、1999年に病に倒れて以後、長期療養生活に入っていました。

その数年後には、足を骨折して、ほぼ寝たきりのような状態になっていたので、出火の際に逃げ遅れたのではないかといわれています。馬主になるほど競馬をこよなく愛し、麻雀も強く、勝負師の面も持っていた横山光輝は、大のヘビースモーカーとしても知られていました。大病を患っても、大好きな煙草だけは止められなかったのでしょう。禁煙することができていたなら……横山光輝の早すぎた死が、本当に悔やまれます。

横山光輝はロボットと魔法少女アニメの礎を築いた漫画界の鉄人だった!

横山光輝の名を世に知らしめた作品といえば、「鉄人28号」です。戦後間もない1950年代、少年誌上において、漫画の神様・手塚治虫の「鉄腕アトム」と人気を二分した大ヒット漫画が誕生しました。その後、ハリウッドの映画界にも大きく影響を及ぼすことになる、巨大ロボットを少年が操る「鉄人28号」の登場は、日本のロボットアニメの偉大なる歴史の幕開けとなりました。

横山光輝の「鉄人28号」なくしては、「マジンガ―Z」も、「機動戦士ガンダム」も、「エヴァンゲリオン」も生まれなかったでしょう。横山光輝とは、まさに、日本のロボットアニメ界の礎となった人です。しかし、横山光輝の功績はそればかりではありません。日本が世界に発信する「KAWAII文化」が注目されていますが、そのファッションの流れを牽引する「魔法少女」のルーツをご存じでしょうか?

それこそが、横山光輝が描いた日本初の少女アニメ「魔法使いサリー」です。魔法の国からやって来たおちゃめなお姫様サリーが人間界で巻き起こす、とってもハートフルな物語。「よっちゃん、すみれちゃん……私、本当は魔法使いなの!」。最終回でのサリーの決死の告白に、当時の少女たちは号泣したものでした。

サリーなくては、「プリキュラ」や「セーラームーン」も存在しなかったかも知れませんね。2015年の池袋のハロウィンイベントにおいては、現東京都知事の小池百合子が、豊島区在住だった横山光輝に敬意を称し、「魔法使いユリ―」のコスプレで話題を集めました。早すぎる死が悔やまれる「漫画界の鉄人」横山光輝ですが、その輝かしい功績は、今なお現代に息づき、輝きを放ち続けています。

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