ルカス・クラーナハ(父)のプロフィール!女性の官能美描いた独特の画風とは

ルカス・クラーナハ(父)のプロフィール!女性の官能美描いた独特の画風とは

ルカス・クラーナハ(父)宗教改革に関わった画家のプロフィール!

ルカス・クラーナハ(父)は、1472年生まれのドイツの画家です。息子も同じ名前の画家であることから、ルカス・クラーナハ(父)、ルカス・クラーナハ(息子)と区別して表記されています。ルカス・クラーナハ(父)は、1504年に、ヴィッテンベルクの領主ザクセン選帝候(フリードリヒ3世)の宮廷画家として仕え始めました。

以後、ザクセン選帝侯3代にわたり仕え続けたルカス・クラーナハが残した宗教画は数多くあります。また、宗教改革者マルティン・ルターとの交流も深かったというルカス・クラーナハ。そのため、マルティン・ルターとその家族の肖像画などもたくさん残されています。

宗教改革の波が押し寄せると、宗教画が抑圧されるなど、いろいろな苦労を強いられた画家もいましたが、ルカス・クラーナハにはスポンサーが多く存在したので、工房で大量の絵画を制作し続けることができました。1553年に、ルカス・クラーナハがその生涯を閉じた後、彼の工房は、子供たちが受け継いでいます。

ルカス・クラーナハ(父)女性の官能美描いた独特の画風とは!?

ルカス・クラーナハ(父)は、ドイツ・ルネサンスを代表する画家といわれていますが、独特なプロポーションで描かれている裸婦像が特に有名です。ルカス・クラーナハが活躍した時代は、イタリアのルネサンス最盛期。そのため、画家たちによって、古代ギリシャ神話をテーマとした裸体の女性像が多く描かれていました。その中でも際立っていたのが、ルカス・クラーナハが描いたヴィーナス像です。

作品に漂う独特な官能美の秘密は、そのプロポーションにありました。カス・クラーナハの描くヴィーナス像は、胸が小さく、ちょっと張り出したお腹からは豊満さは感じられず、まるで少女のような姿なのに、その目つきは非情に妖艶です。アンバランスにも感じられる要素が絶妙に調和しているところに、他のヴィーナス像にはない魅力が感じらます。

ルカス・クラーナハ展の最新情報!押さえておきたい代表作品は?

ルカス・クラーナハ展の最新情報!国立西洋美術館にて開催!!

ルカス・クラーナハ展は、2016年10月15日~2017年1月15日まで、国立西洋美術館の地下2階で開催中です。この展覧会は、1517年に始まった宗教改革から500年目となることから、「500年後の誘惑」という副題が付けられています。ルカス・クラーナハ(父)の展覧会が開催されるのは、日本では初めてのこと。

展示室前では、ルカス・クラーナハの生涯についてまとめられたビデオも上映されています。上映ビデオには、ルカス・クラーナハの「ホロフェルネスの首を持つユディト」という作品が、ウィーン美術館で修復されている様子も収められており、絵画の修復作業の一端を垣間見ることも可能です。

ルカス・クラーナハ展でこれだけは押さえておきたい代表作品は?

ルカス・クラーナハ展には、世界中から集められた名作約100点が展示されています。ここまで大規模な回顧展は、なかなか実現できないものだとか。中でも注目されているルカス・クラーナハ(父)の代表作には、ウィーン美術史美術館所蔵の「ホルフェルネスの首を持つユディト」や、シュテーデル美術館所蔵の「ヴィーナス」などがあります。イタリア・ルネサンスの影響を受けたルカス・クラーナハは、ギリシャ神話の中の女神やヒロインたちを裸婦として描きましたが、高く評価されている独特な官能美はぜひチェックしておきたい鑑賞ポイントです。

ルカス・クラーナハは、著名人の肖像画も多く残していますが、宗教改革にも関与していたことから、マルティン・ルターの肖像画を何枚も描いていて、今回の展覧会でも、それらが展示されています。他にも、「不釣合いなカップル」「聖カタリナの殉死」などの絵画作品、そして、ドイツでは初めて多色刷りを行ったという版画作品も見逃すわけにはいきません。

ルカス・クラーナハ展が日本初の開催!その謎めいたヌードの魅力とは!?

ルカス・クラーナハ展は、国立西洋美術館で2017年1月15日までの開催ですが、その後2017年1月28日~4月16日までは、大阪の国立国際美術館でも開催される予定です。近年のヨーロッパでは、ルカス・クラーナハ(父)の業績がかなり注目されており、大規模な展覧会が相次いで開催されてきましたが、日本では初めてのことです。500年という時を経ても、ルカス・クラーナハの絵画がなぜ注目されているのかについては、NHK「日曜美術館」で、画家の塩谷亮らがいろいろ分析しています。

ルカス・クラーナハは、宗教改革によって、彫刻や宗教画などは不要だという流れになっていった時、仕事が激減しました。そこで、これまでとは違う絵を描かざるを得なくなったことから、ヌードを描くように。ルカス・クラーナハの絵は、神話をモチーフにしていると言われますが、実際のところは、古代の女神というよりも、宮廷の女性たちのヌードだったのではと推測されています。なぜなら、描かれた女性たちはみな、髪飾りやネックレスを付けたままだからです。妖艶な目つきは偶然生み出されたものではなく、呪力的なこだわりがあったのではとも分析されています。

ルカス・クラーナハが描いた裸婦の体型は、小さな胸と少し張り出したお腹が特徴ですが、薄いヴェールをまとった少女のような熟女のような、なんとも不思議な感じです。これは、現代のエロティズムを先取りしているとも考えられています。ちょっと心がざわついて、観ている者を誘惑してくるような危なさも感じられる……ルカス・クラーナハの描いた裸婦の魅力はそこにあるのかもしれません。

日本初開催となったルカス・クラーナハ展は、東京・国立西洋美術館の後に開催される大阪・国立国際美術館を逃すと、次はいつ観ることができるか分かりません。ぜひ、この機会に500年後の誘惑をされに行ってみてはいかがでしょう!これまで美術には関心がなかった方でも、ドキドキ感動することができるかもしれません。

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