桐野夏生のおすすめ著書ランキング!「バラカ」「グロテスク」は実際の事件がモデル?

桐野夏生のおすすめ著書ランキング!「バラカ」「グロテスク」は何位?

桐野夏生の著書「バラカ」「グロテスク」は実際の事件がモデル?

桐野夏生(きりのなつお)は、直木賞をはじめ、江戸川乱歩賞や、泉鏡花文学賞、谷崎潤一郎賞といった文学賞を総なめしている作家です。作家としての評価の高さはもちろん、ベストセラーも連発しており、人気実力ともに十分といえる存在と言えます。

近年では、東日本大震災の後のありえたかもしれない別の世界を描いた意欲作「バラカ」が話題になりました。また、実際に起きた東電OL殺人事件を下敷きに描かれた「グロテスク」は、一流企業のOLが街娼をした末に殺害されたセンセーショナルかつ難しい題材を扱いながらも、実情を見事に描き切り、高い評価を得ています。

桐野夏生のおすすめ著書ランキング!「バラカ」「グロテスク」は何位?

桐野夏生のおすすめ著書をランキングで紹介しましょう。1位は、なんといっても「グロテスク」です。現代女性が直面する困難や葛藤を描くことに長けている桐野夏生ですが、その持ち味が最大限に発揮された作品と言えます。2位は、それまでミステリファンの間で人気だった桐野夏生の名を広く知らしめることになった「OUT」です。

弁当工場で働く平凡な主婦たちが、死体処理という犯罪に手を染めていく様を描き話題になりました。「OUT~妻たちの犯罪~」として、田中美佐子主演でドラマ化されたことをご記憶の方も多いでしょう。3位の「東京島」は、遭難した無人島で、中年女性が自らの性も巧みに利用しながら男たちを従え、生き抜く姿を描いた衝撃的な内容です。

4位は、4基の原発すべてが爆発した日本を描いた「バラカ」。連載時は、現実と隣り合わせで描かれる、さもありえたかのような未来の姿に読者は震撼させられたと言います。

桐野夏生は村上龍と結婚していた!?出身校やプロフィールは?

桐野夏生は結婚相手が村上龍?作家になったのは子供がきっかけ?

ハードボイルドな世界観の小説を描く桐野夏生は、24歳で結婚しています。しかも、作家になったのは、子供ができたため、家でもできる仕事としてライターを選んだことがきっかけだったとか。巷には、桐野夏生の結婚相手は、作家の村上龍であるという噂があります。これは、桐野夏生が結婚した1976年に村上龍も結婚しており、村上龍の結婚相手の年齢が桐野夏生と同じだったというのが理由のようです。

しかし、村上龍の結婚相手はエレクトーン奏者。桐野夏生の職歴は、映画館や広告代理店での編集といったものなので一致しません。両者が否定したわけではないため真偽のほどは定かではありませんが、噂の域を出ないと考えて良さそうです。

桐野夏生の出身大学は首相と一緒!出身校、プロフィールは?

桐野夏生には、自立した強い女性を描くイメージが強いだけに、独身のような雰囲気がありますが、24歳で結婚した後には子供ももうけています。プロフィールを紹介しますと、桐野夏生は、1951年10月7日に石川県の金沢に生まれました。建設会社のエンジニアを務める父の転勤で、仙台、札幌と移り住み、中学生の頃に東京に転居。出身高校は、名門校として知られる桐朋女子高等学校で、大学は、安倍晋三首相も卒業した成蹊大学法学部です。女性の大学進学率がまだ低い頃のことですから、桐野夏生が相当優秀だったことは間違いありません。

桐野夏生の最新刊は連合赤軍事件がテーマ!

「グロテスク」や「バラカ」のように、実際の事件や出来事を下敷きにし、社会問題を描いてきた作家の桐野夏生。そんな彼女が、最新作「夜の谷を行く」で扱ったテーマは、連合赤軍の若者たちが起こした一連の事件、いわゆる「連合赤軍事件」です。1972年、「社会革命をする」という題目のもとに集った武装した若者たちが、立てこもったあさま山荘で、警察と銃撃戦を繰り広げた末に逮捕されました。

これが、世にいう「あさま山荘事件」です。犯人たちが逮捕されると、彼らが、軍事訓練のためにこもっていた山中のベースで、12人の仲間を、「総括」と称して、凄惨なリンチの末に殺害していたことも明らかにされ、世間は驚愕し、震撼させられました。これは、「山岳ベース事件」と呼ばれています。事件当時は、ベトナム戦争や安保体制に反対する若者たちがデモを行うなど、学生運動が盛り上がっていました。

桐野夏生自身も、高校時代は、ベトナム戦争反対のデモに参加した経験があったとか。しかし、そんな熱気も、この凄惨な事件で一気に霧散してしまいました。連合赤軍事件については、若松孝二監督の映画「実録・連合赤軍」や、山本直樹の漫画「レッド」等でもすでに描かれてきましたし、連合赤軍の元兵士の述懐した本もいくつかあります。そのような中で、彼女らしいやり方で、この重いテーマに挑んだ桐野夏生。構想は10年、多数の史料にあたり、関係者に会うなどして丁寧な取材を重ね、連載自体は2年に及びました。

元女性兵士を主人公に据えた桐野夏生は、時を経て、彼女が現在おかれている現代社会でのトラブル等も交えて重層的に事件を捉えていきます。連合赤軍のリーダーだった森恒夫について、「(女性兵士に対するリンチ殺人にいたった)根底には女性差別があります。(中略)自分の中の差別意識も相対化できす、女性が何たるかもわかっていなかった。ひと言で言えば、未熟な若者だったと思います」と分析。こういった視点で連合赤軍事件をひもとくことで、桐野夏生は、これまで男性目線で語られることの多かったこの事件に新たな視座を与えることに成功しました。

当時を知る人々が、「夜の谷を行く」をどう読むのかは、興味深いところです。実際に起きた事件を題材に小説を描くことは、事件に関わった人々が実在するだけに、作者である桐野夏生にとって、大きな覚悟が必要であることは間違いありません。それでも、常に難しいテーマにチャレンジし続けるそのバイタリティには頭が下がります。これからも、果敢に挑んでいってほしいものです。

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