西岸良平のデビュー作を手塚治虫、水木しげるが高く評価されたいた!代表作「鎌倉ものがたり」がついに映画化

西岸良平のデビュー作を審査員の手塚治虫、水木しげるが高く評価!漫画家初の切手考案者!

西岸良平のデビュー作は「夢野平四郎の青春」!審査員の手塚治虫と水木しげるからの評価とは?!

代表作「三丁目の夕日 夕焼けの詩」や「鎌倉ものがたり」で広い年代層から支持を受け続ける人気漫画家の西岸良平(さいがんりょうへい)。デビューのきっかけは、1972年に、第8回ビッグコミック賞(現小学館新人コミック大賞一般部門)の佳作一席に入選したことでした。

作品名は「夢野平四郎の青春」。あらすじは、かつては超売れっ子漫画家だった主人公が、今は誰からも作品を認められず悶々とした日々を過ごしています。そんなある日、久々に出版社から呼び出されてルンルン気分で出かけたところ、20年前に出した「復刻版」の出版話という何とも哀しい現実が……。

当時の選考作家だった手塚治虫は、この作品に「ストーリーは今一つだが、絵だけを見ているとプロとして十分通用する」と評したと言います。同じく選考作家だった水木しげるは、「最後に意表を突く場面が欲しかったが、一人一人の人生を背負った顔、表現の豊かさに感心した」と高く評価しました。

西岸良平は漫画家初の切手考案者だった!

西岸良平の最大のヒット作である「三丁目の夕日 夕焼けの詩」は、1974年9月20日より連載を始め、1981年には、小学館漫画賞青年一般部門を受賞しました。1990年からはTBS系でアニメ化もされたことで、西岸良平の名は広く世に知られるようになります。そのノスタルジックな哀愁ある画風に注目したのが郵政省でした。

1998年、郵政省は、広く国民に愛されている唱歌をテーマにした「わたしの愛唱歌シリーズ第4集」において、西岸良平が描いた50円郵便切手「めだかの学校」をシリーズ切手として発行。郵政省としては初の漫画家による図案であり、西岸良平は、漫画家として初の切手図案考案者となりました。

西岸良平は実はホラー作品の名手でもあった!YMO細野晴臣との意外な関係

西岸良平が実は意外にもSFホラー作品の名手でもあった!

代表作「三丁目の夕日 夕焼けの詩」など、ノスタルジックな画風で知られる西岸良平が、実は意外にもSFホラー作品を多く手掛けていたことをご存じでしょうか?どうやら西岸良平は、ショート・ショートの名手だった星新一の影響を強く受けていたようです。中でも、宇宙人から「1カ月以内に地球の悪を滅ぼさないと、地球を絶滅させる」と突然宣告されてしまった主人公の苦悩を描く「地球最後の日」は、まさに星新一の世界観を彷彿させる作品です。

他にも、主人公の営業レディが訪問販売した商品で客が幸せになったり不幸になったりする「ポーラーレディ」。漫画家志望の耕助とイラストレーターを目指している久美子の2人兄妹が、祖父の形見だった猫又を引き取ったことから奇妙な事件に巻き込まれていく「赤い雲」など、意外性ある短編SFホラー作品を数多く描いています。

西岸良平とYMO細野晴臣、運命の出会いとも言える2人の関係とは?!

西岸良平とYMO細野晴臣……一見何ら関係のない2人のように思えますが、かつて彼らには、共に過ごした青春時代がありました。西岸良平と細野晴臣とは高校時代の同級生同士で、クラスの中でも近しい存在だったようです。幼い頃からいたずら描きが大好きだった細野晴臣は、西岸良平と漫画を描いた交換日記をしていました。

黒澤明の映画に影響を受け、劇画調の漫画作家だった白土三平をこよなく愛していた2人は、その交換日記に、ストーリー性を加えた忍者漫画をよく描いていたそうです。細野晴臣は当時、本気で漫画家を目指していましたが、西岸良平の才能に「自分は勝てない」と悟り、漫画家の夢を断念して音楽の道を選びました。

この時もし、細野晴臣に西岸良平との出会いがなかったら、細野晴臣が漫画を断念しなかったら、YMOは存在しなかったかも知れません。そう考えると、細野晴臣にとって、西岸良平との出会いは、その後の人生を決める「運命の出会いだった」と言えるのではないでしょうか。

西岸良平の「鎌倉ものがたり」がついに映画化!主演の堺雅人&高畑充希が夫婦で魔物たちの引き起こす難事件に挑む!

西岸良平の代表作「鎌倉ものがたり」が、映画「ALWAYS三丁目の夕日」を監督した山崎豊によってついに映画化されることが決まりました!「DESTNY 鎌倉ものがたり」として、2017年12月9日より全国一斉ロードショーとなります。原作である「鎌倉ものがたり」は、月刊まんがタウン(双葉社)に連載中で、この世とあの世、人間と妖怪、幽霊や魑魅魍魎たる魔物たちが共存しているという、摩訶不思議な鎌倉市を舞台に繰り広がる怪奇ファンタジー映画。

主人公である堺雅人演じるミステリー作家・一色正和が、妻・亜紀子を演じる高畑充希と共に、魔物たちが引き起こす不可思議な難事件を次々と解決していくというストーリーです。「ここは、あなたの知らない世界の入り口」のキャッチフレーズそのままに、堺雅人演じる一色正和が、愛する妻・亜紀子を取り戻すために、自分の命を投げ出す覚悟で黄泉の国へと旅立つシーンはまさに圧巻。

タイトルに「DESTNY」と名付けられた醍醐味が存分に発揮されています。原作者の西岸良平は、ノスタルジックな哀愁溢れる画風で知られている漫画家ではありますが、この「鎌倉ものがたり」からもお分かりのように、怪奇的なホラー作品やSF風の作品も数多く描いてきました。

短編が多いですが、「あまり後味のよろしくない」作品も少なくなく、「三丁目の夕日」に見られる古き良き日本の姿はさほど感じられないことは意外といえば意外です。しかし、彼のこの芸域の広さこそが「アイツには叶わない」と、盟友・細野晴臣に漫画家への道を断念させた要因の1つだったのかも知れません。

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