蜷川幸雄 亀梨和也主演舞台が最後の演出?!病気と現在の症状は?
蜷川幸雄 亀梨和也主演舞台が最後の演出?!車いすに鼻チューブ姿
「日本の演出家は?」と問われれば、真っ先に蜷川幸雄の名前を思い浮かべるのではないでしょうか。10月で80歳の蜷川幸雄が演出を手掛けた、亀梨和也主演舞台「青い種子は太陽のなかにある」が8月10日から上演されています。しかし、この舞台が、蜷川幸雄最後の演出になりはしないかと誰もが心配しているはずです。
というのも、前日9日の公開舞台稽古に、出演者と共に車いすで現れた蜷川幸雄の鼻には、酸素吸入チューブが……。さらに、蜷川幸雄は、以前にもましてやせ細り、顔の筋肉が強張っているようにさえ見えました。
かつて蜷川幸雄の指導は「ものが飛んでくる」と有名でしたが、主演の亀梨和也は「ニコニコしながらポイントを指示してくださって心強かった」と語っていたことからも、蜷川幸雄の体力の衰えを感じさせられます。
しかし、蜷川幸雄から飛び出す発言は元気そのもの。亀梨和也を「屈折のあるいい演技」と褒めつつも「ウエストあと5センチ痩せてほしい」なんて注文をつけるなど、以前と変わらない舞台演出への熱烈な注力がうかがえます。9月には生誕80周年記念公演ワールドツアーも控えている蜷川幸雄。蜷川幸雄自身は、演出の最後のなどとの心配はしていないでしょう!
蜷川幸雄 病気と現在の症状は、肝臓を患っている?それとも加齢?
過去には十二指腸潰瘍、脳梗塞などの病気を患ったことのある蜷川幸雄ですが、2013年には狭心症による心臓バイパス手術を受けています。その時は「車いすなんて冗談じゃない」と、胸の痛みがありながらも自力歩行に徹したといいますから、最近の衰弱ぶりとはくらべものになりません。
昨年11月には、香港公演中に下血して急遽帰国することになったそうです。しかし「肝臓の不調が続いて体調不良だった」以外に病名は公表されていません。蜷川幸雄本人が「とうとうやっちゃった」とその時の心情を綴っていることから、そういう事態に陥ることが予想されるような病気を患っていたと推測されます。
それでいて、事前に体調不良を訴えて休養を強いられることを恐れるあまり、それを隠して公演に臨んでいたという蜷川幸雄の精神力の強さは計り知れません。
退院してからも精力的に活動をしてはいますが、車いすに身を任せざるを得なくなり、自力呼吸も不自由な状態にある現在の症状が楽観視できるものではないことは、誰が見ても明白です。そして単なる加齢による症状でもなさそう、というのが心配の種ですよね。
蜷川幸雄 「海辺のカフカ」「王女メディア」キャストあらすじ!熱望されるDVD化
蜷川幸雄 「海辺のカフカ」キャストあらすじ!熱望されるDVD化はワールドツアー後?
ニューヨークタイムズ「年間ベストブック10冊」にも選ばれた村上春樹の長編小説を、蜷川幸雄演出で舞台化した「海のカフカ」。2012年に柳楽優弥、2014年には古畑新之、宮沢りえ、藤木直人というキャストで上演されました。
あらすじは、誕生日を迎えた日に「世界で最もタフな15歳になる」と決意の家出を敢行した「僕」が、行き着いた四国の図書館の司書や、幼いころに生き別れた母親と思われる女性との出会いによって、父親にかけられた「呪い」に向き合うという一つの物語と、東京に住む「猫と会話できる」不思議な人物・タナカが迷い猫の捜索を引き受けたことで、トラック運転手・星野と四国へ向かうという物語が次第にシンクロしていくというもの。
舞台を見逃したファンからはDVD化が熱望されているようですが、今のところ予定にはないようです。しかし、9月17日から始まる蜷川幸雄生誕80周年ワールドツアーでは、2014年と同じキャストで、この「海のカフカ」が上演される予定。もしかするとツアー終了後に、熱望に答える形でDVD化が現実のものとなるかもしれませんね。
蜷川幸雄 「王女メディア」キャストあらすじ!世界デビュー作
蜷川幸雄にとって初めての海外公演はロンドンでした。その1983年に上演された蜷川幸雄演出のギリシャ悲劇「王女メディア」は、英国人の大喝采を浴びました。派手な日本的な衣装もさることながら、特に英国人の意表をついたのは平幹二朗をはじめとする男ばかりのキャスト。そのあらすじをお話ししましょう。
コルキス王女メディアと、夫イアソンは、故郷を捨ててコリントスの地で暮らしていました。「自分の娘婿にイアソンを迎えたい」というコリントス王クレオンの申し出を、金と権力に誘惑された夫イアソンは快諾してしまいます。王女メディアは怒りのあまり、画策の末、猛毒によってクレオンとその娘を殺害。
そして狂乱のあまり自分の幼い2人の息子まで殺してしまうという、おぞましい復讐劇です。この「王女メディア」は、その後も再演が重ねられ、すでにDVD化もされています。そして、前作とは違って「女性性を強調した」と蜷川幸雄が語っていた2005年「メディア」の上演も大好評だったようです。ちなみにこの時の主演は、蜷川幸雄演劇には欠かせない女優・大竹しのぶでした。
蜷川幸雄 「世界のニナガワ」その時がくるまで全身全霊で……
演出家・蜷川幸雄の作品には世界中が注目しています。今年の5月末には、蜷川幸雄が手掛けたシェイクスピアの「ハムレット」と「海のカフカ」がロンドンで2週間連続上演。英紙に「感覚に訴えてくる」「息をのんだ」と大絶賛されました。英国で演じられるシェイクスピア劇でありながら、
日本風の舞台セットと、全編日本語のセリフ、原作と異なる舞台設定。蜷川幸雄が言う「日本人が本場で演じる意味」を集約したような世界です。そして「海のカフカ」は前売りチケットが完売するなど、さらに話題をさらいました。残念ながら蜷川幸雄は病気のために、その公演へは足を運ぶことができませんでしたが、「世界のニナガワ」の存在は、演劇の本場をも大きく刺激し続けているのです。
もうすぐ始まるワールドツアーでは、「海のカフカ」がロンドン・ニューヨーク・埼玉・シンガポール・ソウルの5都市で上演されることになっています。今回も蜷川幸雄自身が登場できるかどうかは、症状次第というところもあり分かりません。しかし、病気に関しては「その時が来るまで全身全霊で創作に励みたい」と語る蜷川幸雄の言葉を信じて、できるだけ長く作品を世に送り続けてくれることを願うのみです。
蜷川幸雄は「アイドルはまじめで勉強熱心」という理由で、今回の亀梨和也をはじめ、ジャニーズなどのアイドルを多く起用することでも有名。先人の模倣ではなく、新しさを恐れない蜷川幸雄の姿勢が、そんなところからも見られる気がします。