ジョン・イスナーがタイブレーク制採用に深く関わっていた!?
◆出身:アメリカ・ノースカロライナ州
◆身長・体重:208cm・108kg
◆2018年マスターズ1000優勝
2018年7月13日、「ウィンブルドン選手権」の男子シングルス準決勝が行われ、ジョン・イスナーはケビン・アンダーソンと第4セットまで接戦を繰り広げた末、敗北を喫してしまいます。
最終セットが26-24でアンダーソンに軍配が上がった時、試合時間はなんと史上2番目となる6時間36分。当事者であるジョン・イスナー、ケビン・アンダーソン両名は、同点試合の場合、ルールを一時的に変更して早めに決着をつける「タイブレーク制」の導入を訴えました。その甲斐あって、2019年よりウィンブルドン選手権でも12-12の場合、タイブレークに入るルールが導入されます。
これで4大大会のうち、「全仏オープン」以外の全ての大会でタイブレーク制が導入されたことになります。同制度の導入には、ジョン・イスナーが他のどの選手よりも深く関わっています。その理由を、彼の経歴を紹介するとともに紐解いていきましょう。
ジョン・イスナーはテニス史上最高のサーバーの一人
208cmの長身から、時速253kmもの迫力満点のサービスエースを叩き込むジョン・イスナー。過去10年間で、1000以上のサービスエースを記録。テニス史上最高のサーバーの一人と言われています。
そんな彼がテニスを始めたのは、9歳の頃でした。ジョージア大学在学中は4年連続でオールアメリカンの単複優勝の記録を達成。2007年にプロへ転向し、2010年には「ハイネケン・オープン」でツアー初優勝を決めます。
そして、2年後の2012年には「BNPパリバ・オープン」でマスターズ初の決勝進出。「ウィンストン・セラム・オープン」で大会2連覇を果たし、自己最高の世界ランキング9位に上り詰めました。2017年には、7月に行われた「名誉の殿堂オープン」と「BB &T アトランタ・オープン」の2大会を2週連続で優勝を飾ったジョン・イスナーは、3つのマスターズで4強に入るという好成績を残します。
このタイミングで、アクセサリーブランド「Madison McKinley」を立ち上げたデザイナー、マディソン・マッキンリーさんとの結婚を発表。全米テニス協会がこの事実を公式ツイッターで全世界に伝え、祝福の言葉を送りました。
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翌2018年、ジョン・イスナーは4度目の決勝進出となった「マスターズ1000」で見事初優勝を飾り、32歳での優勝という史上最年長記録を打ち立てました。同年、ATPファイナルズに初出場を果たしたことも踏まえ、ジョン・イズナーは「自分のベストシーズンだった」と2018年を振り返りました。
2020年4月で35歳になるジョン・イスナー。プロテニスプレイヤーとしては高齢で、周りの選手が引退していくなか、2018年のプレイを自分のベストシーズンと表現できるのは素晴らしいですね。ちなみに2018年のジョン・イズナーのサービスエース数は1182本で、年間サービスエース数は他を圧倒して堂々の1位。1試合平均23本というサービスエース数は驚異的で、年齢を一切感じさせません。
ジョン・イズナーがウィンブルドンで史上最長の試合を経験
2010年に行われた「ウィンブルドン選手権」男子シングルスの1回戦。ニコラ・マユ選手との試合は史上最長となる11時間5分を記録しました。6月22日から試合を始め、日没による中断を2回はさんで試合が終了したのは24日。丸3日も試合をしていたわけです。
2004年に「全仏オープン」で記録された6時間33分の最長記録を大幅に更新したこの試合で勝利を収めたジョン・イスナーは、インタビューでこのように答えました。
「アンディがありとあらゆる食べ物を届けてくれた。ピザが3枚、あらゆる種類のチキン、マッシュポテト、何もかもだ。ビッグマック12個でも食べられるところだった」
アンディとは、友人のアンディ・ロディック選手のこと。3日間に及ぶ長丁場の試合の合間に、疲れ切った身体を癒すためにアンディがファストフードを宅配してくれたのです。
残念ながら、蓄積された疲労から回復できないまま挑んだ2回戦では、ティーモ・デ・バッカー選手に1時間14分でストレート負けとなりましたが、それも無理のないことです。
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ジョン・イスナーの激戦がウィンブルドンを変えた
2010年の史上最長試合から8年が経った2018年の「ウィンブルドン選手権」男子シングルス準決勝。ジョン・イスナーは冒頭でも述べたケビン・アンダーソン選手との試合で、史上2番目に長い6時間36分の長丁場を記録します。勝者となったケビン・アンダーソンには次の試合に臨みますが、悲鳴を上げた身体を癒す時間はほとんど残されていません。
共に死闘を繰り広げた2人はこの状況を改善するため、大会主催者に対し、試合がフルセットに及んだ場合、身体の負担軽減のために「最終セットはゲームカウント6-6でタイブレークを導入する」というルール変更を検討するよう申し出ました。
これについてジョン・イズナーは「個人的にはゲームカウント12-12が妥当なところだと思う。12-12まで決着がつかなければ、そこでタイブレークに突入する。それくらいが限界だろう」とコメント。2人の働きかけにより、翌2019年にはウィンブルドンでタイブレーク制の導入が開始されます。
ジョン・イズナーがウィンブルドンを、選手がよりフェアに戦える大会に変えたのです。これは、史上最長試合と史上2番目の長丁場の経験者であるジョン・イズナーだからこそ語れる重みが、大会主催者に伝わったからではないでしょうか。
テニスプレイヤーとしては高齢の選手に入るジョン・イズナーですが、彼の活躍はまだまだ続きます。グランドスラム優勝、ATPツアー・ファイナル本選出場など、まだ達成していない記録に挑む来シーズンの戦いから目が離せません。
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