藤本正ニ漫画「終電ちゃん」の感動ポイント!世界観をおさらい
藤本正二漫画「終電ちゃん」の感動ポイントは?鉄道擬人化漫画を侮るなかれ
藤本正二の漫画「終電ちゃん」は、講談社の“第67回ちばてつや賞・一般部門”に入選した読切り作品が好評を博し、漫画誌「モーニング」での連載が決まったという、人気作品です。そのため、藤本正二にとっては、「終電ちゃん」が初連載作となっています。
「終電ちゃん」に登場するキャラクターは、各地の路線の最終電車を、可愛らしく萌え系のタッチで擬人化したものです。とはいえ、ただの擬人化萌え漫画ではないのが「終電ちゃん」最大のポイント。終電を利用する人々の背景を丁寧に描写することでドラマチックな骨太ヒューマンドラマとなっており、「涙するほど感動した」という感想も多く聞かれます。
特に、普段から終電を頻繁に利用している人や、地方から上京して都会で頑張っている人、鉄道が好きな人は、ストーリーのイメージが湧きやすく、より深い感動を得られるようです。
藤本正二漫画「終電ちゃん」のあらすじネタバレ!世界観をおさらい
漫画「終電ちゃん」は、基本的に1話完結型です。恋人とケンカをして終電に飛び乗ってきた若い女性の話に耳を傾けるなど、乗客と終電ちゃんの人間ドラマが中心の話もあれば、「最終電車としての終電ちゃんの職務」が中心の話もあります。ハズレのエピソードがないと言われるほど珠玉のストーリーが揃っている「終電ちゃん」。鉄道車両自体を擬人化したものではなく、最終電車という事象を擬人化しているため、数十年前の高度成長期でも、バブル時代でも、「終電ちゃん」の姿は変わりません。
そのため、親子2代で同じ「終電ちゃん」のお世話になった母娘の物語や、集団就職で上京してきた少年が、老人になって「終電ちゃん」に再会を果たすという物語も。乗客全員の名前を覚えている「終電ちゃん」は、時に励まし、慰めてくれたかと思えば、バシッと叱るなど、乗客みんなの心に真摯に寄り添い、愛される存在として描かれています。
藤本正ニ漫画「終電ちゃん」に登場する終電ちゃん!キャラクターも魅力満載
藤本正二漫画「終電ちゃん」に登場する終電ちゃん一覧
藤本正二の描く漫画「終電ちゃん」で主人公を務めているのは、日本のすべての路線の終電の中で一番遅い時間に終点に到着するという、JR東日本の中央線・高尾行き。それ以外にも、次々と新しい「終電ちゃん」が登場中です。本作は、2017年5月時点で、単行本が3巻まで発売されています。
作中に登場するのは、中央線、山手線、小田急線、大阪環状線、東海道新幹線、函館本線、佐世保線、松浦鉄道、井の頭線、南武線、大江戸線、常磐線、広島電鉄宮島線、上越線の「終電ちゃん」たち。東京や関東近郊の終電だけではなく、北海道や長崎、広島の鉄道も登場していることから、全国の「終電ちゃん」ファンが馴染みの路線の登場を心待ちにしています。
藤本正二漫画「終電ちゃん」はキャラクターの魅力が凄い!会いたくなること間違いなし
漫画「終電ちゃん」の魅力は、乗客のドラマチックで骨太なヒューマンドラマももちろんですが、なによりも、「終電ちゃん」というキャラクターの存在そのものが大きな部分を占めています。藤本正二の描く「終電ちゃん」は、路線ごとに一人一人個性があり、ルックスも性格も異なります。
主人公の中央線の「終電ちゃん」は、容姿は女の子らしくて可愛くとも、性格はかなり男前。勾配標を背負い、乗客を全員無事に終電に乗せるために、凛とした姿勢で奔走します。的確な指示を飛ばして業務をこなし、仕事ができて、頑張り屋な中央線の「終電ちゃん」は、まさに頼れる姉御肌。どこか孤独を抱えているようなキャラ描写にも惹かれます。プライベートでは、せんべい布団の枕元に、扇風機と辛口の日本酒の一升瓶という女子力の低さも、中央線の「終電ちゃん」の魅力です。
藤本正二漫画「終電ちゃん」を読めば終電に乗るのが苦痛じゃなくなるかも!?
「終電ちゃん」の作者である藤本正二は、サラリーマンをしながら漫画家を目指していた時に、実際に仕事終わりの終電で揺られる中で「終電ちゃん」を思いつきました。「終電ちゃん」で漫画家としてデビューするまでは、特に鉄道オタクといった要素もなかったと言います。
現在もサラリーマンとして勤務中の藤本正二ですが、「終電ちゃん」のキャラクター設定は、各路線に実際に乗車し、乗客の雰囲気や駅周辺の特徴などから受けたインスピレーションをもとに作り出しているそうです。新作が発表されるたびに涙する人を続出させている「終電ちゃん」。今後も、さまざまな駅や鉄道会社とコラボレーション展開していくことが期待されていますが、「モーニング」のアンケートなどで、擬人化してほしい路線をリクエストすれば、新しい「終電ちゃん」が誕生する可能性も!
日々、当たり前のように走っている終電は、実は「終電ちゃん」たちの頑張りによって支えられているという視点は、世知辛い私たちの実生活まで少し楽しい気分にさせてくれます。姉御肌の中央線の終電ちゃん、高飛車な山手線の終電ちゃん、ほんわかとした雰囲気の小田急線の終電ちゃんなどなど、自分が普段利用する鉄道の「終電ちゃん」の性格について考えながら乗車するのも楽しいでしょう。
悪天候や人身事故、接続待ちによる遅延も、「今頃、それぞれの終電ちゃんたちが無線で連絡を取り合って頑張ってくれているのかな」と想像するだけで、イライラした気持ちが和らぎそうです。