博多一風堂の海外店舗進出の裏側にクールジャパン機構

2015年4月13日 更新

ロンドンは空前のラーメンブームです。複数のラーメン店が短期間で立て続けにオープンし、お互いの立地も近いことからその様相はまさしくラーメン戦争さながら。
開店時には行列もできるほどで、在英邦人にとってはむしろありがたい話ですね。

その中でも2014年にロンドンに進出した「博多一風堂」を展開する株式会社力の源カンパニーに対し、
クールジャパン機構が約7億円の出資及び13億円の融資枠、計20億円もの支援を決定し話題になりました。

博多一風堂の海外店舗進出!ラーメンは寿司に次ぐ日本食の代表になり得るか

民間だけではなく、政府も支援!
クールジャパン機構とは「株式会社海外需要開拓支援機構」の略称です。
2013年官民ファンドにより設立されました。

民間会社と政府(この場合は通産産業省)が資本金を提供しています。
魅力ある日本の商品やサービスを世界に広めるための機関で、特に企業の海外進出を支援しています。

博多一風堂のロンドン進出はほんのきっかけ ヨーロッパだけでなくアメリカやオーストラリアへの展開も視野に 

今までラーメンチェーンの海外展開はアジアが中心でしたが、ヨーロッパの場合出店コストや人材確保がネックとなり難しい状況です。
今回支援することにより、ヨーロッパだけでなくアメリカやオーストラリアへの展開、ゆくゆくは日本食の更なる発信に繋がると期待されています。

一風堂の海外店舗でも特に人気なシンガポール店やロンドン店のメニューを見ますと、
ラーメンは日本と同じものを提供していますが、サイドメニューの豊富さに驚かされます。

餃子や枝豆の定番メニューを始め、たこわさび、やみつき胡麻きゅうり、鉄板焼き、漬けまぐろなど、
ラーメンだけでない日本食の魅力を存分に伝える内容になっています。

また、今回のプロジェクトを通して和食店への食材供給拠点「セントラルキッチン」の配備も予定されています。
確かに海外にある日本食レストランは、似て非なるものも多く、結局自分で「なんちゃって⚪︎⚪︎」を作った方がましだったりしますし、
これはとてもいいアイデアだと思います。

博多一風堂の創業者、河原成美は、ラーメンじゃなくて「ありがとう」を作る!

をここで博多一風堂の創業者である河原さんにスポットを当ててみましょう。
河原さんは1952年福岡県久留米市(旧城島町)生まれ。

飲食業としてのキャリアは、学生時代のバーのアルバイトから始まりました。
その後地元のスーパーに就職しましたが、目標や達成感を見出せず転職を繰り返します。

そんな中、レストランバー「AFTER THE RAIN」を開店したところ大当たり。
普通はこのまま続けて…となりそうですが、ここで河原氏はラーメンに注目します。

当時の博多ラーメンは「怖い・臭い・汚い」の3Kと言われるくらい店の雰囲気がひどかったそうです。
そこで女性一人でも入れるようなおしゃれで清潔なラーメン店を目指し、1985年に福岡市に一風堂の一号店が誕生しました。

現在は海外を含むチェーン展開のみならず、食育活動にも力を入れています。

河原さんがビジネスをする上で大事にしている「ありがとう」。
「あなたが来店してくれたことにより、明日もまたおいしいラーメンを提供することができる。ありがとうございます」
という気持ちを伝えるための手段としてラーメンを作っている、とのことです。

おいしいラーメンを提供することによりお客一人一人が幸せになる。
幸福感に満たされたお客を見て、周囲の人も幸せになる。
ラーメンを売って終わりではなく、お客を幸せにすることに注目した河原さんのビジネス哲学は勉強になります。

博多一風堂の創業者、河原成美の出身地 福岡県久留米市(旧城島町)は焼鳥・ラーメン・酒、そして歓楽街と酒飲みにとっては条件が揃いすぎた都市

久留米市は福岡市と北九州市に次ぐ福岡県第3の都市。ブリヂストンの創業地でもあり、ゴム加工品工場が多く存在します。
文化街という歓楽街があるので夜は賑やか。

名物は焼鳥で、人口に対する焼鳥店軒数が日本一というちょっと変わったデータも。
豚骨ラーメンの発祥の地でもあります。

飲兵衛にぴったりの街

河原さん出身の城島地域は酒造業が盛んで、日本三大酒処である兵庫の灘・京都の伏見・広島の西条と肩を並べます。
焼鳥・ラーメン・酒、そして歓楽街と酒飲みにとっては条件が揃いすぎています。

いちごの生産も盛んですから、もしお酒が苦手でも十分に楽しめること間違いなし。
「ラーメンは天職」と語る河原さんですが、その素質は出身地の環境によるものも大きいでしょう。
私も今度ロンドン店に食べに行ってきます。

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