堀越二郎は宮崎駿監督作品「風立ちぬ」の主人公モデル!あらすじネタバレ、声優キャスト

2020年5月7日 更新

堀越二郎は宮崎駿監督作品「風立ちぬ」の主人公モデル!あらすじネタバレ、声優キャスト

堀越二郎は宮崎駿監督作品「風立ちぬ」の主人公モデル!飛行機に捧げた半生を描く

堀越二郎は、世界的に名を知られた零戦の設計者。1903年から1982年まで生きた、航空技術者です。2013年に、興行収入120億円を突破した、スタジオジブリ宮崎駿監督作品「風立ちぬ」は、「堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて」とされている通り、堀越二郎の半生をモデルとして主人公像をつくりあげています。

実在の堀越二郎と、映画「風立ちぬ」の堀越二郎の共通点は、経歴です。実在の堀越二郎は、東京帝国大学工学部航空学科を主席で卒業した後、三菱内燃機製造(後の三菱重工業)に入社して、戦闘機の七試や九試を開発。その後、零戦を設計しました。

「風立ちぬ」の堀越二郎もまた、東京帝国大学で航空工学を学び、三菱に入社をして、七試および九試の設計、開発を行っています。物語終盤、宮崎駿監督は、「ゼロ」が飛び立ったまま一機も戻ってこなかったことを夢の中で語らせているため、「風立ちぬ」の堀越二郎もまた零戦を設計したと見て良いでしょう。

しかし、「風立ちぬ」は、実在の堀越二郎の人生をそのまま描いたものではありません。特に、妻がどういった女性だったかという点では大きく異なるため、スタジオジブリは、堀越二郎の遺族に事前に承諾をとっていますし、堀越二郎の長男はこれを快諾しています。

堀越二郎がモデルの「風立ちぬ」あらすじネタバレ、声優キャスト!

堀越二郎が主人公モデルとなっている映画「風立ちぬ」は、堀越二郎の少年時代から始まります。その後、大学生になった二郎は、関東大震災の日に、1人の少女・菜穂子と運命的な出会いを果たします。大学を卒業した二郎は、名古屋に本社を構える三菱に入社。上司・黒川の新人いびりをものともせず仕事に励み、ドイツ・ユンカース社の視察を経て、七試の設計主務者となります。

しかし、七試の開発は失敗し、失意のまま、休暇で訪れた軽井沢で、思いがけず菜穂子と再会。菜穂子が持病の結核と闘っていることを承知した上で、2人の交際が始まりました。休暇から戻った二郎は、全く覚えのないことで公安に目をつけられてしまい、上司・黒川の家の離れに身を隠すことになります。2人は離ればなれの生活を送りますが、山の療養所にいた菜穂子は二郎が恋しくなり、居ても立ってもいられず、療養所を抜け出して名古屋に来てしまいました。

2人は夫婦となり、黒川邸の離れに身を寄せます。そして、寝る間も惜しんで開発が進められた九試のテスト飛行の日。身体の弱った菜穂子は、笑顔で夫を送り出したあと、「ちょっと散歩をしてきます」と言い、最期を迎えるために療養所へと戻りました。

その頃、二郎は、九試のテスト飛行を成功させていました。しかしその後、日本は敗戦。二郎が設計した美しい「ゼロ」は、戦争に飛び立ったまま、一機も戻ってきません。夢の中で、「飛行機は美しくも呪われた夢だ」と語るカプローニが指さす先では、白いパラソルを持った女性が二郎に微笑みかけていました。「生きて……」と優しく動く菜穂子の唇。二郎の震えた声が、何度も「ありがとう」を繰り返しながら、菜穂子への別れを告げ、物語は終わります。

堀越二郎の半生をモデルとした主人公・堀越二郎の声は、映画「シン・ゴジラ」や、アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の監督として知られる庵野秀明が演じています。庵野秀明は、スタジオジブリの鈴木敏夫に、「零戦が飛ぶシーンがあるなら、描かせてほしい」と、作画スタッフとしての希望を申し入れていました。

しかし、堀越二郎の「早口である」「滑舌がよい」「凜としている」という条件を満たす存在感のある声を持っているとして、困惑する庵野秀明を説得したそうです。堀越二郎の妻となる里見菜穂子は、映画「彼岸島」や、NHK連続テレビ小説「てっぱん」で主演をつとめた瀧本美織が、上司・黒川は、大ヒットドラマ「古畑任三郎」で名脇役をつとめ、NHK大河ドラマ「真田丸」でも室賀正武を演じた西村雅彦が演じています。

堀越二郎の妹・堀越加代は、「借りぐらしのアリエッティ」でもアリエッティを演じた志田未来が、そして堀越二郎の憧れの設計者であるカプローニは、狂言師・野村萬斎が演じました。

堀越二郎モデルの「風立ちぬ」は堀辰雄小説に由来?菜穂子は実在したの?

堀越二郎モデルの「風立ちぬ」は堀辰雄小説に由来?小説「風立ちぬ」との共通点

堀越二郎の半生をモデルにしたジブリ映画「風立ちぬ」ですが、主人公・堀越二郎と妻・菜穂子の関係は、実在する堀越夫妻の関係とはかなり異なります。実在の堀越二郎には、2人の子供がいる他、妻も天寿をまっとうしているからです。では、菜穂子と堀越二郎の恋愛ストーリーは、一体どこからやってきたのでしょうか。

それに回答を与えるのが、堀辰雄の小説「風立ちぬ」です。映画冒頭で、堀越二郎の名前と並んで堀辰雄の名があがっていたのは、このためでした。堀辰雄の「風立ちぬ」では、小説家と思しき「私」と、その妻・節子の出会いや、サナトリウムでの暮らしが描かれています。結核でどんどん弱っていく節子の姿や、彼女を支えながら仕事をする「私」の暮らし、2人の思い。

これらは、たしかに、映画「風立ちぬ」での菜穂子と堀越二郎の姿に重なります。両者には、愛し合う夫婦が、今を大切にしながら時間を共有する、はかなくも美しい生き様が描かれていました。

堀越二郎の妻・菜穂子は実在したの?堀辰雄の妻・矢野綾子との関係は?

堀越二郎は実在する人物がモデルとなっていますが、菜穂子は実在したのでしょうか。実は、菜穂子のモデルとなっている堀辰雄「風立ちぬ」の節子は、堀辰雄の妻だった矢野綾子がモデルになっているといわれています。そのため、小説「風立ちぬ」は、堀辰雄と矢野綾子の関係を描いた私小説とみるのが一般的です。

菜穂子の性格や生い立ち、療養所を抜け出して堀越二郎に会いに来る描写などは、すべてスタジオジブリオリジナルの設定ですので、菜穂子のすべてが矢野綾子であるというわけではありません。そのため、実在するかしないかでいえば、「モデルはいるが、実在はしない」という答えになるでしょう。

堀辰雄の飛行機に捧げた人生!映画「風立ちぬ」で描かれた美しい生き様

堀越二郎の半生がモデルとなった映画「風立ちぬ」の公開に先立った2013年5月には、堀越二郎の自宅から、手紙や著書の原稿など、手つかずの貴重な資料が見つかりました。それらを中心に開催された、所沢航空発祥記念館の企画展「堀越二郎の生涯」を訪れた方もいらっしゃるかもしれません。

展示では、堀越二郎が少年時代に読みふけっていたという雑誌「飛行少年」や、ドイツ・ユンカース社およびアメリカ・カーチス社視察の際のパンフレットなどもありました。零戦開発にあたって海軍から出された要望を、「甚だ虫のよき要求」と、社内で報告している文書も展示されています。

しかし堀越二郎は、海軍にばかり都合の良い要求を実現すべく奮闘。徹底した軽量化や、「剛性低下方式」の昇降舵操縦系統などのアイデアを駆使して、1939年4月1日に、岐阜県の各務原飛行場で初飛行にこぎ着けました。1940年9月に初めて実戦をむかえた零戦は名機として知られ、その開発に成功した堀越二郎の名は、彼が亡くなった際にも、世界の主要紙で掲載されたといいます。

宮崎駿監督が、映画「風立ちぬ」で描き出したのは、戦争や戦闘機開発の是非ではなく、ひとつの夢や美しさを追求し続けたその生き様でした。映画の中の堀越二郎の姿に、実在の堀越二郎の息子も涙し、喜びを口にたそうです。

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