石ノ森章太郎作品「幻魔大戦」「ギルガメッシュ」あらすじネタバレ!
石ノ森章太郎&平井和正原作のSFアニメの金字塔「幻魔大戦」とは?
石ノ森章太郎は、「漫画の王様」「漫画の帝王」といわれた、有名漫画家です。1967年、今からおよそ半世紀前に、大ヒット作品「ウルフガイ・シリーズ」などで知られるSF小説の重鎮・平井和正と石ノ森章太郎が、「週刊少年マガジン」にてタッグを組むという、夢のような連載が始まりました。
その作品こそが、SFアニメ界の金字塔と崇められ、今なお人気を誇る不朽の名作「幻魔大戦」。宇宙に存在する星々を見境なく破壊し、宇宙全体に無をもたらす恐ろしい敵・幻魔と戦う宿命を背負ったのは、高校生の東丈です。丈は、テレパス能力を持ったルナ姫と、母星を幻魔に破壊された異星人のサイボーグ・ベガの協力を得て、眠っていた超能力のサイコキネシスを覚醒。
ルナ、ベガ、そしてルナのテレパシーによって集められた全地球の超能力者たちと力を合わせて、最強の敵「幻魔」との決戦に挑みます。「幻魔大戦」は、1983年に角川アニメーション映画の記念すべき第1作として製作され、「AKIRA」で全世界を驚愕させた大友克洋のアニメーション初参加作品にもなりました。
石ノ森章太郎がクローン技術に挑んだ「ギルガメッシュ」のあらすじネタバレ!
石ノ森章太郎の「ギルガメッシュ」は、数千年前に地球にやって来た宇宙人によって支配された地球が舞台になっています。その後に現れて、宇宙人を滅ぼした悪魔族に、わずかながらに生き残った地球人たちが戦いを挑むという作品です。「ギルガメッシュ」が「少年キング」に掲載されたのは、「幻魔大戦」から9年後の1976年でした。
石ノ森作品お得意の超能力モノではありますが、特筆すべきは、「クローン技術」によって生み出された宇宙人の生き残り「擬瑠亀主(ギルガメッシュ)」の存在でしょう。石ノ森章太郎は、「仮面ライダー」を始めとするSF漫画界の第一人者として有名ですが、実は、SF小説のマニアでもあり、海外のSF小説にも深く精通しています。
現実の「クローン技術」が成功したのは、哺乳類では1996年の羊のドリーが最初でしたが、SFの世界では、すでにクローン人間が登場していました。石ノ森章太郎自身も、「小説からヒントを得ている」と話していることから、SF小説の世界にインスパイアされた作品として「ギルガメッシュ」が生まれたのかもしれません。
石ノ森章太郎の息子たちの現在!「サイボーグ009完結編」の評価は?
石ノ森章太郎の「石ノ森」という言葉に苦しみ続けた息子の現在は?
石ノ森章太郎には2人の息子がいます。長男の小野寺丈は、太田プロ所属の俳優として活躍中。石ノ森章太郎が青年誌に掲載し、高嶋政伸主演でドラマ化された「HOTEL」にもレギュラー出演していました。次男の小野寺章は、現在、石森プロの社長を務めています。
代表作品である「サイボーグ009」の主人公009の島村ジョー、同じく「幻魔大戦」の東丈。長男の名前からも分かりますが、石ノ森章太郎にとって、「丈(ジョー)」という名前は特別だったようです。しかしながら、長男の丈は、「石ノ森の息子」という言葉の重責に随分と苦しんだようです。
会社を継がなかったのも、それが原因なのかもしれません。父亡き後も、たび重なる葛藤や苦悩があったはずですが、未完のままだった代表作「サイボーグ009」の完結編となる作品を、父の遺志を受け継いで発行しました。
石ノ森章太郎の代表キャラクター「サイボーグ009完結編」を描いのは息子だった!その評価とは?
石ノ森章太郎の故郷である宮城県石巻市には、マンガミュージアムである「石ノ森萬画館」があります。石ノ森作品の貴重な原画が所蔵してあり、2016年12月末までは、特撮テレビに登場したキャラクター「人造人間キカイダー」「イナズマン」などのデザインスケッチを特別に公開しています。
最寄りの駅であるJR石巻駅には、石ノ森章太郎の代表作品である「サイボーグ009」の人形も。未完の状態だった「サイボーグ009」は、完結編「2012 009 conclusion GOD’S WAR」として、息子の小野寺丈により小説として刊行され、「クラブサンデー」(小学館)では、同時期に漫画掲載されました。
その評価について、ネット上では、賛否両論真っ二つとなる結果に。実際、原作者である石ノ森章太郎自身が完結できなかった作品を「息子が完結させる」という形を取ったのですから、意見が割れるのは致し方ないことでしょう。なにより、内容が相当にシビアなことから、幼い頃から絶対的なヒーローだったゼロゼロナンバーたちの「死よりも酷い姿」を見たくないファンがいるのは当然です。長男である小野寺丈にとっても、完結編を出すことは、苦渋の決断だったのではないでしょうか。
石ノ森章太郎の姉の存在は「萬画家・石ノ森章太郎」の原点だった!
石ノ森章太郎の代表作にして名作「サイボーグ009」の映像化50周年を記念して、「CYBORG009 CALL OF JUSTICE」第1章が11月25日より、第2章は12月2日、第3章は12月9日より、それぞれ2週間ずつ限定で劇場公開されます。新たに、ゼロゼロナンバーたちの前に立ちはだかるのは、異能集団「ブレスド」。「CYBORG009 CALL OF JUSTICE」は、彼らの死闘を、フル3DCGアニメーションで描く期待作です。
また、12月からは、Webコミック「コミッククリア」にて、コミカライズ連載も開始されることも発表されるなど、時を経て、石ノ森章太郎作品に再び注目が集まっています。石ノ森章太郎は、1938年1月25日、宮城県登米郡石森町で、公務員の父・康太郎と、母・カシクの長男として生まれました。最初は映画監督志望でしたが、病弱で外出できなかった姉の恵に、その日にあった出来事を絵に描いて語って聞かせているうちに、漫画の魅力に傾倒するようになります。
漫画家を志すという長男に、厳格だった父親は猛反対しましたが、恵が、「私が病気療養を兼ねて一緒に上京する」と説得して、何とか許しを得たそうです。上京した2人は、藤子不二雄や赤塚不二夫など多くの著名な漫画家を輩出した「トキワ荘」に住み、容姿端麗だった恵は、トキワ荘のマドンナ的存在でした。
ところが、一番の理解者であり、石ノ森章太郎を支え続けた恵に突然の不幸が襲います。喘息の発作に苦しむ恵を病院に入院させた石ノ森章太郎が外出先から戻って来ると、「病状が急変して亡くなった」との悲しい知らせが待ち受けていたのです。まだ24歳という若さでした。
この辛い経験が、石ノ森章太郎のその後の人生に、どれほどの影響を与えたかは想像し難いですが、石ノ森作品に出てくる献身的な女性たちには、亡き姉・恵の面影が色濃く出ている気がしてなりません。「幻魔大戦」の主人公・東丈を母親代わりに育ててきた姉の三千子は、幻魔に殺され肉体は滅びても、「残留思念」となって丈を守り続けました。石ノ森章太郎の存在も、姉の恵なくてはあり得なかったはず。恵の存在こそが、「萬画家・石ノ森章太郎」の「原点」といえるのではないでしょうか。