板垣巴留の「BEASTARS」は動物たちが学園で繰り広げる青春群像劇!

板垣巴留「BEASTARS」はダークな「ズートピア」?動物たちが繰り広げる学園ドラマのあらすじと見どころ

板垣巴留「BEASTARS」動物たちが通う学園で繰り広げられるドラマとは?あらすじ

板垣巴留「BEASTARS」は、秋田書店「週刊少年チャンピオン」に、2016年41号より連載されている漫画作品です。連載開始直後から独特な世界観が注目され、話題となりました。

本作は、学園を舞台にした青春群像劇ですが、その登場キャラクターたちが全て動物というところが特徴です。高山寺に伝わる国宝「鳥獣戯画」のように、動物たちを擬人化した獣人キャラクターが登場します。肉食も草食も関係なく、皆が等しく生活している全寮制のチェリートン学園。オスのアルパカ・テムが無残にも殺された状態で発見されたところから、物語は始まります。

肉食獣が草食獣を襲うことは重罪。法で守られた中での惨劇に、互いへの本音が見え始めると、学園には不穏な空気が……。主人公は、常に背中を丸めているため、身体は大きいのに弱気に見えるハイイロオオカミのレゴシ。「BEASTARS」は、肉食獣らしさのないレゴシを中心に、全寮制の学園の日常と、動物たちの本能と理性の葛藤、思春期の揺らめきが描かれています。

板垣巴留「BEASTARS」はダークテイストな「ズートピア」?さまざまな種の本能が交差する物語の見どころを解説!

板垣巴留「BEASTARS」の舞台は、肉食獣と草食獣が共同生活を送っている世界です。そのため、読者の中には、「ウォルト・ディズニー・ピクチャーズが制作した長編アニメ映画『ズートピア』と世界観が似ている」との声もあるようです。たしかに、「ズートピア」も、動物たちが高度な文明を築き、肉食獣と草食獣が共存生活を送っている世界が舞台。種族を超えて共存するため、生態によって居住地域が定められていますが、互いの種に対する偏見が根強く残っています。

同様に、共存するために、肉食獣が草食獣を襲ってはならない、肉食厳禁といった法が定められており、草食獣が守られる仕組みが作られている「BEASTARS」。しかし、草食獣たちは、被食者であることへの劣等感を持っており、肉食獣の中にも、「肉を食べたい」「草食動物を襲いたい」という衝動とどう向き合っていくかに思い悩む感情があるなど、心やすらかに共存することはなかなか難しい様子です。

「BEASTARS」は、「食う者と食われる者」という動物の本能に基づく視点から濃密に描かれているせいか、「ダークテイストのズートピア」という感想も見られます。

板垣巴留の父親は有名漫画家板垣恵介!?初連載作品「ビーストコンプレックス」とは

板垣巴留の父親は「刃牙」シリーズでお馴染みの板垣恵介!?作者プロフィールは?

板垣巴留(いたがきぱる)は、「週刊少年チャンピオン」14号より短期集中連載された、「ビーストコンプレックス」でデビューを果たした新鋭漫画家です。デビュー作も話題となりましたが、初の本連載作品「BEASTARS」掲載直後から、新人離れした画力とストーリー構成に注目が集まりました。

1993年9月9日生まれで、武蔵野美術大学映像科卒業という肩書を持つ板垣巴留。著者近影や、巻末、ブログ漫画から察するに女性ですが、性別は特に公表していません。そんな中、板垣巴留が、ある有名漫画家の娘でではないか、という情報が実しやかに囁かれています。

父親と目されているのは、同じく「週刊チャンピオン」で作品を連載している板垣恵介。「グラップラー刃牙」や「飢狼伝」でお馴染みの漫画家です。2人の作風は全く違いますが、「ビーストコンプレックス」初掲載時に、板垣恵介が、板垣巴留に目次でコメントをしたことから、「名字も同じことだし親子なのでは」と噂されました。しかし、親子説については、板垣恵介、板垣巴留ともに何もコメントしていません。

板垣巴留のコミックス化を熱望されている「ビーストコンプレックス」とは?

板垣巴留は、「ビーストコンプレックス」全4話の短期連載でデビューしました。本作は「BEASTARS」と同じ世界で展開する物語で、登場するのは、擬人化された動物たちばかり。学生以外に大人も登場するので、学園外で、獣人たちがどのような生活を送っているのかも断片的に知ることができます。

作品は、オムニバス形式になっていて、第1話は、高校で生徒会長を務める優等生ライオンのラウルと、不登校になったオオコウモリのアズモの物語。第2話は、幼馴染で親友の高校生、トラのゴンとビーバーのモグの切ない友情の行方を描き、第3話では、肉食獣はなぜ草食獣を食べるのかという命題を追うことになるラクダの新聞記者ガロムと、美しきシロイオオカミ・アビーの出会いが語られます。

ホテルの管理をしているカンガルーと、幼いクロヒョウの少女メグと、事件とが複雑に絡み合いながら進むのが第4話です。どの物語にも「食う者と食われる者」の関係があり、種族を超えた関係を維持することの難しさを感じさせるものとなっています。

板垣巴留「BEASTARS」待望の2巻発売!ファンも衝撃を受けた展開とは?ネタバレも!

板垣巴留「BEASTARS」は、2017年1月6日に第1巻が発売され、コアな漫画ファンから絶大な支持を集めました。全寮制の学園内で、オスのアルパカが殺害されるという、衝撃的な事件は、当たり前に過ぎるはずだった日常の中で、皆があえて見ないようにしていた種族の違いという問題を、分かりやすい形で示すことになります。

お互いが、普段は心の奥底に隠して見せない、別種族と暮らすことへの不満や葛藤を募らせる中、抗いがたい本能と向き合うことになるのがハイイロオオカミのレゴシ。演劇部の仲間や、完璧さを目指すオスのアカシカの先輩ルイ、異性の庇護欲をそそる外見ゆえに苦労を強いられているメスウサギのハルといったキャラキターを交えながら、学園生活は続いていきます。2017年4月15日には、待望の「BEASTARS」第2巻が発売され、コミックス派の読者を大いに驚かせました。

1巻で、暗闇の中、捕食者と被食者として出会ったレゴシとハル。出会いが暗闇の中だったとはいえ、お互いの正体に気が付いているのではと思いきや、明るい日差しのもとであらためて出会ったハルとレゴシは実に和やかな雰囲気です。しかし、異種性交一歩手前の展開にまで進むと、多くの読者が衝撃を受けることに。「BEASTARS」の世界は、肉を食べてはならないことや、肉食獣が草食獣を襲ってはならない、といった法律が定められているのは分かっていますが、それ以外のルールはいまだ明かされてはいません。

どうやら同種族内でのカップル作りが推奨されているようですが、他の種族との性交自体はあると思わせる描写も多く、まだまだ世界観に謎が多い状態です。レゴシは、肉食動物である己の本能と向き合いながらも、他者と関わることが増え、少しずつ前向きになっていきます。「週刊少年チャンピオン」に最新話が掲載されるたびに話題になるため、3巻も、想像していなかったような展開になるのでは、と今から期待が高まります。

2017年4月16日には、第2巻の発売を記念して、初のサイン会が行われました。整理券がすぐになくなるなど盛況だったサイン会では、コミックス本体の白紙部分に、来場者のリクエストに応じてキャラクターを描くという、ファンにとって忘れられない時間になったようです。また、第2巻では、購入書店別にペーパーが封入されているなどのキャンペーンも行われており、作中とは違ったキャラクターの姿を見ることもできます。衝撃的展開が多すぎて続きが気になる本作ですが、まだ始まったばかり。動物たちの学園生活を、これからも見守っていきましょう。

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