さいとうちほ&篠原千絵は90年代少女漫画の革命家!おすすめ作品は?
さいとうちほ&篠原千絵は歴史もの90年代少女漫画家の代表格!
さいとうちほと篠原千絵は、共に、小学館発行の女性向け漫画雑誌に連載を持つ人気漫画家です。さいとうちほのデビューは1982年、篠原千絵のデビューは1981年のことでした。キャリアは実に30年以上、現在も連載を持っているなど、さいとうちほ、篠原千絵ともに根強い人気があります。
そんな2人は、同じ出版社発行の雑誌に連載を持っているという以外にも共通するところが。それは、代表作に歴史ものの少女漫画がある、という点です。少女漫画の世界では、圧倒的に現代ものが主流ですが、さいとうちほ、篠原千絵は、10代の年若い少女を主人公とした歴史もの、それも、日本に限らず、ヨーロッパや中東などを舞台にした長編を多く手掛けており、歴史もの少女漫画家として必ず名前があがります。
さらに、歴史ものにとどまらず、サスペンスやスポーツものなど、少女漫画という枠を逸脱せずとも、恋愛以外の革命的ともいえる題材を上手く消化する手腕は、さすがベテランと多くの読者を唸らせています。
さいとうちほ&篠原千絵、大ヒットしたおすすめ作品をご紹介!
さいとうちほ、篠原千絵ともに、活動歴が長いせいもあり、その作品数は膨大になります。さいとうちほは、ロマンチックかつドラマティックな展開が多く、ヨーロッパを舞台にした作品が多いのが特徴。「銀の狼」や「花冠のマドンナ」、昭和初期を舞台にした「円舞曲は白いドレスで」などで人気があり、スポーツのアイスダンスを題材にした「アイスフォレスト」も話題になりました。
かたや篠原千絵は、男女問わず人気の高い、女子高生が古代オリエントにタイムスリップしてしまう大長編「天は赤い河のほとり」や、ドラマ化もされた現代SFサスペンス「闇のパープル・アイ」。現在連載中のオスマン帝国を舞台とした「夢の雫、黄金の鳥籠」では、愛憎渦巻く緊迫した展開に多くの読者が手に汗を握り、雑誌掲載や新刊の発売を心待ちにしている状態です。
さいとうちほ「恋物語」の魅力!最新作「とりかえ・ばや」「ルパン」とは?
さいとうちほ、十人十色のロマンチックな恋模様を描いた短編集「恋物語」!
さいとうちほの「恋物語」は、恋愛漫画の短編集になっています。1985年から2002までの関連作品をまとめた、ライフワーク的な作品集として、コミックス全14巻で完結しています。「恋物語」最大の特徴は、さいとうちほの魅力であるドラマチックな恋愛が、これでもかと詰め込まれている点です。
短編なので、1話1話はさらっと読める長さではあるものの、質にはそれ以上のものがあります。基本は恋愛に関するストーリーですが、時代やジャンル問わず収録されており、短編同士で関連のあるものや、続編があるもの、連載していた作品の後日談なども収録されています。中でも4巻、5巻、13巻に収録されている「キューピッドの卵」は、とりわけ人気が高いさいとうちほ作品です。読み始めたら、ついつい続きを買ってしまう、という読者が続出しています。
さいとうちほ、話題作「とりかえ・ばや」「ルパン」時代も国も違う2つの作品の魅力とは?
さいとうちほの、現在も連載が続く人気シリーズが「とりかえ・ばや」、そして「VSルパン」です。「とりかえ・ばや」は、平安末期に成立した「とりかへばや物語」を元にした作品。活発な少女沙羅と、内気な少年睡蓮の宮中を舞台としたとりかえ劇が描かれています。当然ながら、十二単などの平安装束が事細かに書き込まれている「とりかえ・ばや」は、ストーリーだけでなく、目でも読者を楽しませてくれます。
対する「VSルパン」の原作は、言わずと知れた「あるセーヌ・ルパン」シリーズを書いたモーリス・ルブラン。「VSルパン」は、原作を元に、さいとうちほ流の解釈やアレンジが加えられ、物語は、華やかに、よりドラマティックに展開していきます。なによりも、色っぽくてカッコいいけど悪い男というルパンのキャラクターに人気が集まっています。
さいとうちほ、原案・漫画を担当した伝説のアニメ「少女革命ウテナ」を語る
さいとうちほといえば、歴史もの少女漫画家として、特に女性の間で有名です。しかし、男性にも知られるきっかけとなった作品が「少女革命ウテナ」でした。「少女革命ウテナ」は、1997年に放送されたアニメ作品で、劇場版やTVゲーム、舞台などにもなっています。原作は、ビーパパスで、「ユリ熊嵐」や「廻るピングドラム」を手掛けた監督・幾原邦彦が結成した、少数精鋭のアニメーションスタッフ集団でした。さいとうちほの絵を見た幾原邦彦が、キャラクター原案を依頼。さいとうちほは、後に「ちゃお」誌上で漫画の連載もしました。
「少女革命ウテナ」は、幼少の頃に出会った王子様にあこがれ、自身も王子様になりたいと願う男装の少女、天上ウテナが、鳳学園に入学し、「薔薇の花嫁」と呼ばれる少女・姫宮アンシーに出会うところから物語が始まります。ウテナは、王子様からもらった「薔薇の刻印」の入った指輪を持っていたことから、「世界を革命する力」を与えるアンシーをめぐる争いに巻き込まれていきます。
奇抜な演出に練りこまれた世界観、なによりウテナとアンシーの女性同士の同性愛ともとれる描写が当時かなり話題となり、人気を集めました。さいとうちほは、「少女革命ウテナ」で、いわゆる「百合」表現に目覚め、「とりかえ・ばや」にもそういった雰囲気が取り入れられていると語っています。
さいとうちほが15年ぶりに発表した画集「NEE LA ROSE-薔薇に生まれて-」にも、ウテナの絵が数点収録されており、無料のインターネットTV局AbemaTVでの再放送もスタートしています。BL雑誌にも連載を持ち、精力的に活動を続けるさいとうちほ。細部までこだわり抜かれた作品世界を、お楽しみください。