さいとう・たかをの「サバイバル」など不滅の人気作品は?「北条時宗」ほか歴史漫画も多数!
さいとう・たかをの不滅の人気作品は?「サバイバル」は「ゴルゴ13」よりも好き?
さいとう・たかをは80歳を超えた今も、現役としてペンを執り続けている大御所漫画家です。さいとう・たかをの代表作と言えば「ゴルゴ13」ですが、それ以外にも多くの人気作品を描いてきました。中でも「サバイバル」は、「ゴルゴ13よりも好き」というファンがいるほどの人気作品。1976~1978年まで「週刊少年サンデー」で連載され、単行本は全22巻に及びます。
「サバイバル」の主人公は、友だちと洞窟を探検していた鈴木サトルという少年です。洞窟の中で突然の巨大地震に遭ったサトルがようやく脱出して見たものは、崩壊した街でした。行方不明になった家族を探しに行きますが、街は水没し、食料も火も自分で用意しなければ生きていけないという過酷なサバイバル下に置かれるサトル。さいとう・たかをならではの具体的なサバイバルの知識や技が満載の「サバイバル」は、生死を彷徨いながら、少年から男になるサトルの成長物語となっています。
その他にも、勇気と冒険の宇宙劇画である「バロム・1」や、鷹狩りというコードネームを持つ男が活躍する「ホーキング」もさいとう・たかをの人気作品です。中には、小早川研究所から逃亡した巨人が暴走する、度肝を抜くファーストシーンが印象的な「デビルキング」という、時代を先取りした問題作も。「怪盗シュガー」や「影狩り」などもファンから愛されています。
さいとう・たかをは「北条時宗」「織田信長」「徳川家康」など歴史漫画も多数!
さいとう・たかをは、歴史漫画も多数描いています。「北条時宗」は、鎌倉時代の日本を動かした男としての生き様を描いた作品です。
鎌倉時代は、飢饉や疫病、自然災害の多発に加え、蒙古襲来の恐怖があるなど不安定な世情でした。そうした中、父の北条時頼とは違った在り方で乱世を生きた北条時宗を、さいとう・たかを独特の筆致で描き切っています。
「北条時宗」以外にも、「織田信長」「豊臣秀吉」「徳川家康」といった有名な三英傑や、同時代に生きた名将を描いた「武田信玄」や「真田昌幸」といった歴史漫画を発表してきたさいとう・たかを。いずれも歴史に名を残した英雄・豪傑の生き様から、現代を勝ち抜く知恵を探る物語になっています。
さらに歴史漫画の他にも、「鬼平犯科帳」や「仕掛人 藤枝梅安」「剣客商売」「無用ノ介」など傑作時代劇も。さいとう・たかをは、戦いに生きる男を描かせたら天下一品と言えるでしょう。
さいとう・たかをが医師免許を取った理由は漫画のため?妻の故郷・岩手にも貢献!
さいとう・たかをが医師免許を取った理由は漫画のため?
さいとう・たかをには、ミステリアスな部分があります。たとえば、「『ゴルゴ13』で内情を詳しく描き過ぎたため、CIAから呼び出された」など武勇伝になるような噂も。もう1つの噂が、「さいとう・たかをは医師免許を持っている」というものです。
噂によると、医師免許を取得した理由は「ゴルゴ13」を描くためだったとか。世界情勢の話が詳しく描かれていることで有名な「ゴルゴ13」。それは、国名や事件名、団体や企業や個人名も、実際の名前が使われることもしばしばあり、読者が「想像や簡単な取材では描けない」と感嘆するほどの詳しさです。そこから医師免許を取得し、「国境なき医師団」に参加することで海外へ行き、現地の人と深く接することで最高に生きた取材をしているという噂が出た様子。
しかし、この話をしているのは「ゴルゴ13芸人」としても知られるケンドーコバヤシらタレントたち。さいとう・たかをは家業を継いで理容師になったことこそありますが、経歴には医師免許取得という事実は記載されていません。真偽のほどは分かりませんが、「ゴルゴ13」の主人公デューク東郷のように謎めいた部分があるところも、さいとう・たかをの魅力の1つと言えるでしょう。
さいとう・たかを妻は故郷・岩手にも貢献!「東北にものすごい憧れがあった」
さいとう・たかをの本名は斎藤隆夫です。和歌山県で生まれ、大阪府堺市で育ちました。現在は東京都中野区に在住していますが、妻の故郷である岩手県花巻市にも住居を構えています。
実は、岩手県に対して格別の思い入れがあるというさいとう・たかを。とりわけ、岩手県の人々の人柄に惹かれていると言います。代表作「ゴルゴ13」の重要な登場人物の1人である藤堂伍一も、岩手県出身という設定です。その他にも、「ゴルゴ13」には、岩手への思いを感じる場面が数多くあります。
そんなさいとう・たかをは2017年11月、漫画制作を通じて岩手の魅力発信に貢献した個人や団体に与えられる「マンガ郷いわて特別賞」を受賞しました。その際「東北にものすごい憧れがあった」とコメントし、藤堂伍一なども「無意識に岩手県出身にした」と明かしています。
さいとう・たかをの「ゴルゴ13」は連載50年!作品が支持され続ける理由は?
さいとう・たかをの代表作どころか代名詞とも言うべき傑作「ゴルゴ13」が、2018年で連載50年を迎えました。さいとう・たかをは「よくこれだけ長く続いたなと、自分でも不思議な気がする」とコメントしています。
主人公のデューク東郷は、本名や年齢・国籍などが一切不明の超A級スナイパー(狙撃手)です。ホテルの18階の窓から歩道を歩く標的に鏡で光を当て、振り向いた瞬間に脳天に一発見舞って即死させるなどお手の物。仕事を終えると即チェックアウトし、現場に急行するパトカーの隣を平然と歩いて立ち去ります。
「奴の後ろに立つな。命が惜しければ」というセリフも有名で、デューク東郷の背後に立てば、振り向きざまに顔面パンチを喰らうことは必至。「一緒に踊っていただけませんか」と近づく女性を、一瞬で探偵と見抜く洞察力もデューク東郷の重要な武器です。この完全無欠なヒーローは、高倉健や千葉真一主演で映画化もされました。アニメ版「ゴルゴ13」では、渋さが魅力の舘ひろしが声を担当しています。
このように「ゴルゴ13」が世代を超えて支持され続けた理由について、「私が時代の常識や観念にとらわれず描いてきたらかではないか」と分析しているさいとう・たかを。「他の漫画を読まない」と言う漫画制作の姿勢は、あらゆる思想にも左右されないデューク東郷にも重なるようです。
「ゴルゴ13」の他に「鬼平犯科帳」も連載中のさいとう・たかをは長時間描いていると指が固まり、マッサージが必要という過酷な制作現場でペンを持ち続けています。しかし「読者が読んでくれるなら、何とか頑張ってもうちょっとやりたい」と語る81歳の巨匠は、デューク東郷のごとく不動の信念で歩み続けるでしょう。