星野道夫がアラスカに魅せられた理由とは?「旅をする木」には名言が盛りだくさん!
星野道夫が最果ての地・アラスカに魅せられた理由とは?
星野道夫は、アラスカの大自然に生きる動物の姿を魅力的にとらえた写真で広く知られたカメラマンです。また、未開の地を旅する探検家でもあり、その経験をもとに多くの随筆も発表しています。
19歳の時に、神田の古書店で出会ったアラスカの写真集に魅せられた星野道夫は、「こんな最果てのような土地にどのような人が住んでいるのか?どうやって暮らしているのか?」と興味を持ち、ついはアラスカの地に移り住むことを決意しました。
星野道夫「旅をする木」は旅人必読の1冊!名言が盛りだくさん!
星野道夫がアラスカに魅せられた理由や、そこで出会った人々や自然について綴った1冊が「旅をする木」です。常に生死と隣り合わせの厳しい自然の中にあってつむがれる言葉はいずれも名言揃い!「人の心は、深くて、そして不思議なほど浅いのだと思います。きっと、その浅さで、人は生きてゆけるのでしょう」「寒いことが、人の気持ちを暖めるんだ。離れていることが、人と人とを近づけるんだ」等といった、心にしみる言葉が並びます。
旅に出て異世界を体験することでしか得らない言葉が並ぶ「旅をする木」は、旅人たちにとって必読の書とも言えるでしょう。なかなか旅行に出かける時間がないという方にもおすすめです。
星野道夫の壮絶な最期とは?妻・直子との馴れ初めや結婚生活は?
星野道夫の壮絶な最期とは?ヒグマにテントを襲われた……
自然を愛し、人間も動物も自然の一部であると捉えていた星野道夫は、1996年、その愛する自然の中で壮絶な最期を迎えています。星野道夫は、TBSの動物番組「どうぶつ奇想天外!」の企画でヒグマを撮影するため、ロシアのカムチャッカ半島を訪れました。取材班とガイドは小屋に泊まり、そこから数メートル離れたところに1人でテントをはっていた星野道夫でしたが、深夜にテントがヒグマに襲われてしまいます。その後ヒグマは射殺されましたが、星野道夫は、森の中で、ヒグマに食い荒らされた状態で見つかりました。
星野道夫の妻・直子との馴れ初めはお見合いだった!夫亡き後も彼を支え続ける
1996年に突然の最期を迎えることになった星野道夫。そのわずか3年前に、妻・直子と結婚し、1994年に長男が誕生したばかりでした。直子と星野道夫の出会いはお見合いです。クリスチャンだった直子一家が懇意にしていた牧師夫人が星野道夫の姉だった縁から、縁談話が持ち上がったそうです。
交際を重ねた2人は、1993年に結婚。結婚した翌月にはアラスカに渡ります。海外生活は初めてだった直子のために、星野道夫は、撮影旅行にもできるだけ妻を同伴して新婚時代を過ごしたそうです。本格的なキャンプも初体験だった直子に、星野道夫はイチから教えてくれたとか。彼の死後、妻の直子は、星野道夫の写真を管理し、写真展を開くなどの活動を続けています。
星野道夫の世界に再び出会う没後20年の写真展
星野道夫が、ロシアのカムチャッカ半島で急逝してから20年以上の月日が経っていますが、彼が遺した多くの写真や、「旅をする木」をはじめとする心にしみる言葉たちは、いまだ多くの人々をひきつけています。
昨年2016年には、没後20年を記念して、「没後20年 特別展 星野道夫の旅」と題した写真展が開催されました。この写真展は、2018年まで全国を巡回する予定なので、それまで星野道夫の存在を知ることのなかった人にも、作品と出会うきっかけを作ることにつながりそうです。2017年に予定された巡回展はすでに終了しましたが、2018年2月には東大阪市民美術センターでの開催が予定されています。
また、この写真展と連動して、2017年10月8日には、星野道夫の出身地である千葉県市川市で、星野道夫の作品の魅力を紹介する朗読舞台「悠久の自然 アラスカ」も開催されました。市川市の文化イベント「文化イヤー2017《秋の祭典》」のプログラムの1つとして行われたもので、壮大なアラスカの自然をとらえた星野道夫の写真を、ハイクオリティプロジェクターによって映し出された大スクリーンで味わうという企画です。ナレーターの磯部亮が、星野道夫が遺した言葉を朗読し、壮大な旅の世界に観客を誘いました。
実は、2016年に初めて行われ、好評を得たことから、星野道夫の出身地である市川市でも開催の運びとなったこの朗読舞台。企画者でもある磯部亮は、「星野さんの生誕の地、市川市での上演する機会に感謝している。ハイクオリティプロジェクターで投影される星野さんの壮大なアラスカの写真はとても美しく必見」だと舞台の魅力を語っています。
「旅をする木」のような、文章のみで構成されたエッセイの人気も高い星野道夫ですから、その心の内にあった人生哲学も同時に楽しめる朗読舞台は、星野道夫の世界を味わうのに最適なシチュエーションかもしれません。
没後20年を過ぎてもこうして多くの人に愛され、さらに広めようと活動する人が絶えない星野道夫の世界は、それだけ普遍的な魅力にあふれているのでしょう。これからも次世代にその魅力が引き継がれていくことは間違いありません。