ナガオカケンメイが提唱するロングライフデザインとは?「情熱大陸」で語った名言!

ナガオカケンメイのデザイナーとしての経歴や作品は?提唱するロングライフデザインとは?

ナガオカケンメイのデザイナーとしての経歴や作品は?原点は朝日広告賞

デザイナーでロングライフデザイン活動家のナガオカケンメイは、北海道生まれの名古屋育ち。高校の建築科を卒業後に上京して広告制作会社に勤め始め、22歳になる頃にはアートディレクターまで上り詰めました。

一度は名古屋に戻ったものの、たまたま見かけた朝日広告賞に応募すると、準グランプリを受賞。それはヤマト運輸の広告で、新聞紙一面にマスコットキャラクターのクロネコのマークがプリントされ、紙面の上部にたったひと文「お茶碗は、この広告で包んでください。」とある実にシンプルなものでした。

これをきっかけに再び上京したナガオカケンメイは、1990年に日本デザインセンターに入社し、ラフォーレ原宿のテレビCM等を手掛けます。2000年になると、自身が代表を務める「D&DEPARTMENT PROJECT」を設立して独立しました。同年にオープンしたショップでは、ナガオカケンメイが提唱する「ロングライフデザイン」をテーマに集められた中古家具や日用品、オリジナル商品の企画や販売を行っています。

さらに、1960年代に作られたシンプルで質が良いアイテムの復刻をコンセプトにしたブランド「60VISION(ロクマルヴィジョン)」を立ち上げ、2003年に「グッドデザイン賞 川崎和男審査委員長特別賞」を受賞。2008年には、47都道府県それぞれの個性をデザインの視点から企画した、「DESIGN BUSSAN NIPPON」を開催し、2009年からはデザイン観光ガイド「d design travel」の発行をスタートさせました。現在のナガオカケンメイの活動は、デザイナーの枠をはるかに越えるものとなっています。

ナガオカケンメイが提唱するロングライフデザインとは?

ナガオカケンメイの活動の基盤となっている「ロングライフデザイン」には、一体どのような意味が込められているのでしょうか?「ロングライフデザイン」とは、いつの時代も変わらない価値を発掘し、惜しくも埋もれてしまっている場合には、現代社会と調和するように少しだけ手を加えて蘇らせること。

当然、昔から愛用され続けてきた商品を復刻したり、新しい観光の形としてガイドブックを制作したりと、ナガオカケンメイの活動範囲もおのずと広く深くなっています。商品をそのまま表舞台に出すだけでなく、現代の生活にも合うように「新しいもの」をバランスよく取り入れるところが、ナガオカケンメイの「ロングライフデザイン」の特徴と言えるでしょう。

ナガオカケンメイが「情熱大陸」で語った名言!「ナガオカケンメイの考え」ほか人気著書は?

ナガオカケンメイが「情熱大陸」で語った名言!

2008年6月放送の「情熱大陸」に出演したナガオカケンメイ。番組内では、埋もれかけている古き良きものを探すため、全国津々浦々を飛び回っている姿が映し出されました。「ロングライフデザイン」のコンセプトの集合体とも言える、「D&DEPARTMENT PROJECT」に対する並々ならぬこだわりや想いも紹介されています。

その1つが、販売商品すべてのタグに、その商品ができてから経過した年数を示す「ロングライフ歴」が表示されていることです。一番古いという手帳の「ロングライフ歴」はなんと200年というから驚きです。ナガオカケンメイは、デザイナーのあるべき姿についても語っています。

曰く、「現代はいつの間にか表面的なデザインしかしなくなった」。リアルな消費生活を考慮しない薄っぺらなデザインが増えつつある現代に警鐘を鳴らす名言でしょう。そんなナガオカケンメイの考え方は至ってシンプル。「長く使われるということは、デザインが優れている」という名言に、彼のスタンスが明確にあらわれていると言えるでしょう。

「ナガオカケンメイの考え」ほか人気著書は?絵本も出版!

ナガオカケンメイは、これまで10冊以上もの著書を出版しています。中でも人気なのが、2006年11月に発行された「ナガオカケンメイの考え」です。日記を元にまとめたもので、仕事をするにあたっての志や考え方など、ビジネスに役立つ内容になっています。

読者からは、「この本を読んで色々考えさせられた」「共感できる箇所がたくさんある」などの感想が。その2年後に発行された「ナガオカケンメイのやりかた」も、評価の高い1冊です。会社設立から日本伝統工芸や地域産業に特化したNIPPON PROJECTへと続いていく9年間の軌跡を綴った内容となっています。

こういったビジネス書以外には、2003年10月に発行された「ふたりの絵本 結婚。」という少し変わり種も。ナガオカケンメイと妻の結婚生活を題材にした絵本で、「感動した」「夫婦っていいなあと思った」等、どちらかというと女性からの評価が高い1冊です。

ナガオカケンメイが新書でイベント開催!まだまだ夢の途中

ナガオカケンメイの最新著書「もうひとつのデザイン ナガオカケンメイの仕事」が、2018年2月9日に発売されました。出版を記念して、13日には、代官山にある蔦屋書店でトークイベント&サイン会も開催されています。「もうひとつのデザイン」は、今まで語ってこなかったナガオカケンメイの生い立ちに触れている他、300点以上のカラー写真も掲載されているとのこと。ビジュアル豊富な本作は、「ロングライフデザイン」への理解が深めるためにかっこうの1冊となりそうです。

2000年に立ち上げた「D&DEPARTMENT」が、ロングライフデザイン活動家ナガオカケンメイの全ての始まりでした。オープン当時から変わらない彼の信念を体現しているのが、「D&DEPARTMENT」のショップバッグです。他店の紙袋に自社の名入りテープを貼っただけという斬新すぎるリサイクル方法で、テープを貼って隠したとはいえ他店のロゴは丸見え。一見すると不格好なため、当時は批判の声もあったと言います。しかし今では、「その紙袋だけほしい」と言われるまでになりました。

ナガオカケンメイは、自身の目指す持続可能な活動を、逆転の発想によって最先端デザインに近づけることに成功しています。そんなナガオカケンメイのさらなる夢のひとつが、全国に1カ所ずつ「D&DEPARTMENT」のショップを展開することです。現在、国内では12店舗(内東京3店舗)、海外では1店舗なので、まだまだ夢の途中。ショップがまた1つ増えるたび、ナガオカケンメイが掲げる新しい価値観もさらに広がっていくことでしょう。

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