藤田貴大は蜷川幸雄が認めた演劇作家!又吉直樹もリスペクト
藤田貴大は蜷川幸雄が認めた演劇作家!共演作「蜷の綿-nina‘s cotton-」は幻に終わるのか?!
「今、最も演劇に愛されている青年である」と言われるほど、近年目覚ましい活躍を見せている若手演劇作家の藤田貴大(ふじたたかひろ)。その才能は、希代の演劇作家として知られる蜷川幸雄にも認められていたことが知られています。
藤田貴大が手掛けた2013年の舞台「cocoon」を観た蜷川幸雄は、作品の持つ美しさと瑞々しさに共感し、その才能を見抜きました。藤田貴大について「俺と同じ種族だ」と表現した蜷川幸雄は、すぐさま自分への書き下ろしを依頼したと言います。依頼を受けた藤田貴大は、蜷川幸雄の半生を取材して書いた戯曲「蜷の綿-nina‘s cotton-」を完成させ、多くの舞台ファンの注目を集めました。
こうして生み出された、蜷川幸雄と藤田貴大待望の共作「蜷の綿-nina‘s cotton-」は、2016年2月に上演される予定でしたが、蜷川幸雄が入院し延期となってしまいます。自身の単独演出で上演することも考えた藤田貴大ですが、「彼(蜷川幸雄)が用意してくれた、こんなにも大切な時間の中で、僕は彼を待っていたいと思いました」と蜷川幸雄の現場復帰を切望。
しかし、その思いも虚しく、蜷川幸雄は2016年5月12日にこの世を去りました。蜷川幸雄が旅立ってからこれまで、「蜷の綿-nina‘s cotton-」上演の夢は叶っていません。いつか上演される日がやってくるのか、あるいは違った形で新しい作品として上演されるのか……演劇界は幻の名作の今後を見守っています。
藤田貴大を又吉直樹もリスペクト!イチオシの若手演劇作家として紹介
藤田貴大は、2007年に設立した「マームとジプシー」の主宰者として、全ての作品の脚本・演出を手掛けています。象徴的なシーンを高速で繰り返し、変移させていく「リフレイン」という手法など、その独創的な表現方法や演出力は高く評価されてきました。
お笑い芸人であり、芥川賞作家でもある又吉直樹もまた、藤田貴大作品のファンであると公言している1人で、対談もしています。又吉直樹が、藤田貴大の作品を初めて観たのは2014年。川上未映子と「マームとジプシー」がコラボした舞台「まえの日」の東京公演ツアー最終日でした。
公演を観た又吉直樹は、「これはずっと観続けないとあかんやつ」と、半端ない刺激を受けたと対談内で明かしています。それ以来、藤田貴大の作品は欠かさず観ている又吉直樹。自身が推薦人を務めるNHK BSプレミアムの「ネクストブレイカー」でも、リスペクトするイチオシの若手演劇作家として藤田貴大を紹介しています。お笑い芸人としても、作家としてもセンスが光る又吉直樹のイチオシというお墨付きがあれば、藤田貴大作品のファンは今後さらに増えそうです。
藤田貴大を演劇世界へ導いたのは母親だった!?イケメン演劇作家の経歴は?
藤田貴大を演劇世界へ導いたのは母親だった!?
藤田貴大の人と成りを語るにあたって、母親の存在を抜きにすることはできません。1985年4月27日に群馬で生れた藤田貴大は、生後2カ月から父親の故郷である北海道伊達市に移り育ちます。10歳の頃に、市民劇団パラムに所属し、子役として演劇を始めたのは、母親の勧めがあったからでした。その後も劇団四季の公演を観に行くなど、小さい頃から演劇の世界に造詣が深い日々を過ごしたことが、今の藤田貴大の源になっているようです。
「母親は教育熱心で、反面すごく女性的な人」と語る藤田貴大。自作品で、男には分からない“女性性”に興味を持ち探求するのは、母親の“女性性”を、近くで、冷静に、敏感に見てきたからだと思うと振り返っています。寝る前には母親が必ず本を読み聞かせてくれたというエピソードからは、藤田貴大が愛情深く育てられたことが分かります。
演劇作家として食べていくことができなかった時期も見守ってくれていたという母親。まさに、演劇世界へのドアを開き、導いてくれたのは母親と言っても過言ではないはず。演劇作家としての藤田貴大に多大な影響を与えた母親は、息子のTwitterをこっそりチェックする可愛らしい面も見せるとか。立派に成長した息子を見て、感慨もひとしおでしょう。
藤田貴大がイケメン演劇作家の経歴は?
藤田貴大は、演劇作家としての実力はもちろん、そのイケメンぶりも話題です。Twitterやインタビュー記事などに掲載されている写真を見ても、そのイケメンぶりは一目瞭然。表舞台に立つ俳優ではなく、なぜ裏方なのか?と言う声も多いとか。誰もが認めるイケメン演劇作家・藤田貴大は、実は子役経験の持ち主で、一時は俳優を目指していた時期もあったと言います。
北海道伊達市に育った藤田貴大は、高校3年生まで、市民劇団パラムに所属していました。演技経験は豊富で、17歳の時に、全国高等学校演劇大会でベスト4に輝いた実績もあるほど。「とにかく東京に出たかった」という藤田貴大は、俳優を志して桜美林大学文学部総合文化学科に進み、演劇コースを専攻します。本格的に演劇の道に踏み出すことになりますが、20歳の時に転機が訪れます。
それまでは、劇団「青年座」の主宰で、桜美林大学で教鞭を執っていた平田オリザの学内公演です。演出助手や俳優をしていた藤田貴大は、俳優を続けることに疑問を感じ始めるように。あらためて俳優という職業について考えてみると、「舞台に上がった途端に、他人の言葉しかしゃべれないって、ちょっと変なことだと改めて思った」そうです。
最初の劇作を作った時期で、また、母方の祖父が亡くなるという大きな出来事も重なり、俳優としてではなく、演劇作家として表現する道を選びました。本人にとっては、裏方に徹するという意識ではなく、自分らしい表現方法を選んだ結果ということなのでしょう。
藤田貴大の新作「BOAT」で宮沢氷魚らキャストがボートを囲んだ新ビジュアルを公開!
演劇界注目の藤田貴大の新作「BOAT」が、2018年7月に東京芸術劇場プレイハウスにて上演されることが発表され、早くも期待が高まっています。
新作「BOAT」は、「カタチノチガウ」「sheep sleep sharp」に続く完結編ということで、藤田貴大がプレイハウスで発表する作品としては3作品目となります。約1年ぶりの作品となる新作「BOAT」について、「現在という、本当のことを、舞台の上で繰り広げていきたい」と意気込みを語る藤田貴大。
メインキャストは、THE BOOMのボーカル宮沢和史の息子で、モデルや俳優として最近存在感を増しつつある宮沢氷魚(みやざわひお)。その他にも、藤田貴大作品には欠かすことのできない青柳いづみや豊田エリー、中嶋朋子という魅力的な布陣です。上演に先立って公開されたビジュアルでは、キャスト4人がボートを囲んだ、印象的で芸術的なショットを披露。ファンは、上演される7月が待ちきれないのではないでしょうか。
10月には、シアターイーストにてRooTsシリーズ「書を捨てよ町へ出よう」の再演も決まっている藤田貴大。蜷川幸雄が「俺と同じ種族」とまで言い、又吉直樹がベタぼれしている才能を遺憾なく発揮して、これからも演劇界の新しい歴史を作りあげていって欲しいものです。