コリン・ウィルソンはアウトサイダーを知り尽くした小説家!あの事件も予見していた?

2019年10月25日 更新

コリン・ウィルソンはアウトサイダーを知り尽くしている?著書「アウトサイダー」とは?


コリン・ウィルソンのプロフィール
◆職業:小説家
◆生年月日:1931年6月26日
◆死没:2013年12月5日
◆出身:イングランド
◆代表作:アウトサイダー(1956年)

コリン・ウィルソンは、1950年代から2013年まで活躍していたイギリスの小説家です。その中でも有名なのは、デビュー作となった「アウトサイダー」です。

コリン・ウィルソンは1931年、イングランドのレスターで労働者階級の息子として誕生しました。家庭は決して裕福ではなく、16歳で学校に通えなくなり仕事を始めたコリン・ウィルソンは10代後半からさまざまな仕事に就き、仕事の合間を見つけては執筆を続けていたといいます。

そんな生活を続けて8年が経った1956年、コリン・ウィルソンは24歳で代表作となる「アウトサイダー」を出版。鮮烈的なデビューを果たします。同作は「実存主義的な危機」という視点から、ヘミングウェイ、サルトル、ニーチェなど「アウトサイダー」を通して、現代人特有の病とその脱出法を探求していく作品です。同作は大きな反響を呼び、コリン・ウィルソンは作家としての地位を確立させました。

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そこからコリン・ウィルソンの実存主義思想のシリーズが始まり、バルビュス、カミュ、ドストエフスキーなど、さまざまな思想家や小説家の根底に実在する危機と向き合った作品の執筆に取り組みます。社会や歴史、哲学、宗教思想など、さまざまな分野における豊富な知識を身に着けていたコリン・ウィルソンは、鋭く問題に切り込みました。

アウトサイダーを執筆中は働かず、日中は大英博物館でひたすらペンを走らせ、夜は野宿をしていたと、コリン・ウィルソンは後に自伝で明かしています。貧しい家庭に生まれたからこそ、小説家として必ず成功したいという強い思いが、このような行動を生んだのかもしれません。

コリン・ウィルソンは怒れる若者たちの1人だった?そのメンバーとは?

コリン・ウィルソンがアウトサイダーを出版したのと時期を同じくして、デビューした若手作家たちがいます。コリン・ウィルソンを含めた彼らは、労働者階級や下層階級の立場から、イギリスの階級社会や既存の秩序に対する批判を小説や評論に込めました。

社会に抗う若い作家たちを、イギリス紙「タイムズ」は劇作家、ジョン・オズボーンの戯曲「怒りを込めて振り返れ」になぞらえて「怒れる若者たち」と呼びました。当時のイギリスは第二次世界大戦敗戦後の改革によって経済的に安定し、保守的な思考が蔓延していました。その結果、時代の流れは停滞し、若者はその閉塞感に未来への展望を見出せなかったといいます。そこに一石を投じたのが、「怒れる若者たち」の著書です。若者たちの声を代弁したことにより、彼らは一躍有名になりました。

有名になると、一方で批判的な意見も出てくるものです。メディアが反抗的姿勢を示す若者を集めて捏造されただけのグループだと、怒れる若者たちを批判する者も現れました。とはいえ、現代まで語り継がれるほどのムーブメントを起こしたのは紛れもない事実であり、当時の熱狂ぶりが垣間見えます。

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コリン・ウィルソンがシャロン・テート殺人事件を解説した「殺人百科」とは?

2019年8月30日、「キル・ビル」「パルプ・フィクション」などで知られる映画監督、クエンティン・タランティーノがメガホンをとった「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」が日本で公開されました。

ブラッド・ピット、レオナルド・ディカプリオが初共演し、公開からおよそ1ヶ月で興行収入11億を超えるヒットとなった同作は、1969年8月にハリウッドで実際に起こった「シャロン・テート殺人事件」に基づいて制作された作品です。

小説を執筆する傍ら、オカルトや殺人の研究にも熱心だったコリン・ウィルソンは代表作「殺人百科」の続編「現代殺人百科」で、同事件の首謀者、チャールズ・マンソンが事件を起こした背景について解説しています。

他人をマインドコントロールする力に長けたチャールズ・マンソンは、洗脳して集団生活をさせていた家出少女たちを使って引き込んだ男性信者たちを操り、当時妊娠8か月だったハリウッド女優のシャロン・テートを無残に殺害しました。コリン・ウィルソンは、当時の社会はLSDとコカインが町に溢れ、猟奇的な犯罪を犯すのも容易い状況であったと論じています。

コリン・ウィルソンの「殺人百科」には、このような凶悪殺人の背景や方法、犯人の心理などが事細かに解説されており、凶悪殺人犯との対談も掲載されています。フィクションでは飽き足らないという方は、一読の価値があるでしょう。

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