江國香織が夫との間に子どもを作らなかった理由とは?映画化されたおすすめ作品はコレ

2020年6月24日 更新

江國香織と夫の素敵エピソードとは?子供を作らなかったのは小説を書き続けるためだった!?

江國香織のプロフィール
◆生年月日:1964年3月21日
◆出身:東京都
◆代表作:きらきらひかる(1991年)

江國香織と夫の素敵エピソードとは?江國香織とは真逆のタイプ

人気小説家の江國香織(えくにかおり)は1994年、29歳のときに銀行員の男性と結婚しました。本ばかり読んでいる内向的な子供で、20歳近くになるまでまともに男性と話したことがなかったという江國香織。「本を読まない。あまりしゃべらない。180度価値観の違う人」と話しているように、夫は、江國香織とは真逆のタイプのようです。

そんな2人のエピソードは 2001年5月に出版され、結婚してから2~3年の生活の様子を綴ったエッセイ集「いくつもの週末」で垣間見ることができます。江國香織の考え方や物の見方伝わるやりとりが綴られ、世の中にはたくさんの夫婦がいて、その数だけ愛の形があるのだと思わせる内容となっています。

また、大のチョコレート好きという江國香織は「自分以外の女性にチョコレートを贈らない」という少し変わった約束を夫と交わしているとか。江國ワールドは、彼女の私生活にも広がっていることがよく分かります。

江國香織が子供を作らなかった理由は?小説を書き続けるためには「観察者」でいたかった

江國香織夫婦に子供はいませんが、2012年2月に放送された「僕らの時代」の対談の中で、子供を持つことについて語っています。江國香織には、子供を持ちたいと考え、そのことばかり考えていた時期があったそうです。しかし、「子供ができると観察者でいられなくなり物語が書けなくなるでは」と懸念する気持ちもありました。

江國香織がいう観察者とは、客観的に物事を見ることができるもう1人の自分自身のことを指しているのでしょう。「子供を産むことが怖かった」と吐露した江國香織は、続けて「大切な人が増えるということは、いろんな心配事が増えるということでもあり、自分はそれだけで手一杯になってしまう。だから観察者でいられなくなる」と語っています。

おそらく1つのことに集中すると他のことが目に入らなくなる性格も影響しているのかもしれません。そんな江國香織の性格がうかがえるエピソードがあります。夏の場面を執筆中だった江國香織は、現実世界は冬なのに、うっかり薄手のTシャツだけで出かけてしまったことがあるそうです。そこまでのめり込んで物語を書いているだけに、子供を作ることをためらう気持ちも分かる気がします。

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江國香織原作の映画化されたおすすめ作品は?華麗なる受賞歴やプロフィールをおさらい!

江國香織原作で映画化されたおすすめ作品は「きらきらひかる」と「東京タワー」!

江國香織は当代きっての人気作家の1人です。2001年5月に出版された「冷静と情熱のあいだ」や2004年9月に出版された「間宮兄弟」など、これまで数々の作品が映画化されてきましたが、中でもおすすめの作品といえば、1991年には発表された「きらきらひかる」と2001年12月出版の「東京タワー」でしょう。「きらきらひかる」は、江國香織の初期の頃の作品で、長編小説としては1冊目となる記念すべき作品です。

アルコール依存症の妻と同性愛者の夫、夫の恋人(男性)の3人が紡ぎだす不思議な関係性を描き、傷ついたり傷つけあったりしながらも、お互いが大切に想いあっているという、「幸せ」のありかたを問う作品です。1992年に映画化され、妻を薬師丸ひろ子、夫を豊川悦司、夫の恋人を筒井道隆が演じました。映画版には原作と違う描写も多少ありましたが、江國ワールドが忠実に再現されていると原作ファンからも高く評価されています。

そして、映画の冒頭にも出てくる「恋はするものじゃなくて、落ちるものなんだ」というキャッチコピーも印象的だった「東京タワー」。母親ほど年の離れた女性と青年とのいわゆる不倫を描いた作品ですが、映像化されたことで、宝石箱を開けたかのようなキラキラとした東京の夜景など、江國香織の世界観がビジュアル的にも楽しめる作品になりました。

2005年に映画化され、黒木瞳と岡田准一が主演を務めています。不倫と聞くとドロドロとした情景を思い描きがちですが、「東京タワー」には、そういった要素は一切なく、終始美しい恋という形で描かれているのは江國香織ならでは。映画版と原作ではラストが違っています。

江國香織の華麗なる受賞歴やプロフィール!翻訳も含めると100作品以上に

江國香織は、1964年生まれで、東京都出身です。目白学園女子短期大学国文学科を卒業後、学校法人アテネ・フランセを経て、デラウェア大学に留学した経歴を持ちます。20歳の頃から雑誌などへの投稿を始めた江國香織は、「草之丞の話」という作品で、1987年に「小さな童話 大賞」を受賞し、童話作家として執筆活動をスタートさせました。文筆活動の道に進んだのは、エッセイストの江國滋を父に持つことも影響しているでしょう。

1989年には、アメリカ留学中の体験を題材にした「409ラドクリフ」が第1回フェミナ賞を受賞。この他にも実に多数の作品で賞を受賞してきましたが、代表的なところでは、1992年「きらきらひかる」が第2回紫式部文学賞。2002年「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」で山本周五郎賞、2004年「号泣する準備はできていた」で第130回直木賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で第51回谷崎潤一郎賞を受賞しています。

これまで297作以上の物語を世に送り出し、映画化されたのは6作品で、ドラマ化されたのは5作品ほど。また、およそ84作品もの翻訳もしているので、自身が書いたものも合わせると、なんと381以上もの作品に携わってきたことになります。

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江國香織が選ぶ最も記憶に残る食とは?「正解はない」江國香織ワールドの魅力

江國香織が選ぶ最も記憶に残る食は焼き鳥屋

江國香織は、週刊朝日が連載している「人生の晩餐」という、各界の著名人が最も記憶に残る食を紹介するという企画で2017年4月14号に登場しました。江國香織が人生で最も記憶に残っている食、それは、東京都世田谷区にある1軒の焼き鳥屋です。多い時には月2回、もう10年以上も通っているそうで、中でも江國香織が絶賛するのは「至福のうずら」と「ぼんじり」の2品。お店に行くと毎回必ずオーダーすると言います。

焼き鳥店でありながらメニューも豊富で、魚や野菜料理も充実していて美味しい点もお気に入りのポイントとか。品数が豊富なので、頻繁に訪れても飽きることがないようです。このように、誰でも気楽に立ち寄れそうなお店の料理を選ぶ庶民的な感覚が、その作品一つ一つにも反映され、物語をより身近に感じられるものにしているのでしょう。この連載は「人生最高のひと皿」というタイトルで2019年12月6日に朝日新聞出版から書籍としても発売されています。

江國香織の作品の魅力とは?「去年の雪」はどんな話?

江國香織は「恋愛小説の女王」とも呼ばれ、彼女が描く恋愛模様はどこか奇妙でちょっと複雑な人間関係に特徴があります。しかし決して非現実的すぎることはなく、もしかしたらどこかでそんな恋愛が起こっているのかもしれないと思わせてくれる、そんな境界があいまいな不思議さも魅力です。

恋愛を綴りながらも文体に甘さはない一方で、ひらがなを多用する江國香織独特の言葉の世界が好きな方も多いことでしょう。2020年2月28日には、100人以上が登場する小説「去年の雪」を刊行しています。

光文社によって行われたインタビューの中で江国香織は「いろんな人がさまざまに生きている世の中の話を書きたいと思った」と語っています。「去年の雪」の中では、100人以上の登場人物たちが繰り広げる日常生活の一場面が切り取られ積み重なって一つの物語を織りなしていきます。

特定の人物に焦点を当てることが多かった江国香織の作品の中では、あまりなかったスタイルの作品です。「本書に限らず、私はいつも“正解はない”ということを書きたいと思っています」と語る江国香織の本を読めば、なにかと縛られがちな現代人の心も少し和らぐかもしれません。これからも江国香織は読者の心に寄り添うような素敵な物語を紡ぎだしてくれることでしょう。

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