「ハミルトン」トニー賞最多11部門受賞ミュージカル!ストーリーは?

「ハミルトン」トニー賞最多11部門受賞のラップミュージカル!ストーリーは?

「ハミルトン」はトニー賞最多11部門受賞のラップミュージカル!どんな作品なの?受賞内容は?

「ハミルトン」は、ニューヨークのブロードウェイで長期公演されてきたミュージカル。米国初代財務長官にして、建国の父の1人、アレクサンダー・ハミルトンを主人公にし、その生涯を、ラップミュージックに乗せた演技で魅せるという、日本でいえば、史劇ミュージカルにラップミュージックをのせたような作品です。「ハミルトン」は、米国ブロードウェイで公演された演劇およびミュージカルのうちで、最も優れた作品に対して与えられる、アントワネット・ペリー賞、通称「トニー賞」において、なんと史上最多の13部門16賞にノミネート。

現地時間6月12日に、ニューヨークのビーコンシアターで行われた授賞式では、作品賞をはじめとして11部門を「ハミルトン」が受賞するという快挙を成し遂げました。「ハミルトン」の記録は、過去の最多記録15部門ノミネートの歴史を塗り変えた他、助演男優枠5人中3人までが「ハミルトン」の役者から選出されるという異例の事態にまでなっています。

「ハミルトン」トニー賞最多11部門受賞のラップミュージカルのストーリーが知りたい!

「ハミルトン」のストーリーは、作家ロン・チェルノーが著した、アレクサンダー・ハミルトンの伝記をモチーフに、その生涯を、前後二幕構成で描きます。「ハミルトン」第一幕は、アレクサンダー・ハミルトンの出自が、カリブ海の孤児であったことを伝えるミュージカルからスタート。

やがて、成長したハミルトンは、1776年のニューヨークに上京し、生涯のライバルとなるアーロン・バーと出会い、アメリカ独立戦争の中で、ジョージ・ワシントンの副官として活躍します。その後、独立したハミルトンは、研鑽を積んで弁護士となり、最終的には初代米国財務長官に。「ハミルトン」第二幕は、アレクサンダー・ハミルトンの偉業である、米国連邦銀行創立や、孤立外交政策に対して、トマス・ジェファーソンなどの大物政治家たちや、アーロン・バーが反対するパートから始まります。

夫にないがしろにされたレイノルズ夫人と、家族のあるアレクサンダー・ハミルトンが、愛人関係であることが公になり、米国政治史初の「政治スキャンダル」へと発展したことがきっかけで転落していくアレクサンダー・ハミルトン。最後はライバルのアーロン・バーと銃で決闘し、破れて死ぬという結末です。「ハミルトン」は、まさに波乱万丈の一代記となっています。

「ハミルトン」リン・マニュエル・ミランダとは?「メリー・ポピンズ」出演決定!

「ハミルトン」リン・マニュエル・ミランダの正体に迫る!

「ハミルトン」で、一躍世界中の脚光を浴びることになった劇作家であり訳者のリン・マニュエル・ミランダは、1980年、ニューヨークのワシントンハイツ地区で生まれた、プエルトリコ系ヒスパニックのアメリカ人です。実はリン・マニュエル・ミランダは、米国本国ではすでにかなり名の知れたアーティスト。リン・マニュエル・ミランダは、母校ウェズリアン大学在学中の2年生の時に、学内劇団用のラップミュージカルで、後の大ヒットミュージカルとなる「イン・ザ・ハイツ」の原案を書きました。

リン・マニュエル・ミランダは、「イン・ザ・ハイツ」で、2008年から2009年にかけて、ブロードウェイ上演を達成。数々の賞を獲得し、米国内で、一躍人気アーティストの仲間入りを果たします。劇作のみならず、作曲から作詞、果てはラップ実演まで、マルチにこなすリン・マニュエル・ミランダ。その後も、さまざまな映画(「スタ・ウォーズ フォースの覚醒」など)、テレビドラマ(「ソプラノズ」など)、ミュージカルに関わり続けて地歩を固め、やがて今回の「ハミルトン」の原案となるアルバムを作成。

2009年5月には、オバマ大統領の参加するホワイトハウス・ポエトリー・ジャム(ホワイトハウス詩朗読会)で、しゃれのきいたユーモアセンスを披露し、スタンディングオベーションを勝ち取ってもいます。リン・マニュエル・ミランダは、2011年から、オフ・ブロードウェイで、自ら主役を演じながら「ハミルトン」を成功させた上、米国各州の有名大学の名誉博士号を持ち、オバマ大統領とも頻繁に会合するほどの大スターとなりました。

「ハミルトン」リン・エマニュエル・ミランダが「メリー・ポピンズ」に出演するって本当?

「ハミルトン」のクリエイターであるリン・マニュエル・ミランダは、米国内の大スターですから、もちろん各方面のビジネスチャンスに名前が上がるほどの有名人でもあります。そんな大スター・リン・マニュエル・ミランダに、こちらもショービズ大手のディズニーが、ラブコールを送りました。

2016年4月の段階で、ディズニーは、かつての旧作リメイク計画を発表。「ジャングル・ブック」に並んで、名作「メリー・ポピンズ」のリメイクを行うことが明らかにされました。何とその中で、「ハミルトン」のリン・マニュエル・ミランダが、主役級のキャストに抜擢されているとの情報がもたらされたのです。翌5月には、映画のタイトルと詳報が明らかになりました。

その名も「メリー・ポピンズ・リターンズ(邦題未定)」で、舞台は、大恐慌時代のロンドン。「ハミルトン」リン・マニュエル・ミランダは、メリー・ポピンズの友人で、ランプ技師のジャックという登場人物を演じます。映画の公表は、海外では2018年12月25日ということですから、日本にやってくるのはその半年後、あるいは2019年のクリスマス時期になるかも知れませんが、面白い作品になることは間違いないでしょう。

「ハミルトン」リン・マニュエル・ミランダの授賞式のソネットが凄いと話題に

「ハミルトン」が、トニー賞の授賞式で11部門の賞を獲得したことから、作詞作曲のリン・マニュエル・ミランダがスピーチを行う運びになりました。「ハミルトン」リン・マニュエル・ミランダは、かつて「イン・ザ・ハイツ」でトニー賞を受賞した2008年のスピーチでは、お得意のフリースタイルラップを披露。会場にスタンディングオベーションを巻き起こしています。

今回も、リン・マニュエル・ミランダのフリースタイルラップが聞けるのか……と構えるオーディエンスの前に登壇した「ハミルトン」リン・マニュエル・ミランダ。開口一番、「もう年なので、フリースタイルはやりません。かわりにソネットを用意しました」と述べて、朗読を始めました。ソネットとは、近代欧州で広く読まれるようになった14行程度の定型詩。英文学では、シェイクスピアがその有名な使い手であり、劇作家でなくても、英語圏で学ぶ人は、必ず学ぶ国語分野の1つです。日本でいうならば、短歌のようなものですね。

「ハミルトン」リン・マニュエル・ミランダは、ここで妻への賛辞に始まり、直前に起こったテキサス州オーランド銃乱射事件を仄めかすような、「血も涙もない行為が悲劇を生み思い出す 何も確かなことはないと、一日たりと」というフレーズをはさみながら、「希望と愛が永らえることを思い出そう……音楽と愛と誇りを世界に満たしていこう」という結びをつけ、涙ながらにスピーチを締めくくりました。

米国内でのオーランド銃乱射事件の影響の大きさもさることながら、それを直前に取り入れて、ここまで人を感動させられる、しかも格式のあるソネットの表現を使ったところにも、リン・マニュエル・ミランダの才能がほとばしっているように思います。日本では、まだ一般の人々に名を知られていない「ハミルトン」リン・マニュエル・ミランダですが、「メリー・ポピンズ」の日本公開にあわせて押さえておくべき大スターであることに間違いはありません。

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