大西信満は映画「キャタピラー」で難役を熱演!真木よう子との出会いは財産

大西信満は映画「キャタピラー」で難役を熱演!映画初出演&初主演作品は「赤目四十八瀧心中未遂」

大西信満は映画「キャタピラー」で四肢を失くした難役を熱演!

大西信満(おおにししま)と名前を聞いてもピンと来ない方もいるかもしれませんが、映画「キャタピラー」の夫役を演じた俳優と言えば思い当たる映画ファンもいるでしょう。大西信満は、映画を中心に映像作品に出演し、特異な存在感を放っている俳優です。

2010年に公開された映画「キャタピラー」は、若松孝二監督の問題作。戦争で四肢を失ったばかりか、話すことも聞くこともほとんどできなくなった夫・久蔵と、彼の世話をするうちに鬱屈としていく妻・シゲ子の姿を描いた作品。変わり果てた姿となり、コミュニケーション手段も失いながら、周囲からは「軍神様」と称えられる夫という難役を演じた大西信満は、TAMA映画賞最優秀新進男優賞を受賞しています。

大西信満が明かしたところによると、久蔵の撮影は、腕や脚を縛ったり隠したりしながら行われたそうです。大西信満なりに、事前の研究を重ねた結果、あの壮絶さが表現されました。役を通して、戦争の残した現実を体感した大西信満は、平和が続く時代だからこそ、映画「キャタピラー」がより重い意味を持つと語っています。

大西信満の映画初出演&初主演作品は「赤目四十八瀧心中未遂」

大西信満は、2003年公開の「赤目四十八瀧心中未遂」生島与一役で、映画初出演にして初主演を果たしました。この時の大西信満は、旧芸名の大西滝次郎名義で出演しており、相手役は寺島しのぶ。この映画の成功があっての「キャタピラー」の配役だったのかも知れません。

大西信満の映画デビュー作となった「赤目四十八瀧心中未遂」の監督は、独創的なことで知られる荒戸源次郎です。「(俳優とは)お互いに理解し、刺激し合い、熟成した形で映画の撮影に入る」との言葉通り、大西信満も、「赤目四十八瀧心中未遂」に出演する以前、荒戸源次郎監督の下で1年ほど修業を積みました。監督の信頼を得た大西信満は、本作で、毎日映画コンクール「スポニチグランプリ新人賞」と日本映画批評家大賞「新人賞」をダブル受賞しています。

大西信満にとって真木よう子との出会いは財産!結婚は?

大西信満にとって真木よう子との出会いは財産!映画「さよなら渓谷」で極限の愛の形を描く

映画「さよなら渓谷」で、大西信満は、メインキャストの尾崎俊介役を演じています。幼児殺害事件をきっかけに、ある内縁夫婦の衝撃的な過去にたどり着くというストーリーで、俊介の内縁の妻・尾崎かなこ役を真木よう子が演じました。性犯罪の加害者と被害者が同居しているという極限の愛の形を描き話題になった映画「さよなら渓谷」は、国内のあらゆる主演女優賞を真木よう子が総なめしたことでも話題に。さらに、モスクワ国際映画祭では作品が審査員特別賞を受賞するなど高い評価を受けました。

受賞後、共演した真木よう子について、「一緒に時間を過ごしたことで、もしもこの先何年も会わないまま再会しても、自然と今の2人に戻れる」と話した大西信満。「そのような人に出会えたことが財産だ」と真木よう子との共演を絶賛しました。それを受けた真木よう子も、大西信満をはじめとするチームと出会えたことが「何よりも幸せ」と語り、「この映画自体が自分の一部になっている」と深い思いを語っています。メインキャストの2人が言葉を超えた部分でつながり合えたからこそ、国境をも超えて観客の心を揺り動かす作品になったのでしょう。

大西信満は結婚している?

演じるたびに爪痕を残してきた大西信満の素顔も気になるところです。しかし、インタビューでは出演作品や役柄について語っていることが多く、公式プロフィールも含め、プライベートの様子はほとんど明かされていません。1975年生まれで、40代半ばに差し掛かっている年齢を考えれば、結婚していてもおかしくはありませんが、嫁がいると報道されたことはないようです。

2017年の映画「ろくでなし」でも、暴れ出したら止まらない狂犬のような役を熱演するなど、大西信満には、屈折したところがある複雑な役柄を多く演じている印象があります。そのため、どこか影のある印象も。しかし実際は、シネマトークショーに出演したり、さまざまな媒体のインタビューでも快く話したりしています。お芝居に情熱を注いでいることは間違いありませんが、案外気さくで親しみやすい性格なのかも知れません。

大西信満は映画「菊とギロチン」に出演!トークショーで思いを熱く語る

大西信満は、2018年7月7日に公開された映画「菊とギロチン」にも出演しています。映画「菊とギロチン」は、大正時代という鬱屈とした時代を背景に、世界を変えることを夢見る青年たちが集まったギロチン社と女相撲の力士たちが出会うことから始まる青春群像劇です。大西信満は、反共の思想を持ち、ギロチン社も女相撲と敵視する軍人役を好演しています。

映画「菊とギロチン」のキャンペーンのため、あちこちのトークイベントにも積極的に参加している大西信満。舞台挨拶では、共演者の井浦新が他の仕事の都合で参加できなかったことを説明しつつ、「今日は井浦さんが作ったジャケットを着てきました」と粋な挨拶をしてみせました。

別のトークショーに登壇した際には、映画「菊とギロチン」への思いを熱く語っています。大西信満曰く、「ギロチン社にしろ女力士にしろ、若い役者たちを見ていると、まるで昔の自分のように感じられた」とか。中堅俳優になった自分のこれまでをしみじみ思い返す機会になったのかもしれません。

オファーが途絶えない大西信満は、2018年10月公開予定の映画「止められるか、俺たちを」にも出演しています。この作品は、若松孝二監督が率いた若松プロダクションを舞台とした、映画作りに命を捧げた男たちの青春映画。大西信満は、実在の人物である脚本家の大和屋竺(やまとやあつし)役で出演しています。これまで、「キャタピラー」や「海燕ホテル・ブルー」「千年の愉楽」など、若松作品に多く出演してきた大西信満こそ、当時の映画人たちの熱感を再現する本作に不可欠と言えるでしょう。

どのようなテーマの作品に出演しても、役柄を生々しく演じ、見る者をひきつけてやまない大西信満。今後も、いち俳優として、あるいは怪優として、その存在感をますます強めていくに違いありません。

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