「バイオレンスアクション」ゆるふわ系殺し屋にハマる!
「バイオレンスアクション」の主人公・凄腕の殺し屋はゆるふわ系!ギャップにハマるあらすじ
「バイオレンスアクション」は、その名の通り、バイオレンスとアクションに満ちていますが、一風変わった作品です。主人公は、淡い桃色のボブヘアとゆるい雰囲気を持つイマドキの20歳の女性ケイ。専門学校に通い、日商簿記検定の資格取得を目指しているという、一見すると真面目なケイですが、実は、殺し屋という裏の顔がありました。
ケイはデリバリーヘルスに擬態した殺し屋サイトに登録しており、指名があれば誰でも殺しに行きます。そんなケイを中心とした連作短編形式の「バイオレンスアクション」。殺し屋であるはずのケイは、とにかくマイペース。依頼主や標的にされる裏社会の人間から見ても、常識からかなり外れた発言をします。
しかし、そのゆるさとは裏腹に、腕前は確かで、狙いは絶対に外しません。本作には、殺し屋らしからぬほんわかとしたケイの日常生活を絡めながら、彼女の鮮やかな仕事ぶりと、裏社会に身を置く人々の悲喜こもごもが描かれていきます。
「バイオレンスアクション」のデリヘル嬢ケイちゃんがすごすぎる
「バイオレンスアクション」の主人公である、凄腕の殺し屋ながら、ゆるふわ系女子であるケイの本名は菊野渓です。家賃8万2千円の部屋に1人暮らしをしていて、友人はあまりいませんが、専門学校の友人りつかには、時おり押し掛けられては振り回されています。
外見は可愛らしいケイですが、デリヘルサイトを装った殺し屋派遣サイトでは指名率ナンバー1という実力者。主な武器は銃で、軽い身のこなしで標的を翻弄します。アジト襲撃もお手の物で、自分も依頼主も無傷なまま、敵を殲滅させるケイ。まさしく殺しにおいては右に出るものはいないと言えますが、言動がマイペースで、つかみどころがありません。
依頼者も標的も困惑させるケイの将来の目標は、資格取得!殺し屋という殺伐とした職を生業としているわりに、未来を信じるような発言をするなど、将来には希望を持っている様子です。しかし、なぜ1人暮らしをしているのかや、家族はいるのかという情報は明かされておらず、ケイについてはまだ多くの謎が残っています。
「バイオレンスアクション」ギャップ萌えと爽快感がたまらない!作者沢田新と浅井蓮次とは?
「バイオレンスアクション」のギャップ萌えがたまらない!感想や評価は?
「バイオレンスアクション」の1巻は、連作短編形式で進んでいきますが、2巻以降は、ケイの周囲の人間も増え、1話では完結しない物語も登場します。しかし、どこかに必ず殺しのシーンが登場するので、バイオレンス作品であることは、読むたびに印象付けられることでしょう。
キュートな外見に反し、裏社会の人間が束になっても敵わないほどの強者であるケイの戦いっぷりは、「敵が悪」という明快な理由があるせいか、軽快さすら感じさせられます。読者の間では、アクションシーンの痛快さや、可愛い女の子がものすごく強いというギャップ萌えが楽しいという感想がある一方、殺人の最中でも自身のペースを崩さないどこか歪んだケイの不気味さを指摘する声も。
頭のネジが飛んでいるとも言われるケイの性格を許容できるか否かで、「バイオレンスアクション」に対する評価は変わってくるようです。
「バイオレンスアクション」には意外性がありすぎる!?作者・沢田新と浅井蓮次とは
「バイオレンスアクション」は、作画を担当する浅井蓮次と、原作を担当する沢田新の2人で制作されています。浅井蓮次は、2004年に、スクウェア・エニックスで「セツリ」を発表し、漫画家デビューを果たしました。集英社やKADOKAWAが発行する漫画雑誌でも、イラストや読切り作品を発表しています。2015年には、細田守監督の大ヒット長編アニメ映画「バケモノの子」のコミカライズも担当しました。
本作がデビュー作らしい記載はあるものの経歴は不明だったのは、原作者の沢田新。しかし実は、新人原作者・沢田新とは仮の姿で、とある漫画家の別名義であったことが明かされています。沢田新の正体は、漫画家の室井大資(むろいだいすけ)。2000年に「モーニング」でデビューして以降、主にKADOKAWAの漫画雑誌に作品を発表しており、現在は、「別冊少年チャンピオン」で岩明均原作の戦国を舞台とした「レイリ」を連載中です。
「バイオレンスアクション」が「このマンガがすごい!2018」にランクイン!作品の魅力と最新刊の内容は?
「バイオレンスアクション」が、宝島社が主宰する「このマンガがすごい!2018オトコ編」にランクインしました。さらに、大手取次店である日本出版販売が運営する、書店員参加型のマンガ賞「全国書店員が選んだおすすめコミック2018」や、フリースタイル発行のマンガガイド「このマンガを読め!2018」にもランクイン。今、大きな注目を集めています。
本作の魅力は、大きなギャップとキャラクターたち。一見どこにでもいる可愛い女の子ケイが、武器を持つととにかく強い!登録している殺し屋の指名サイトでナンバーワンの実力の持ち主なのに、簿記試験の勉強をする真面目な一面を見せるケイは、マイペースでつかみどころがありません。
裏社会の人間から「イカレ女」と評されるケイのキャラクターも風変わりですが、物語が進むにつれて登場するキャラクターも、ケイに負けない濃さをもっています。ケイの正体を知りながらも、一途に想いを寄せる同級生の渡辺君や、殺し屋仲間のだりあなど、歪んだ面があり、どこか普通ではない面々。とりわけ読者に強烈なインパクトを与えるのが、ケイの敵である殺し屋のみちたかくんです。
眼鏡をかけたおっさんという風貌ですが、頭のネジの外れっぷりは作品随一。向かうところ敵なしと思われたケイも警戒している人物で、読者の中にはコアなファンも多いキャラクターです。2巻と3巻では、「囚人倉庫」という、ヤクザがヤクザを収監する刑務所のような場所を巡る物語が展開されますが、ピンチはあったものの圧倒的な実力差を見せつけたケイ。
コミックス4巻では、ケイを助けるため、退場したと思われたみちたか君や、「囚人倉庫」事件のキーパーソンの1人である巖谷が再登場し、読者にとって嬉しい展開となりました。とはいえ、ケイに関する謎の多くはまだ明かされておらず、物語はこの先、より複雑な展開を見せる可能性を秘めています。ひとまずは、ケイたち濃いキャラクターに酔いしれましょう。