モーツァルトとコンスタンツェの結婚!世界三大悪妻って本当?
モーツァルトとコンスタンツェの結婚!きっかけはコンスタンツェの母の策略だった?
モーツァルトは、歴史的にも有名な音楽家です。モーツァルトの妻コンスタンツェは、なんとモーツァルトの元恋人であるアイロジアの妹でした。1777年にマンハイムで知り合ったコンスタンツェは、1782年に、モーツァルトの妻となりました。
出会った当初、モーツァルトは、音楽的才能と美貌を兼ね備えた姉のアイロジアに夢中でした。しかしモーツァルトの父レオポルトによる反対にあったほか、アイロジアからもプロポーズを受け入れられず、失恋。これに対して、モーツァルトとコンスタンツェの関係は、コンスタンツェの母ツェツェリーアの奇抜な戦略から始まったといわれています。コンスタンツェの姉アイロジアは、一流の歌手として、実家であるウェーバー家の家計を支えていました。
しかし、その後、俳優で画家のヨーゼフ・ランゲと結婚して家を出てしまったため、一家は、下宿人を募るなどして収入を得るしかありませんでした。また、ツェツェリーアは、姉妹の中でもっとも目立たないコンスタンツェの結婚を心配してもいました。そんなウェーバー家に下宿していたのが、音楽活動中のモーツァルト。ツェツェリーアは、モーツァルトに目をつけ、「モーツァルトはコンスタンツェが好きだ」という噂を流したといいます。
その時すでに、コンスタンツェがモーツァルトに恋心を抱いていたかは定かではありませんが、モーツァルトの助言に従って、一度実家を出ていますので、信頼してはいたのでしょう。モーツァルトとコンスタンツェを結婚させようとするツェツェリーアの画策が、モーツァルトに結婚の契約書を書かせるという強硬手段に及んだとき、モーツァルト自身はこれに快くサインしました。
しかし、コンスタンツェは、2人の仲にこんな契約書は不要だと破り捨てたといいます。ツェツェリーアの戦略が功を奏したのか、当事者同士の関係性がそれとは別に発展していったのかは断定できません。しかし、モーツァルトが父レオポルトに送った1781年の手紙には、コンスタンツェを深く愛しているという内容が書かれていました。その後、レオポルトの反対を押し切って結婚したモーツァルトは、生涯にわたってコンスタンツェを大切にしたといわれています。
モーツァルトの妻コンスタンツェが世界三大悪妻って本当なの?浪費癖・葬儀の欠席・手紙破棄の理由とは
モーツァルトが亡くなるまで人生を共にした妻のコンスタンツェ。しかしコンスタンツェは、音楽史上世界三大悪妻の1人だともいわれています。
コンスタンツェが悪妻といわれる理由としては、夫婦そろっての浪費癖、モーツァルトの葬儀の欠席、モーツァルトの死後に自分に都合の悪いモーツァルトとの手紙を破棄してしまったことなどが挙げられています。
モーツァルトという人物がどのような男性だったのか振り返ってみると、悪い冗談や、品行の悪さが知られています。生涯浮遊し続けたモーツァルトの恋心は、小林秀雄が、「統一感のない、ほとんど愚劣とも評したい生涯」と述べるほどでした。それは結婚後であっても同様で、特定の女性のために曲を書き、褒め称え、恋愛関係の噂も絶えなかったといいます。
モーツァルトとコンスタンツェの浪費癖は有名ですが、これは収入に見合った分の支出だったとする見方もあります。モーツァルトが、晩年に借金を重ねて生活が苦しくなっていったのは事実であるとしても、収入自体は決して低くはありませんでした。それでも家計が逼迫した理由の1つには、モーツァルトが、秘密結社フリーメイソンに多額の資金をつぎ込んでいたためとする説があります。
また、モーツァルトの病状が悪化している頃、同じように体調が思わしくなく、療養にしていたコンスタンツェ。体調思わしくない中、モーツァルトの死を受けて、葬儀に出席できないほど体調が悪化したそうです。モーツァルトの遺体が共同墓地に葬られたために、現在、墓がどこにあるか分からないというのは、音楽史にとっては非常につらいことです。しかしこれは、コンスタンツェがモーツァルトに冷たかったから共同墓地に埋葬したわけではなく、皇帝ヨーゼフ2世の葬儀合理化政策と、宗教上の慣習に従ったものでした。
コンスタンツェが、モーツァルトの手紙の一部を破棄してしまったことについては、「べーズレ書簡」などに見られるように、その内容の下品さも原因の1つだったかもしれません。また、結婚後も浮ついているモーツァルトをいさめたり、金銭的な問題を問い詰めたりするといった、夫婦生活の生々しい問題を書き綴った内容だったかもしれません。コンスタンツェからモーツァルトへの手紙が少ないのも、そうした理由で破棄してしまったからでしょう。
コンスタンツェはモーツアルトの死後18年経って、デンマークの外交官であるニッセンと再婚しました。ニッセンはモーツァルトを尊敬している男性で、コンスタンツェは、再婚した夫とともにモーツァルト伝を執筆、出版しています。「思慮深く、経済観念も発達していて、夫の作品を守った」女性であったことは多くの資料に残されています一口に「悪妻」と断定してしまうのは、音楽史の勝手な都合といえるかもしれません。
モーツァルト「レクイエム」の歌詞の意味!聞いておくべき名曲は?
モーツァルト「レクイエム」の歌詞の意味!神に賛辞を贈り死者の安息を願う
モーツァルトが作曲の途中で亡くなり、未完となってしまった作品「レクイエム」。その後、弟子のジュースマイヤーによって補筆され完成されました。レクイエムの作曲は、もともと匿名の人物からの依頼で、モーツァルトは、ベッドから出られないほど病状が悪化する中、作曲を進めていました。
そのため、この「レクイエム」は、死の世界の死者が、モーツァルトに自分の死のために作曲させようとしたのでは、との、いわくつきの曲です。後の資料からは、田舎の領主でアマチュア音楽家でもあるヴァルゼックが依頼主であったことが明らかになりました。しかし、モーツァルト「レクイエム」は、現代においても荘厳で神秘的な曲として人気を保ち、ケネディ米国大統領の追悼ミサでも演奏されました。
「レクイエム」の歌詞は、カトリックの葬儀で用いられているもので、これにモーツァルトのメロディがつけられたのが、モーツァルトの「レクイエム」です。
まず、「入祭唱」では、その日のミサの内容を歌い、主に死者の永遠の安息を願います。「キリエ」では、「憐れみの賛歌」といわれるように、憐れみ深い神に賛辞を送り、罪人が憐れみを乞う内容となっており、「続唱」では、最後の審判の恐ろしさとその様子が歌われて、罪人への慈悲を乞います。「奉献唱」は、司祭が、パンとぶどう酒を捧げる時に歌われるもの。主イエスを賛美して、死者の魂の救いを求め、「感謝の賛歌」とも呼ばれる「サンクトゥス」では、あらためて神を賛美します。
そして「アニュス・デイ」は、聖体変化したパンを切り分ける時に歌われ、「平和の賛歌」として、神の子羊であるキリストに平安を祈ります。最後に、聖体となったパンとぶどう酒を拝領する時に歌われる「コムニオ」は、死者が永遠の光に照らされ、永遠の安息が得られるよう祈る内容です。
レクイエム全体としては、神やイエスを称えて、死者の永遠の安息を祈る内容となっており、そこにつけられたモーツァルトによる音楽が、祈りをさらに荘厳で神聖なものとしています。
モーツァルトの聞いておくべき名曲は?おすすめの曲7選
モーツァルトの「レクイエム」が、弟子の補作であるとはいえ、名曲であることは変わりません。この「レクイエム」以外にも、モーツァルトの名曲は、数多くあります。そこで、特に人気が高く、「聞いておくべき!」といわれる7曲をご紹介しましょう。
「きらきら星変奏曲」。「え、これってモーツァルトなの?」と驚く方もいるかもしれません。正式なタイトルは、「ああ、お母さん聞いての主題による12の変奏曲」といい、1770年頃にパリで流行した恋の歌を変奏曲にしたものです。この恋の歌は、後に、「Twinkle, twinkle, little star」という替え歌となって広まり、日本では「きらきら星」として、小学校の低学年で学習する曲ともなりました。
モーツァルトによる変奏曲に生まれ変わったこのメロディは、はじめはシンプルに歌うように奏でられますが、次第に技巧的な旋律へと変化していきます。そのダイナミックさには驚くばかり。子供たちが歌う「きらきら星」から、大人の「きらきら星」へと変化するようなその構成を楽しめます。
次は、モーツァルトのセレナードのなかで最も美しいとされている「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」。タイトルの意味は、「小さな夜の曲」です。「セレナーデ第13番」とも呼ばれており、モーツァルトのセレナードで最も愛されている名曲です。
また、モーツァルトには、交響曲にも名曲が多くありますが、その中には、モーツァルトにしては珍しい短調の交響曲があります。「交響曲第25番 ト短調」と「交響曲第40番 ト短調」です。25番のは「小ト短調」、40番のは「大ト短調」とも呼ばれています。「小ト短調」は、映画「アマデウス」の冒頭部分でも使用されており、その劇的な始まりと、緊迫感をもつ曲想が、映画のただならぬ雰囲気とよく調和しています。「小ト短調」は、モーツァルトが17歳の時に作ました。
また、モーツァルト「モーツァルトの6大交響曲」の1つである「交響曲第38番 ニ長調」である「プラハ」も名曲です。1787年1月19日にプラハで初演されたことからこう呼ばれるようになりました。
そして、モーツァルトの音楽として、決して忘れてはいけないのがオペラ。「フィガロの結婚」「魔笛」「ドン・ジョヴァンニ」は、3大オペラといわれています。「フィガロの結婚」序曲は、オペラの序曲の中で最も有名かつ、最も人気のある曲。耳に馴染みやすい幸福感あふれる曲想で、オペラとは関係なく、コンサートで演奏されることも多いほど親しまれています。
対する「ドン・ジョヴァンニ」序曲は、主人公を地獄に突き落とすような恐ろしさをもった曲です。父レオポルトを亡くしたモーツァルトが、悲しみの中で作曲し、自ら初演の指揮をとりました。
モーツァルトの半生を描いた名作「アマデウス」テレビ朝日版日本語吹替のBlu-rayが発売!
モーツァルトは、その破天荒な人生の中で、数々の名曲を生み出してきました。そんなモーツァルトの半生を描いた名作「アマデウス」の、テレビ朝日版日本語吹替を収録したBlu-rayの初回限定版が、2016年10月19日に発売されています。
モーツァルトの声を演じたのは、声優の三ツ矢雄二です。
映画「アマデウス」は、ピーター・シェイファーによる戯曲を映画化したもので、宮廷音楽家サリエリの視点を中心に物語が描かれます。1984年のアカデミー賞では、作品賞、監督賞、主演男優賞のほか8部門を獲得。モーツァルトの音楽を散りばめつつ、当時の雰囲気を忠実に再現した美術とともに、天才の生涯が綴られました。
今回のBlu-ray版は、テレビ朝日「日曜洋画劇場」での初放送から30年を記念したものです。ディレクターズカット版のBDと劇場版のDVDをセットにして同時収録している他、ピーター・シェイファーと映画で監督を務めたミロス・フォアマンによるコメントも収録されるという豪華な内容となっています。
三ツ矢雄二にとって、この「アマデウス」吹替版は、自身の代表作。しかし、日本語吹替版はこれまで発売されておらず、不満に感じていたといいます。今回のBlu-rayでディレクターズカット版にある追加シーンを30年ぶりに演じたことを「一番の喜び」と表現した三ツ矢雄二は、「これでもう思い残すことはない」と語りました。
「アマデウス」では、モーツァルトの下品で甲高い笑い声が印象的です。この笑い声を吹替版でもできるかどうかが、オーディションの結果に大きな影響を与えたといいます。これを知った三ツ矢雄二は、「笑い声をとにかく練習した」とのこと。学校の音楽室で肖像画を見たことがあるくらいしかモーツァルトの印象のない方にはぜひおすすめしたい名画です。もちろん、すでに「アマデウス」を観たことのある人も、三ツ矢雄二がこだわり抜いたモーツァルトの笑い声に驚嘆すること間違いなしの吹替版です。