久石譲といえばジブリテーマ曲!その豊かな音楽の原点に迫る

久石譲といえばジブリテーマ曲!音楽との出会いと生い立ち!

久石譲の生い立ちとプロフィールに隠された音楽との出会いを読み解く!!

久石譲(ひさいしじょう)は、1950年12月6日生まれで、長野県中野市出身の音楽家です。作曲家、編曲家、指揮者であり、ピアニストでもあります。音楽との出会いは、4歳の頃、たまたまバイオリン教室が近くにあったことから始まりました。幼い久石譲はバイオリンを習い始め、やがて中学校で吹奏楽部に入部すると、今度はトランペットを演奏し始めます。

しかし、音楽を奏でるよりも、部活のために譜面を書くことに楽しみを感じたことから、作曲家を志すようになりました。長野県須坂高等学校へ進学した久石譲は、在学中に、音楽の基本となる和声や対位法などの音楽理論を学んでいきます。その後、国立音楽大学作曲科に入学すると、現代音楽へのめりこみ、学生ながらも、コンサートへの楽曲提供やプロデュースを積極的に手掛けるように。

やがて、現代音楽の中でも比較的新しいジャンルであるミニマル・ミュージック、いわゆる前衛音楽に魅せられていきます。こうして久石譲の大学生時代は、現代音楽の作曲と、世界的な作曲家や日本の作曲家の楽曲分析に力が注がれました。久石譲の本名は、藤澤守と言います。

芸名は、久石譲が敬愛するアーティスト、クインシー・ジョーンズの名前をもじったものだとか。若かりし頃は現代音楽の作曲に精を出していた久石譲ですが、クインシー・ジョーンズの手掛けたジャズやR&Bにも知識を深めていたとは、その豊かな音楽の原点が垣間見られるエピソードです。

久石譲を一躍スターダムにのし上げたジブリテーマ曲は実験的だった!?

今や「久石譲=ジブリテーマ曲」と認知している方も多いのではないでしょうか。現代音楽やミニマル・ミュージックを自らのフィールドとしている久石譲が、ジブリテーマ曲を手掛けるようになったのは、1984年公開の宮崎駿作品「風の谷のナウシカ」からです。

久石譲は当初、フィルムの完成に先駆けて発売されるイメージアルバムのみを担当する予定でした。しかし、音楽に造詣の深いプロデューサーの高畑勲や宮崎駿の耳(?)に留まり、映画本編の音楽全ても一任されるようになります。久石譲は、当時最先端だった音楽ワークステーション機「フェアライトCMI」を駆使し、音楽を次々と作り出しました。

久石譲は、この音源を、オーケストラ音楽と違和感なく溶け込ませることでジブリテーマ曲を成立させようと実験的な試みを繰り返します。この試みは、1989年公開の「魔女の宅急便」まで続きました。1997年公開の「もののけ姫」では、久石譲のジブリテーマ曲に対するアプローチは大きく変化します。

「もののけ姫」の重厚な世界観に合う音楽を模索した結果、クラシック音楽に注目した久石譲。そこで、クラシック音楽を改めて研究し直すかたわら、指揮法も本格的に学び直し始めました。こうして、映画音楽としては異例となる2年もの歳月を費やし、「もののけ姫」のために複雑なオーケストラ曲を書き上げています。

久石譲の大学卒業後の音楽活動!コンサートの魅力とは?

久石譲の音楽活動はマニアック過ぎた?大学卒業後もぶれない現代音楽への愛!!

久石譲は、大学卒業後も現代音楽やミニマル・ミュージックを探求し続け、アンサンブルグループを結成し、コンサート活動を始めました。久石譲の音楽が商業的な転機を迎えたのは、1974年に制作され、1975年からTBS系列とテレビ朝日系列で放送されたアニメ「はじめ人間ギャートルズ」の音楽担当を任されたことでした。

同時に、日本フィルハーモニー交響楽団のコンサートのために、さまざまな映画音楽をオーケストラ用に編曲をするようにもなります。1981年には、久石譲が作曲・プロデュース全てを手掛けたミニマル・ミュージックのアルバム「MKWAJU(ムクワジュ)」を、日本コロムビアからリリース。

しかし、現代音楽の作曲活動の総決算としてリリースしたアルバムは、音楽関係者からは「日本におけるミニマル・ミュージックの先駆的作品」と評価される一方、商業的には注目を浴びることができませんでした。これ以後、久石譲は、活動のジャンルを限定せず、ポップスなど他ジャンルへも目を向けるようになります。1982年には、自ら事務所「ワンダーシティ」を設立し、ソロアーティストとしての活動を本格的に始めました。

久石譲の音楽を浴びる!豊かな音の饗宴を堪能するならコンサートへGO!!

久石譲は、ジブリテーマ曲で音楽家としての知名度を確固たるものにして以来、さまざまなスタイルのコンサートを全国で開催しています。久石譲という名前がブランドになったことで、それまで現代音楽に縁のなかった人々も、久石譲のコンサートに足を運ぶようになりました。

コンサートのテーマごとにセットリストは変わるものの、基本的には、最低でも数曲は、人々に馴染み深いジブリテーマ曲を編曲したものを取り入れている久石譲。もちろん、現代音楽やミニマル・ミュージックの要素をふんだんに取り入れた楽曲も演奏します。たとえば、「ジャンルにとらわれず魅力ある作品を多くの人々に聴いてもらう!」という久石譲の言葉のもとに始まった「久石譲&ワールド・ドリーム・オーケストラ2015」。

取り上げられた「Symphonic Poem “NAUSICCA” 2015」は、ジブリ映画「風の谷のナウシカ」の有名なテーマ曲です。久石譲は、このジブリテーマ曲を約20分の交響詩として再構築して、長大な交響曲として贅沢に生まれ変わらせました。同じくジブリ映画の人気作品である「紅の豚」の劇中テーマ「『帰らざる日々』のテーマ」では、久石譲の奏でるピアノにジャズの要素が加わることで、よりノスタルジックな雰囲気を味わうことができます。

耳に馴染みのあるジブリテーマ曲が、壮大な交響曲になっていたり、ジャズにアレンジしてあったり。久石譲のコンサートは、ジブリテーマ曲ファンのみならず、純粋な音楽ファンでも十分に楽しめる構成となっていることが大きな魅力です。

久石譲の新たな境地!EXILE ATSUSHIとの共作「天音」制作の裏側!!

EXILE HIROプロデュースで、2017年5月20日に公開される映画「たたら侍」の主題歌に注目が集まっています。映画「たたら侍」の主題歌「天音(アマオト)」は、EXILEのATSUSHIが歌唱と作詞を、そして久石譲が作曲を担当しました。メガホンをとった錦織良成監督は、「ATSUSHIさんの透明感のある歌声と、久石さんの楽曲から繰り出される不思議に落ち着く世界観がとてもマッチし、映画の世界観を見事に表現していただいている」と、絶賛しています。

現代音楽を自らの音楽のフィールドとしてきた久石譲。彼は、その基盤を揺らがすことはせず、しかし柔軟に、さまざまなジャンルの音楽を吸収し、研究することをやめません。それが証拠に、ジブリテーマ曲で一躍有名になってからは、宮崎駿監督作品のみならず、北野武監督作品や、2001年公開のフランス映画「Le Petit Poucet(プセの冒険 真紅の魔法靴)」など多数の映画音楽を手掛けています。

久石譲が音楽を担当した2009年公開の映画「おくりびと」では、日本映画として初めて、第81回アカデミー賞「外国語映画賞」を受賞することにも貢献しました。映画「たたら侍」の主題歌「天音(アマオト)」でも感じられる通り、今なお実験的な試みを続けている久石譲。EXILE ATSUSHIのボーカルも1つの楽器の音色として捉えて、美しい旋律を交差させ、奥ゆかしくも壮大な映画の世界を見事に表現しています。今後も、久石譲のこだわり抜いた音楽が、さまざまな映画音楽として、または全く予想もつかない形で聴き手を驚かせてくれることでしょう。

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