安倍吉俊の「こどものグルメ」は子供目線のグルメ漫画!プロフィールや代表作は?

安倍吉俊の「こどものグルメ」は子供目線のグルメ漫画!あらすじと原作担当の久住昌之とは

安倍吉俊の「こどものグルメ」は子供ならではの目線が新鮮!

稀代のグルメ漫画ブームを迎えている昨今。男1人で楽しむごはんや、独身女性が酒のつまみや、ちょっと手抜きの料理をテーマにした漫画が登場しているほか、山での料理や、コンビニ食材を利用したレシピ中心など、次々と新しい作品が生まれています。そこへ新たに加わったのが、安倍吉俊が作画を務めている「こどものグルメ」。タイトル通り、子供を主人公としたグルメ漫画です。

蓬野杏(よもぎのあん)は、低学年の弟1人がいる小学生の少女。両親は共働きで、学校から帰っても誰も出迎えてくれないことがほとんどです。しかしそんな時に、杏のお楽しみの時間が始まります。食べることが好きで、冷蔵庫にあるものだけで簡単で美味しい料理を作り出してしまう杏。

とはいえ、まだ子供ですから難しいことは一切しません。電子レンジや基本調味料など、ちょっとしたものを活用するだけで、次々に新しい味を生み出します。子供らしく、少ない語彙で語られるため、味のイメージがしやすいことも本作の特徴のひとつでしょう。親や弟に内緒であるという背徳感も、「こどものグルメ」のスパイスになっているようです。

安倍吉俊「こどものグルメ」原作担当の久住昌之はグルメ漫画ブームの火付け役!

「こどものグルメ」は、webコミック「comic S+(コミック エスタス)」で、2017年7月24日より配信が開始されました。「こどものグルメ」というタイトルからは、グルメ漫画ブームのきっかけとなった作品のひとつ「孤独のグルメ」を連想する方も多いのではないでしょうか?

それもそのはず、「こどものグルメ」と「孤独のグルメ」の原作者は、どちらも久住昌之です。1958年7月15日生まれで、東京都三鷹市出身の久住昌之は、法政大学在学時から美術や音楽活動に興味を持ち、泉晴紀とコンビを組んだ「泉昌之」名義で漫画家デビュー。青林工藝舎「月刊漫画ガロ」に掲載された「中学生日記」は、2006年に、短編映画化されたほか、文藝春秋漫画賞を受賞するなど注目を集めました。

漫画原作者としては、「孤独のグルメ」以外にも、「花のズボラ飯」「荒野のグルメ」「サチのお寺ごはん」などを手掛けている久住昌之は、グルメ漫画ブームになくてはならない人物と言えます。また、「孤独のグルメ」のドラマ版に客や本人役で出演したり、音楽活動を行ったりと、幅広く活動しています。

安倍吉俊の父は棋士!?プロフィールと代表作「リューシカ・リューシカ」あらすじ

安倍吉俊の父と姉はプロ棋士だった!プロフィールや代表作は?

「こどものグルメ」で作画を担当している安倍吉俊は、1971年8月3日生まれ、東京都出身です。父は、プロ棋士ながら囲碁研究に打ち込んだという異才の棋士・安倍吉輝。姉の岡田結美子もまた、プロ棋士として活躍しています。安倍吉俊自身も幼少の頃は棋士を目指していましたが、高校生の時に漫画研究会に所属。先輩の漫画制作の手伝いや、映像撮影の手伝いをする中で、絵の勉強をしようと考えるようになりました。

19歳の時に、基礎造形を学ぶ代々木造形学校に入学した安倍吉俊は、在学中に「アフタヌーン」の漫画新人賞に入選。1990年頃からインターネット上でイラストを公開したことで、小説のカバーイラストや、アニメのキャラクターデザインを手掛けるようになり、イラストレーターとして知られるようになりました。

漫画家としては、1994年に、青土社「ユリイカ」2010年10号に掲載された「雨の降る場所」で正式にデビュー。近未来SF「NieA_7(ニア アンダーセブン)」や、少女リューシカの日常を描いた「リューシカ・リューシカ」で注目を集めました。2013年には、デビュー20周年を記念した画集が、3冊同時に発売されています。

安倍吉俊の「リューシカ・リューシカ」は好奇心旺盛な少女の不思議な日常を描いた作品!

「こどものグルメ」の作画担当として注目を集める安倍吉俊の代表作のひとつ、「リューシカ・リューシカ」は、想像力の豊かな少女を主人公とした物語です。リューシカこと栢橋龍鹿(かやはしきみか)は、リボン状のカチューシャがトレードマークの少女。大学生の姉あーねーちゃんこと有希子と、中学2年生の兄アニーこと賢、母親のまーと、父親のぱーとともに生活しています。

リューシカの日常は、実に不思議なことだらけ。何でもないものも、リューシカの想像力にかかれば、地球を滅亡させる悪いやつに変化します。すると冒険が始まり、時には、あーねーちゃんやアニーを巻き込んだ騒動へと発展。年齢は明言されていませんが、おそらく未就学児であろうリューシカ。

本作は、子供の目線から見える世界を描いているので、大人が忘れてしまった子供時代の豊かな世界を懐かしむこともできます。本作は全編カラーで、リューシカの観る世界を、読者が同じように共有できるというところも魅力で、安倍吉俊の美麗なイラストを存分に堪能することも可能です。

安倍吉俊の「こどものグルメ」が読者全員に美味しいと思ってもらわなくてもいい理由とは

安倍吉俊が作画、久住昌之が原作を担当している「こどものグルメ」は、子供を主人公に据えたグルメ漫画です。子供の料理と言えば、お菓子やちょっとした料理を作ることはあっても、ひどく恵まれない環境でもない限りは、基本的には親同伴というイメージが拭えません。

しかし、主人公の杏の家庭は、ごく普通一般的な家庭のようです。両親が共働きをしているため、留守番中に、子供ならではのレシピの数々に挑戦していきます。登場するのは、自分のお腹を美味しく満たすために作る簡単料理ばかり。杏は、歌を歌い出したり、踊ったり、ひとりごとを呟いたりと、動き通しでとても賑やかです。

その点、対照的とも言えるのが、同じ久住昌之が原作を担当している「孤独のグルメ」でしょう。大人の男性が黙々と食事をし、その感想がモノローグとして語られるという構成からして渋い空気が漂ってきますが、その渋さが、「孤独のグルメ」をより孤高の存在にしています。

実在する飲食店のメニューが描かれている「孤独のグルメ」に対し、子供が作るならではのB級グルメばかりが取り上げられる点でも対照的と言える「こどものグルメ」。安倍吉俊が、第1話に登場するポテトサラダ丼を実際に作ってみたところ、「ただのポテトサラダをご飯の上に乗せたもの」という感想しか抱けなかったそうですが、久住昌之も、「こどものグルメ」に登場する料理は、皆がおいしいと思ってくれなくてもいいと思っているとか。

実際に美味であるかにはこだわらないところも、他の美食グルメ漫画とは一線を画している点だと言えそうです。子供でもすぐに真似ができそうな簡単なレシピばかりが登場する「こどものグルメ」を読んで、童心に帰ってご飯を食べるのもまた一興です。

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