藤田誠の自己組織化・結晶スポンジ法とはどんな研究?基金を立ち上げていた!

藤田誠の自己組織化とはどんな研究?開発に成功の結晶スポンジ法とは?


藤田誠のプロフィール
◆生年月日:1957年9月28日
◆出身:東京都
◆出身校:千葉大学工学部
◆クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞受賞(2020年)

藤田誠の自己組織化とはどんな研究?

藤田誠(ふじたまこと)は、世界を股にかけて活躍する日本の化学者の中でもトップクラスに入る実績を誇ります。そんな彼は1980年に千葉大学工学部合成化学科を卒業。大学院へ進み、化学者としての道を目指します。

大学院の修士課程を修了後、相模中央化学研究所に就職した藤田誠は有機化学の研究室に入り、若手化学者のホープに。その後、1987年3月に東京工業大学工学の研究所に転属。鉱物などを扱う「無機化学」の分野に挑戦します。

転属した当初は畑違いな現場に悩んだという藤田誠。上司だった京都大学大学院工学研究科名誉教授・檜山為次郎(ひやまためじろう)から「チャンスと思えば、ええやないか」と諭され、奮起した彼が着目したのは、有機化学で扱う物質は複雑な3次元構造をしているのに対し、無機化学は鉱物などシンプルな構造が多いという点でした。

「このシンプルで美しい構造を有機化学で実現できないだろうか」と考えた藤田誠は、自身の自由研究として構造の解明に力を注ぎます。1988年に千葉大学工学部へ戻ってからも研究を続行し、貴金属のパラジウムを使って分子を正方形に結合させる「自己組織化」に成功。有機化学と無機化学、両方の経験があってこその成功でした。

藤田誠が開発に成功した結晶スポンジ法とは?

藤田誠は当初有機物質が規則正しい自己組織化について重要な意味を持つとは気づいていなかったものの、学会の発表では大きな反響を得ます。

それというのも、たんぱく質や薬の原料などの特徴を知るには、組み上がっている構造を知るには不可欠ながら、結晶が小さく直接見ることは不可能。X線を当てて映し出された画像を調べる「X線構造解析」が解析に用いられていましたが、必要な規則正しいパターンを得るための結晶化が難しく、解析することができなかったのです。

そこで藤田誠は、有機物質の規則正しい自己組織化を用いて調べたい物質の構造がわかる手法を開発。この手法を「結晶スポンジ法」と名付け、2013年に学術誌「ネイチャー」に発表します。

実用まで23年もの歳月がかかりましたが、藤田誠が発見した結晶スポンジ法が化学の分野に与えた影響は大きく、世界中の研究者や企業から問い合わせが殺到。藤田誠の名前を世界に知らしめる結果となりました。

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藤田誠は東大教授として活躍!略歴や受賞歴を紹介!

藤田誠は東大教授として活躍!

藤田誠は、2002年に東京大学大学院工学系研究科の教授に就任。藤田研究室を設け、自身の研究成果を教授しています。

2019年には、現役教授のうちノーベル賞か文化勲章を受賞した者、もしくはそれに準ずる賞を受賞した教授のみに与えられる卓越教授の称号が授与されました。これは東京大学史上3人目の栄誉です。

素晴らしい研究実績が認められた藤田誠は東京大学の枠を超え、世界の化学者の中でも後世に名を遺す研究者として世に知られる存在になったといえるでしょう。

藤田誠の略歴や受賞歴を紹介

藤田誠は東京大学卓越教授に就任する前から、多くの称号を手にしています。

1997年に国立研究開発法人科学技術振興機構こと「JST-CREST」の研究代表者となり、2018年には分子科学研究所特別研究部門の卓越教授、千葉大学の特別栄誉教授に就任。

受賞歴は1994年に有機合成化学奨励賞、2000年には日本化学会学術賞を受賞しています。

世界的な評価も高く、2010年にトムソン・ロイター第3回リサーチフロントアワードに選ばれ、2019年にパウル・カラー・ゴールドメダルも受賞。こうした国内外での実績が認められ、日本が誇る研究者として2014年には紫綬褒章を受章しました。

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藤田誠がノーベル賞一直線!藤田ナノサイエンス基金で研究が加速

藤田誠がノーベル賞一直線!

藤田誠は、2020年9月23日に英調査会社クラリベイトが発表したノーベル化学賞の有力候補者に選出されました。これは、同日に発表された「ノーベル賞の登竜門」とも言われている「クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞」を藤田誠が受賞したことによるものです。

同賞を受賞後にノーベル賞の栄誉に輝いた人物は54人にも上ることから、藤田誠が受賞者となる可能性が高まりました。日本中の注目を集めながらも2020年のノーベル賞受賞こそなりませんでしたが、2021年度のノーベル化学賞受賞者となる可能性も大いにあり、早くも来年の受賞に期待する声が高まっています。

藤田誠が藤田ナノサイエンス基金で研究が加速!

藤田誠は国力の源泉のひとつなりつつある「ナノサイエンス」の技術向上に尽力しています。

自身が編み出した「結晶スポンジ法」は薬学や医学だけでなく食品や農薬など広く応用が可能。基礎科学研究を継続し、超分子化学の新たな技術を生み出すべく、2020年2月に「藤田ナノサイエンス基金」を設置しました。

研究の加速や若手研究者の育成、創薬、難病治療、そして健康長寿等、藤田誠のを中心とした研究は様々な分野に役立てられ、多くの社会問題の解決に貢献しています。

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