尾形光琳は江戸時代を代表する画家!私生活は放蕩三昧だった?パトロンには事欠かなかったエピソード多数

2022年10月11日 更新

江戸時代を代表する画家、工芸家の1人であった尾形光琳(おがたこうりん)。名前だけは見聞きしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。

その作風と相まって細かいことを気にしない快活な一面があり、主に取引していたのも都に住む富豪ばかりだったという尾形光琳。絵画に対する好奇心や探究心もずば抜けていて、古い王朝時代にまつわる古典から積極的に学び得たエッセンスを総動員して作品作りに活かしていました。

王朝・大和絵風を基に数々の印象的な作品を遺した尾形光琳は、晩年に水墨画の作品もいくつか遺しています。また、実の弟である尾形乾山が作成した陶器に柄付をするなど、絵画に限らずその制作スタイルは多岐に渡っていたようです。


尾形光琳のプロフィール
◆生年月日:1658年
◆死没:1716年7月20日
◆出身:京都府
◆代表作:「風神雷神図屏風」「紅白梅図」「燕子花図」
◆琳派

京都呉服商の次男として出生

尾形光琳は、京都に構える由緒ある呉服商「雁金屋(かりがねや)」の次男坊として生まれ、幼名を「市之丞(いちのじょう)」といいました。

小さな頃から豪快で少々無責任な面も持っていたという尾形光琳。自分の腕には絶対的な自信があり、富裕層とやりとりすることも多かったといいます。そのせいか、画家としてのプライドも生涯忘れることはなく、どの作品にも共通して、洗練された印象を受けるのも特徴です。

尾形光琳が本格的に絵画の制作に乗り出したのは、40代半ば頃から59歳でその生涯を終えるまでの10年間だと言われています。彼の遺した絵画や作品には制作年を特定できる材料が少ないものの、その多くに見られる落款は、尾形光琳が44歳の時に与えられた「法橋」の位をつけた「法橋光琳」となっているため、ある程度の年代は推定できるとされています。

画家・工芸家として幅広く制作に励んできた尾形光琳。京都にある貨幣鋳造所の役人・中村内蔵助の肖像画も描いており、現在は奈良県奈良市にある大和文華館に所蔵されています。

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尾形光琳にはパトロンが大勢いた?

豪快な性格で知られていた尾形光琳。人脈も広く、画家・工芸家のパトロンとして繋がりのあった人物は、大名や公家、役人など、富裕層で影響力も併せ持つ界隈の人間ばかりでした。中でも五摂家の1つである二条家の当主・二条綱平の住んでいた屋敷へ頻繁に出入りしていた記録も残されています。

尾形光琳が肖像画を描いたという中村内蔵助の娘を訳あって引取り、数年にわたって面倒をみたこともあったのだとか。後にその娘は尾形光琳の息子と結婚することになります。このように、2人の間には一般的なパトロンとはまた違った濃い関係性があったことがわかります。

若い自分から天性のセンスがあったようで、茶会に着ていく洋服について延々悩んでいる親友の妻には一言「白黒のシンプルな服装を」とアドバイス。豪華な衣装が上品に目立つよう仕向けたり、友人たちと花見に向かった嵐山で、金箔の蒔絵が描かれた竹皮で包んだお握りを頬張り、食べ終わった後はこれみよがしに竹皮を捨ててみせるなど、奔放なエピソードも多数残されています。

尾形光琳が豪快な性格となったのは、彼が30歳の頃に父親が亡くなったことに起因しているのでしょう。長男として突如莫大な遺産を受け継ぐことになった尾形光琳ですが、責任やプレッシャーはどこ吹く風。遊郭に通って遊び歩いたり、複数の愛人を持つなどして、わずか数年で遺産も使い果たしてしまいました。尾形光琳が本格的に絵画の勉強を始め、修行に励みだしたのは、この頃からだといわれています。

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尾形光琳が描き継いできた名作「風神雷神図」

尾形光琳が晩年に描いた墨絵や水墨画には、それまでのイメージとは多少変わった愛嬌のあるタッチもみられます。中でも京都国立博物館(京都府京都市)に所蔵されている「竹虎図(たけとらず)」は有名で、これがモチーフとなって同館の公式キャラクター「トラりん(虎形琳ノ丞:こがたりんのじょう)」が誕生しました。「トラりん」という名前は、「トラ」と「琳派」を組み合わせて同館の館長が命名したそうです。

また、東京国立博物館(東京都台東区)所蔵の「風神雷神図」も、尾形光琳のみならず多数の画家に描かれてきた名作です。元々は中国から伝えられたもので、何人かの巨匠の手によって描き継がれてきたからこそ、現代に生きる私たちもその姿を見ることができます。

由緒ある古典には、万物に共通するあらゆるヒントが詰まっているように思います。現代の溢れる情報に疲れたら、昔の絵画に触れることも一興ではないでしょうか。

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