和田伸也が2020パラ陸上1500m代表に!ロンドンに続くメダルに期待
◆出身:大阪府
◆身長・体重:176cm・62kg
◆血液型:非公開
◆所属:長瀬産業株式会社
◆2021年東京パラリンピック 男子5000m(視覚障害T11)銅メダル
和田伸也が3大会連続でパラリンピック出場
和田伸也(わだしんや)は、2020年8月に東京パラリンピック陸上競技に日本代表として出場します。過去には2021年9月にイギリスで開催されたロンドンパラリンピックの男子5000mで銅メダルを獲得。また2019年11月にドバイで開催された「世界パラ陸上競技選手権大会」では、男子1500mでも4位に入賞。それらを合わせて、3大会連続のパラリンピック日本代表となりました。
和田伸也の得意種目は5000m!日本記録更新も
和田伸也がロンドンパラリンピックで銅メダルを獲得した陸上競技5000mは、和田伸也の得意とする種目です。2016年9月にブラジルで開催されたリオデジャネイロパラリンピックにも同競技の日本代表として出場。日本記録を更新する快走を見せながらもメダルには届かず、6位入賞に終わっています。
前大会が悔しい結果に終わっているだけに、東京パラリンピックではリオの雪辱を晴らすメダル獲得に期待の声があがっていました。
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和田伸也の高校時代はラグビー部に所属!陸上競技を始めたきっかけは?
和田伸也は元ラガーマン
和田伸也は中学生時代からラグビーを始め、大阪府立生野高校に進学後もラグビーで汗を流す学生生活を送っていました。そんな高校生活の最中、和田伸也は視覚の衰えにより日常生活や運動に支障をきたし始めます。そして、高校2年の時に網膜色素変性症と診断され、ラグビー部も退部せざるを得なくなりました。
網膜色素変性症は、暗いところで見えにくくなる夜盲、視野が次第に狭くなる視野狭窄、視力の低下などの症状があり、数千人に1人の頻度で起こる眼科疾患です。
視細胞や、その周囲にある遺伝子に異常が起こることが原因とされており、進行性の病ながら、現在のところ進行を確実に食い止め、さらに網膜が正常に機能する状態に戻すのに有効な治療法は確立されていないとのこと。また、遺伝子の異常が関係しているため、病状や進行の度合い、重症度も人によって異なるようです。
和田伸也は大学3年で視力を失い、それでも勉強は続けたいと点字を習得。白杖を使用する生活になりながらも、関西大学の大学院で博士課程を修了しています。
和田伸也が陸上と出会ったきっかけは?
和田伸也が陸上競技を始めたきっかけは、運動不足解消の一環だったといいます。大学院を修了後、専門学校で点字を教える非常勤講師や、障害者自立生活センターのカウンセラーの職を経て、2005年からは大阪府視覚障害者福祉協会の点字図書館で働き始めました。
仕事にも慣れてきた頃、和田伸也は28歳に。高校でラグビーを辞めてから、10年以上の歳月が経っていました。そんな時にブラインドマラソンに誘われたのが、和田伸也と陸上との出会いです。
運動不足を解消できればと、京都で活動する視覚障害者のランニング・クラブ、賀茂川パートナーズの伴走練習会に参加し、走ってみたところ、翌日の仕事が辛いほどの筋肉痛に襲われたという和田伸也。しかし「走る感覚が懐かしかった。目が見えなくても、風のにおいを感じながら走って」と、過去に受けた出版社のインタビューで振り返っています。
身体を動かすことの楽しさを思い出した和田伸也は、それから地元大阪でもクラブの練習に加わるなどして走り続け、現在の競技生活へとつながっていきました。
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和田伸也の伴走者はどんな人?選手と深い信頼関係で結ばれていた
和田信也の伴走者は誰?
和田伸也の伴走者は陸上競技の経験者や入賞実績のある市民ランナーで、これまでに100人以上が務めています。
その中でも中田崇志(なかたたかし)は、2010年からパートナーを担当。2011年1月にニュージーランド・クライストチャーチで開催された「世界パラ陸上競技選手権大会」マラソンでの銅メダルをはじめ、2017年4月にイギリス・ロンドンで開催された「WPAマラソンワールドカップ」では金メダルを獲得。トラック競技でも、数々の大会で5000mのメダルを手にしています。
中学の頃に陸上を始めた中田崇志は大学卒業後、自身が勤務するNTTデータのマラソンクラブに所属。2016年10月に行われた「高島平ロードレース」の20kmマスターズ(35~39歳)で日本記録を更新した他、1500m、3000m障害でも40歳以上の日本記録を持つランナーです。
中田崇志が伴走を始めたのは、2003年から。2004年にはアテネパラリンピックのマラソンで高橋勇市の伴走を担当し、金メダルへと導いています。2010年に和田伸也のパートナーとなった際、中田崇志はマラソンを志望する彼にトラック競技の資質があるのを見抜き、5000mでメダルを獲ろうと持ち掛けたのだそう。
長距離種目の場合は途中で複数の伴走者をつけるのが通常ですが、ひとつのレースを最後まで一人が伴走してメダルを獲ると、伴走者にもメダルが授与されます。中田崇志は2015年10月にドーハで行われた「IPC世界選手権」500mでスタートからゴールまで和田伸也に伴走し、2人で銅メダルの表彰台に上がりました。
そしてもう一人、20歳と親子ほどの年の差がありながら、近年の大会で伴走者を務める長谷部匠(はせべたくみ)も、和田伸也の競技生活を支えています。東京パラリンピック出場を目指す中、コロナ禍で多くの伴走者に依頼できない和田伸也を助けるため、長谷部匠は職場の理解を得て、仕事の時間を調整しながら練習をサポートしているのだそう。
その甲斐あって、和田伸也は2020年9月に開催された「第31回⽇本パラ陸上競技選⼿権⼤会」1500m、同年11月に開催の「第25回関東パラ陸上競技選手権大会」5000m、2021年4月の「2021ジャパンパラ陸上競技大会」800mなどにおいて自己ベストを更新。いずれのレースも長谷部匠が伴走し、1500m、800mではアジア記録を塗り替えました。
和田伸也が5000mで銅メダル!パリパラリンピックはマラソンで出場?
和田伸也のように視覚障害のあるブラインドランナーにとって、伴走者は深い信頼関係で結ばれた一蓮托生の存在です。5000m以上の長距離種目では複数人の伴走者が認められていますが、力量に差があると選手の負担になるため、伴走者には選手と同水準の高い走力が求められます。
選手との呼吸を合わせるため普段の練習を密に行うのはもちろんのこと、競技中はルールに則って選手とつながるロープをしっかりと握り、選手の目となって周囲の状況を的確に伝える判断力も必須。和田伸也がマラソン、10000m、5000m、1500m、800mと5種目もの競技で日本記録を独占しているのは、伴走者と一心同体となって全力を出し尽くすことができるからに他なりません。
伴走者をはじめとする周囲の手厚いサポートに支えられ、和田伸也は東京パラリンピック大会4日目となる2021年8月27日、陸上男子5000m(視覚障害T11)に出場。ロンドンオリンピック以来2大会ぶりの銅メダルに輝きました。リオパラリンピックでは日本記録を更新しながら6位入賞に終わっただけに、「タフなコンディションのレースになりましたけど、最後まで粘ってメダルに届いて良かった」とするコメントには、2大会ぶりのメダルの重みを噛みしめる喜びが感じられます。
パラリンピックの終了後は、マラソンへの専念を公表している和田伸也。8月30日の男子1500m(視覚障害T11)で有終の美を飾り、大会最終日の9月5日に行われる男子マラソン(視覚障害T12)では、今後につながる走りを見せてくれることに期待したいものです。
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